研究科長挨拶

「実践志向の強さ」と「チームワークの良さ」

 

文教大学教育学部は、私学における教員養成の雄として数多くの教員を育ててきました。大学院教育学研究科学校教育専攻修士課程は、2007年4月、この教育学部を基盤に創設され、はや10年の歴史を刻んできました。この10年の間に50名近くの修了生を送り出し、その多くが、教員や研究者として現在活躍しています。

この10年あまりの間、教員養成をめぐっては、様々な変化がありました。教職実践演習や教員免許更新制が導入され、さらには6年制教員養成課程構想が取り沙汰されました。さらに大量退職・大量採用の時代はまもなく終わりを迎えることになります。これからは量より質が問われることになるでしょう。いずれにしても、教員の資質能力の向上を図るための改革は進行してきたし、これからも進行していくと思われます。こうした中、大学院における教員養成はますます注目されるようになってきています。

事実、文部科学省は、平成25年10月、教員の資質能力向上に係る当面の改善方策の実施に向けた協力者会議報告「大学院段階の教員養成の改革と充実等について」を公表し、その中でこれからの大学院に求められるものとして、@新しい学びへの対応、A学校現場での今日的課題への対応、B教員の大量退職・大量採用等を踏まえた対応、Cスクールリーダー養成の必要性、の四つをあげています。

本研究科修了生たちの修士論文のテーマを見ると、まさに「新しい学びへの対応」や「学校現場での今日的課題への対応」を正面から取り上げたものが多く見られます。またカリキュラムは、教員としての視野を広げる教育学・心理学の科目群に加え、実践的な科目群も配置し、両者の有機的な連関を重視した構造で編成されています。特に一年次必修科目の「教育実践分析実習」では、越谷市と提携し、院生が特定校に毎週のように出向き、実践と理論の往復をする中で、実践的な専門性を高めていきます。

本研究科の特徴として、こうした「実践志向の強さ」と、少人数ならでは「チームワークの良さ」をあげることができるのではないか、と考えています。今後も、教育界の様々な要請に応えることのできる大学院であり続けるため、スタッフ一同、努力していきます。

文教大学大学院教育学研究科長
 橋  克 已