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■2009/09/18 掲載
文教大学は2009年8月1日、湘南校舎がある茅ヶ崎市北部丘陵地において学生・市民ボランティアら50人の参加で「森づくりプロジェクト」を始めた。当日は大橋ゆか子学長が早朝から応援にかけつけた。
今回のプロジェクトは多様性の高い樹林と共生する新しい大学と文化の創造をめざす文教大学湘南校舎カレッジ・ビレッジ準備委員会(代表世話人:宮原辰夫国際学部長)が推進している。
市民ボランティアの岸しげみさん(茅ケ崎野外自然史博物館)と小此木宣夫さん(県立茅ヶ崎里山公園倶楽部会長)は同委員会の趣旨に賛同してこのぼど全面的協力を買って出た。
この日の作業は10時から16時まで文教大の学生ボランティアが、市民ボランティアの岸さん、小此木さんのアドバイスを受けながら、森林整備・道具を使っての森林作業、下草刈り、遊歩道整備、ベンチ周り整備、ビオトープづくり(カブト虫ハウスづくり)ほかの作業を進めた。
もともと茅ヶ崎市北部丘陵地は県内でも有数の生物多様性の高い場所であった。この地域にはかつて九十九谷戸といわれるほどたくさんの谷戸があった。
1985年、文教大学湘南校舎の開設以来、校舎北側の林部分はある程度まとまりを持った形で維持されている。樹林地がどんどん少なくなっている茅ヶ崎のなかで、今後も大学の林として護られていく意義は大きい、と岸さんは言う。
森づくりプロジェクト代表世話人の宮原辰夫さんつまりビレッジ村長は、「大学のキャンパスを地域と学生の村(=ビレッジ)として再生することで新しい交流文化の拠点を創造してゆきたい」と今後の抱負を語っている。当日の森づくりの現場からウェブ記者が報告する。(クミス)
学生・市民ボランティアが参加
文教大学の「森づくりプロジェクト」始まる
●記事・撮影:Ryo & Tsübasa(ウェブ記者)
プロジェクト始動
午前9時30分。大学の事務棟に参加する大学生が集まってくる。この日朝から空の崩れが心配されたけれど幸いにも予報ははずれ、森づくり日和となった。皆、帽子をかぶり、タオルを持参して、やる気に満ち溢れている。学生たちの元気よりも学部長=ビレッジ村長の熱意が当面先行している。午前9時50分。記念撮影を終えて、森へと出発。(Ryo & Tsübasa)
事務棟玄関での結団式
ビオトープの説明をする岸さん
森づくりの説明をする小此木さん
「まずは楽しめ」と宮原村長
文教の森へ
午前10時10分。正門から校舎北側に沿って伸びた道を抜けると、じりじりと暑い太陽と坂道が待っていた。程なくして文教の森の東側入り口に到着「文教大学遊歩道」を知らせる看板に出会う。セミが盛大に大合唱するこの森は、木が生い茂っておりとても心地よさそうであった。森に入る前に忘れてはいけないのが、虫除け対策である。学部長=ビレッジ村長から一人ずつ、顔と耳のうしろに虫除けスプレーをふって頂き、ようやく中へ入る事になった。
今回のの森づくりの指導をしてくださる、岸さんと小此木さんから説明を受ける。岸さんのお話によると、茅ヶ崎には緑が少なく、まとまって緑があるところは、里山公園と文教の森しかないのだという。また、茅ヶ崎の生物や自然の半分はこの森の中に分布しているらしい。
午前10時20分。今までのムッとするような湿気から開放され、森の中はなんとも涼しく過ごし易い。仕事前に応援にかけつけた大橋学長から励ましの言葉を頂いた。村長からは私たちの行った文教の森プロジェクトについて、ただ手入れを行うのではなく“楽しんで”行うことが大切、というお言葉を頂いた。以降、ビオトープチームと伐採チームに別れて作業を始めた。(Ryo & Tsübasa)
大橋学長から励ましの言葉
伐採チームは全員ヘルメットで出発
ビオトープ(手前)ができてゆく
倒木の多さに驚く
ビオトープチーム
ビオトープチームは、人が遊歩道から崖下に落ちるのを防止するために枯れ木を切って、人の通路を確保する作業を行うことになった。小さな木は意外にも多く、集めていくとキャンプファイヤーの薪組みのようになった。また、ペットボトルや弁当の空箱なども回収した。
午前10時55分。10分間休憩をとることになった。岸さんは、休憩中にさまざまな植物について説明して下さった。中でも「蛇の髭」という植物は、映画「となりのトトロ」の中でも使用されたということもあり、皆聞き入っていた。そのほかにも、生徒自ら「この植物はなんですか?」と質問する場面もあり、和やかな雰囲気だった。
午前11時05分。休憩を終えて、作業再開。遊歩道の脇には木々がつまれ虫のおうち「ビオトープ」ができてきた。熊手を使って、歩道に落ちている落ち葉を取り除いた。また、遊歩道をふさぐより大きな枝を切り、歩道を通りやすくした。記者も木を切ってみたが、なかなか幹が太く、切るのは大変だった。 作業をしていると、伐採チームがやって来た。時計を見たところ、午後0時05分だった!あっという間に1時間が経っていた。(Ryo)
ビオトープはアートである
作品づくりは「力仕事」
岸さんは森の伝道師
そして労をいとわない人
お昼休み
午後0時10分。全員里山公園のパークセンターに移動して学長差し入れの昼食。皆疲れも見せず、リラックスしていた。(Ryo)
里山公園パークセンターで昼食
枯れ葉掃除には熊手で決まり
森を歩く楽しみ
森の階段を丁寧に掃除します
午後1時。作業再開
ビオトープ・チーム。小枝や葉っぱなどを重ねて作った、小さな生き物の住処をビオトープと呼ぶ。はじめはミミズや蚊に騒いでいたが、この命のリレーランナーの一人になったかと思うと、ミミズも蚊も同じチームの一員という事になる。このように少しずつ意識を変えていった様にも思う。(Tsübasa)
伐採グループは、枯れ木になった大木を次々に切り倒していく。チェンソーの使い手はなんと宮原村長である。使い慣れた手つき。「ウィィィーン」という音とともに枯れ木の大木が「ミシミシッ」といって倒れていく場面は、見ていて気持ちがよかった。(Ryo)
枯れ木の伐採チーム
この間伐採チームは安全のため全員ヘルメットを着用して作業を進めた。森を歩けば、立ったまま枯れる木や倒木などを容易に見つける事が出来る。この木は、木としての生命力は絶えてしまったかも知れないが、しかしまだ生命の可能性を秘めている大切な「一本」なのである。立ち枯れた木や倒木をそのままにして置くと、腐って落ちてきたり、道を塞いでしまったりとただ危険の可能性にしかならないが、これを20センチ程度に切り、並べる事でこの木の中で虫が成長し易くなり、新たな命へと繋ぐ事が出来る。
元々この森は、落葉樹で成り立つ森だったそうだ。しかしながら、エネルギーが薪から石油に代わり人々は森の手入れを怠ってしまうようになり森に光が入りづらくなってくると、暗さに強い常緑樹が残るようになった。常緑樹の葉はなかなか土に戻らないため、その場でも小さな堅い葉を見つける事が出来た。つまり、養分になるまで落葉樹の葉よりも時間が掛かるという事になる。森は落葉樹と常緑樹の均衡をとるためにも、光が必要なのだ。
ここで、私たちは立ち枯れしている木に出会った。学部長の操るチェエンソーの力を借りて木を除けてみると、その空いたスペースからほんのり暖かい太陽の光が降り注いだ。この光を受けて新しい目が発芽し、虫が目を覚ますのであろう。 (Tsübasa)
遊歩道を塞ぐ最大の倒木に斧を入れる小此木さん
倒木を処理する伐採チーム
師匠仕込みのロープさばき
大物の枯れ木を片付ける
ベンチの再生
更にその脇では、光を存分に感じられるベンチを研磨する作業を行った。長い間そこにある事がうかがい知れるような青々としたコケと膝くらいの高さまで伸びた草に囲まれて、機能していなかったベンチの周りの環境を整備した。カマやカンナを初めて触った者もいて、はじめはぎこちなく使っていたのに周りがきれいになる頃になるとすっかり慣れた手つきになっていた。(Tsübasa)
まずは苔とり作業から
20年の眠りから目覚めてきれいな地肌が
小此木師匠の説明を真剣に聞きます
防腐用の塗装で仕上げです
階段の再構築
午後2時30分。新たに階段の整備に取り掛かった。スコップで階段にたまった土を取り除ききれいにしていった。長い間、葉に埋もれていたせいでその輪郭さえも失っていた小道の一部である階段を手で掘って整形し、新しい横木を足した。午後4時。作業が終わり、記念写真撮影をして解散となった。皆さんお疲れ様でした!(Ryo & Tsübasa)
アズマネ笹刈り作業
午後の後半に急遽編成された「アズマネザサ(笹)」刈りチームが笹刈り作業に取り組んだ。アズマネ笹は手入れの行き届いていない里山に繁茂します。しかも森の栄養を食い尽くす悪人たち。数年かけて根気よく退治しなければなりません。しかしアズマネ笹を栄養として必要としている虫たちもいるので根絶してはいけない、というのが森の知恵者から言われました。アズマネ笹刈りについては後日に報告します。(クミス)
取材を終えて
私は今まで、大学の敷地内に遊歩道があることを知らなかった。その上、第一印象は遊歩道ではなく、ジャングルである。熊がでてきてもおかしくはないと思った。そんな遊歩道は今日1日で見違えるほどきれいになった。達成感のある1日だった(Ryo)
朝の正門に集まったときは、それぞれ友人とだけ言葉を交わしていたが、仕舞いには隣の人と笑顔を交わす仲になっていた。助けが必要そうな者をそれと言われる前に助け、心を一つににして仕事をこなしていた。森は、二酸化炭素を分解して、酸素を精製するプロ集団であるが、この森で活動した私たちの心も結び付けてくれたように感じた。(Tsübasa)