2020年6月12日
「困っている学生たちのために何かできないか」と、南荻島まちづくりサポーターの皆さんが中心となり支援物資を集め、covid-19の感染拡大の影響に伴う生活困難に直面する学生に対する支援活動が継続して実施されています。

文教大学越谷キャンパスの地元である出津自治会には、2019年1月に開所した2つ目の自治会館、出津自治会館Ⅱ「みずべのアトリエ」(以下、アトリエ)があります。ここは「誰もが気軽にふらっと立ち寄ってゆったり過ごせる開かれた集会所」をコンセプトに、開所以前から南荻島まちづくりサポーター(以下、サポーター)の皆さんを中心とした地域の方々の言葉通り「手作り」で運営がされ、日頃から様々な活動が展開されてきています。
そしてその一端を、本学の学友会はじめ、部活やサークルなど本学の学生たちも微力ながら関わらせていただいていました。

このような地域と学生との日常的なつながりが育まれる中、今般のcovid-19(新型コロナウィルス感染症)の感染拡大に伴って、次のような心配の声があがっていました。

「いつもお世話になっている学生たちを、アトリエを活用して地域でサポートできないか」

そこで始まったのが、「学生支援@みずべのアトリエ」の取り組みです。
サポーターは、5月1日発行の出津自治会回覧板を活用して周知を行い、自宅で余剰のあるお米や缶詰などの寄附のお願いをしました。
回覧板の効果がどの程度あるか、どのくらいの物資が集まるか、全く予想ができませんでしたが、いざ実施をすると、これまで4回の寄附受付を行い、延べ60世帯を超える地域の方々からたくさんの支援物資を届けていただくことができました。
また、この動きを聞きつけた本学教職員有志からも多くの物資を寄せていただいております。


物資の見通しが立つと、同時に課題となったのは、この物資をどのように学生へ届けるかということです。
人と関わること自体に自粛要請がかかっている中、単発ではなく継続して支援を展開するために様々なルールを設けました。例えば、30分単位で定員を設ける、web会議システムを活用した当日事前予約をとる、地域住民のご迷惑にならないように土手沿いを行き来する、などです。
その結果、これまでに7回の受け渡しを行い、延べ151名の学生へ支援を届けることができました。

学生からは当初、「バイトがなくなって途方に暮れていたので、本当にありがたい」「地域の方々の想いにただただ感謝している」といった感謝の声が多くを占めていましたが、回を重ねるごとにこのような声だけでなく、「アトリエに来るのが日々の楽しみになっている」「ここ(アトリエ)に来るとワクワクする」といった、閉塞感に満ちた日々の生活の癒しになっている様子がうかがえます。

これは、単に支援物資が得られることに対する思い以上に、地域の方々の想いに触れることで、孤独な日常や先行きの見えない不安から解放される一助になっているのではないか、と推察されます。
そしてこれは、地域の方々から学生への一方的な「施し」ではなく、これまでアトリエに関わってきた本学学生たちの姿があるからこそ芽生えた取り組みであり、「持ちつ持たれつ」「お互い様」といった、地域―学生―大学の相互作用によって新たな好循環を生み出しつつあるのではないでしょうか。

covid-19の感染拡大に伴う影響は多方面で出ており、それは決して簡単に解決するようなものではありません。しかし、人は人と支え合って生きていること、人は微力ではないが無力でもないこと、そして、主体的に考え行動する存在であることを、この活動を通じて学生と共に改めて共有していき、この困難を乗り越えていきたいと思っています。


本件は、人間科学部としての取り組みではありませんが、ぜひ多くの皆さまと共有したいと思いましたので、ご紹介させていただきました。
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