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第10回「世界の教科書展」  


特集
シンガポールの教科書

2003年11月2日〜4日/8201教室

 

 

 特集テーマについて

 第10回目を迎えた「世界の教科書展」は、シンガポールの教科書の特集とした。最近のシンガポールは、知識基盤社会に対応した、考えることを重視した学校教育を目指しており、教育内容を削減し、思考力の育成よりも技能の確実な習得を目指して改革を進めてきた日本とは対極的な教育方針を掲げる国である。

 シンガポールは、華人、マレー人、インド系などからなる多民族国家である。おそらく、やむを得ない選択として、英語を国民の共通語とする教育政策を採用した。しかし、そのことは、国際社会に通用する人材育成の基盤となった。

 そして、21世紀を間近かにして採用された政策が、知識基盤経済に対応した人材の育成である。シンガポールは、元来、中継貿易を得意とする商業都市であったけれども、商業だけでは生き残れないという判断があったものと思われる。

 そのためにとられた政策のひとつが、小学校の上級学年から中等教育段階で採用された徹底したコース制である。成績下位のクラスでは、母語の授業時数を削り、英語、数学、理科の授業時数を増やしている。この国では、授業時数が多いクラスほど成績が悪いという逆説が成り立つのである。

 


 

 各教科書について

 今回の教科書展を目指して教科書の入手に着手した。これは容易な仕事ではなかった。数学研究室からの借用を含めてなんとか展示にこぎつけることができた。
英語では、初等教育レベルの教科書も展示したかったのであるが、入手が間に合わなかった。しかし、日本の中1、中2に相当する中等学校1、2年の教科書を入手することができた。文学的な要素は希薄である。日本の昔話からとられた題材もあるが、その章のタイトルは「Could It Be True ?」(本当か)である。英語の教科書は全ページカラー印刷の美しいものである。中等1年の教科書の最初の章「The Attractions of Singapore」を取り上げた。IT利用にも力を入れていて、インターネットを利用して調べ、写真をダウンロードし、コンピュータを利用して発表するなどの活動が付随している。

 算数・数学教科書では、活動を重視した教育の実態がうかがえる。覚えることよりも考えることを前面に押し出したシンガポールの教育の特徴がわかる。総体的には日本よりもレベルが高いけれども、生徒自身の思考を発達させることで算数・数学を作るという考えに即したカリキュラム構成になっていて、日本とは流れが異なる。たとえば、掛け算九九の学習は小2と小3に分けて学習する。

 理科教育では、環境問題への取り組みや、バイオテクノロジーの時代への対応からか、初等教育では生物に重点をおいていることがわかる。中等教育での理科のレベルはかなり高いと思われる。化学の教科書は、今回入手したのは実験のマニュアルであるが、仮説を立てて検証するという科学的思考の育成に力を入れていることが分かる。

                                                                (文責:教育学部 白 石 和 夫)

      シンガポールの教科書         会場                              

 

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