2002年 OR
中間試験 配点・結果及び講評
日程計画全般に関する知識を網羅した問題でした.
全般の理解度を試す問題構成ですが,特徴的なのは問題を把握する力を見る問題(問題2)です.この種の問題は答えが一意には表現されず,試験では扱いにくい問題です.しかし,ORでは大変重要な力です.
問題別の講評は各問題ごとの解説の中で読んでください.
問題の難易度は例年通りかと思ってます.平均点も例年通りです.しかし,点数の分布を見ると,できている人が増えている反面,できていない人も増えています.問題は少しむずかしめだったけど,優秀な人が多いので平均点は例年通りだったという見方もできますが,逆に,問題は易しかったのに,単に勉強不足の人が今年は多いという仮説も十分考えられます.
原因探りは教育者に任せるとして,皆さんに大切なのは自分の数理的な解析力・問題解決能力を確実に育てているかどうかです.どうもトレーニングを怠っている人が多そかなという気がします.周囲の人と比較して『こんなものか・・・』と思っていては,自分を高めることにはつながりません.自分で納得できるまで,しっかりトレーニングしましょう.
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問題1
(35点; (1),(2),(3)各5点
,(4)10点:基本的にプロジェクト完了時刻の期待値導出2点,標準偏差導出4点,確率導出4点,(5)10点)
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得点範囲 |
人数 |
0-9 |
6 |
10-19 |
21 |
20-29 |
25 |
30-35 |
19 |
満点者数 |
7
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平均点 |
22.5 |
最高点 |
35 |
最低点 |
3 |
満点 |
35 |
受験者数 |
71 |
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基本問題.前半はアローダイアグラムの理解.後半は,不確実な情報の下での日程計画の基礎手法の理解を質問してます.ここで,一桁も点数を取れない人はその理由を自問すべきです.あまりにも勉強不足では・・・. |
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(1) |
アロー・ダイアグラムから情報を読む問題です.ありそうで,見たことのないタイプの問題ですね.でも,基本中の基本なのでできて当然.ダミーは作業リストに書き込まない.なぜなら,便宜的にアロー・ダイアグラムで利用しているだけの作業なのですから. |
(2) |
パスの概念や,本数の求め方は講義でやりましたね. |
(3) |
最長パスがクリティカルパス.この基本的な性質を理解していれば即答ですね. |
(4) |
プロジェクト完了時刻の標準偏差を求めることができるのが第1段階.分散の平方根ですね.第2段階は正規分布表の見方.これは,講義で何度もトレーニングしましたね. |
(5) |
(4)の逆方向の問題.(4)ができた人はもちろん(5)もできているはずです. |
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問題2
(35点; (1)が10点.他は各5点,(4)または(5)で山積み表を提示し利用で5点)
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得点範囲 |
人数 |
0-9 |
13 |
10-19 |
31 |
20-29 |
22 |
30-35 |
5 |
満点者数 |
0
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平均点 |
16.9 |
最高点 |
33 |
最低点 |
0 |
満点 |
35
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受験者数 |
71 |
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問題の状況把握を試している問題.問題の舞台を正しく把握できただろうか.問題解決の手法を主に勉強しているが,問題そのものを把握できないのではその知識は宝の持ち腐れですよ.国語力のなさか,想像力のなさか,少し情けなくなる答案も見受けられました.前半は,問題把握.後半は,人員に考慮した場合の日程の計画の仕方です.人員を考慮した場合は,『山積表』かそれに類似したツールを持ってこないと説得力に欠けます.相手に説明する・説得するのにはどのようなデータで,どのような手順で示せば説得力があるのか良く考えましょう. |
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(1) |
国語力と状況把握力の問題.決して複雑な事例ではないので,できなかった人は何が自分に足りないのか考えよう.経営情報を学ぶものとしての素養にかかわりますよ. |
(2) |
基本問題. |
(3) |
がんとチャートを理解しているかを試しているだけも問題.基本的. |
(4) |
最大ロードの意味がわからない場合などは論外.勉強不足過ぎです.山積表を提示すれば答えは自然と出てきますね. |
(5) |
理論的には一般の事例でこの解を見出すのは難しいのだが,この例ではとても簡単に最適解が導ける. |
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問題3
(30点; (1)が10点,(2)が20点:カット・カットの絞込み5点,CPM1段階目5点,CPM全体5点.答え+グラフ提示5点)
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得点範囲 |
人数 |
0-9 |
24 |
10-19 |
30 |
20-30 |
17 |
満点者数 |
3 |
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平均点 |
13.9 |
最高点 |
30 |
最低点 |
0 |
満点 |
30
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受験者数 |
71 |
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試験直前に扱ったCPMそのものの問題.なんのひねりもない.(後日談)実は,問題の作業リストの先行作業が私の想定していたものとは異なっていたのです.でも,そのおかげで(?)問題は妙に易しくなりました.時間不足風の人が多かったので,結果的にバランスの良い問題になっていましたね.本来の問題の形でWebには公開されています.興味のある人は,本来の問題も楽しんでください. |
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(1) |
とても簡単.なのに,できない人が・・・.ここができない人は,PERT/CPMの理解に関しては致命傷です. |
(2) |
演習問題等では誘導問題を3−4問入れて,考え方のガイドラインをなんとなく示しているのですが,今回はそのままずばり出題してみました.ひねりも,引っ掛けも一切ありません.ところが,できていない人が結構いました.時間不足?理解度が浅い?トレーニング不足?理由は個人に考えてもらって,後半はもっとがんばれ! |
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得点データ
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得点範囲 |
人数 |
0-9 |
0 |
10-19 |
2 |
20-29 |
4 |
30-39 |
9 |
40-49 |
18 |
50-59 |
13 |
60-69 |
10 |
70-79 |
6 |
80-89 |
7 |
90-100 |
2 |
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平均点 |
53.3 |
最高点 |
93 |
最低点 |
16 |
満点 |
100
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受験者数 |
71 |
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2002年5月22日作成:2002年5月17日試験実施 |
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中間試験問題(PDFファイル) |
試験対象:主に経営情報学科2年 |
根本 俊男(情報学部経営情報学科) nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp |