『教育研究所紀要第7号』文教大学付属教育研究所1998年発行

生涯学習社会と企業の採用形態
−大学を問わないオープン公募制について

野口 八重子

(文教大学付属教育研究所客員研究員)

1. はじめに

大学院人間科学研究科「生涯学習学」を専攻した者にとって、臨時教育審議会第一次〜第四次答申(1985〜1987年)で述べられたように、「生涯学習体系への移行」にともない生涯を通ずる学習の機会が用意されている「生涯学習社会」を建設することが重要であるという箇所には共感を覚えるものである。
生涯学習社会の構築が必要とする社会的背景として、@学歴社会の弊害として学歴に依存した採用昇進や人間の評価等、A社会の成熟化に伴う学習需要の拡大として自由時間の増大、所得水準の向上、高齢化等、B社会・経済の変化に対応するための学習の必要性として科学技術の高度化、情報化、国際化、産業構造の変化等の社会的背景がある。
1995(平成7)年6月1日、自動車業界のトップであるトヨタ自動車が、新規学卒者の採用に「大学名を問わない<オープン公募制>」を導入すると発表した。大学名にこだわらず優秀な人材を発掘するのが狙いであるという。この発表によって、「なぜ、あの保守・堅牢な企業がオープン公募制にふみきったのか」という関心をもつに至ったのである。
修士論文の論題を「生涯学習社会と企業の採用形態」〜大学名を問わない<オープン公募制>について〜とし、第1章 テーマの背景、第2章、企業社会の構造変化、第3章 学生の就職に対する意識、第4章 総括と展望−オープン公募制の今後の展開−という構成で論述した。
第1章では、生涯学習社会と大学名を問わない<オープン公募制>との結びつきについて述べた。第2章では、企業社会の構造変化を日本経済の現況報告等を取り入れながら、特に経済界の代表である社団法人「経済同友会」の提言等を年代を経せて取り上げた。この章では、トヨタ自動車の人事担当者とのインタビュウに基づき<オープン公募制>に転換していこうとする企業の声を、詳細に報告している。第3章は、学生の就職に対する意識として、質問紙調査に基づく意識の分析・考察を行った。調査期間は1996年6月12日〜9月18日で、国立、私立系をふくめて6大学の学生総数912名の調査結果である。
調査項目は、3つの領域に分けた中にそれぞれ設けられている。1つ目は「就職に対する基本的知識」、2つ目は「就職活動に関する知識」、3つ目は「企業の採用条件について」である。3つの領域は、内容から、大学別・学部別・学年別・性別等で尋ねており、選択肢法と記述式を用いた。第4章では、総括と展望〜オープン公募制の今後の展開〜について述べ、今後、「大学名を問わない<オープン公募制>」がどの程度、企業に理解され、採用されていくかその展開の可能性に注目していきたいというのが論文の内容である。本稿では、1996年修士論文のまとめとして発表していきたい。

2. テーマの背景

さきに述べた臨時教育審議会の答申全般から、教育改革における主張点を上げると「個性の重視・生涯学習体系への対応」の三本柱となる。
現在、臨教審の答申から10年以上が経過している。この10年における日本の状況は、かつてない程の急激な変化がみられる。産業構造の変化で言えば、第二次産業から第三次産業へ移行し、物を生産・製造するよりも知識や情報を作成・伝達するようになった。
マルチメディア情報化社会の到来である。あらゆる分野でコンピュータの使用はめざましく、新入社員の条件に「パソコン・ワープロ・英会話等ができる事」が必須となってきたことは周知の通りである。
従来、日本の産業界には何を学んだかを問題にする「学習歴」よりも、どの学校で学んだかを問う「学校歴」を重視する傾向があった。しかし、バブルの崩壊による平成不況は産業界に深刻な影響を与え、「日本的雇用慣行の崩壊」といった新聞等の特集を組ませるまでになり、新規学卒者採用に関してさえも、どの企業も極端に採用をせばめ、厳選な採用試験を実施するようになった。企業にとって最小必要な人材のみを採用した。つまり、「どこの大学を出たか、よりも、何を学んできたか・何ができるか」に重きを置く傾向にならざるを得なくなってきたのである。
確かに日本の企業も欧米諸国に追いつけ・追い越せと努力を重ねた時代があった。その時代には、知識や技術に優れた一流大学出身者が必要であり、それが役に立ったのだ。
しかし、追いつき・追い越せた状況になれば、自分で考え、自分の力で切り開いていける人材が企業の生き残りをかけるためにも必要なのである。その意味においても、トヨタ自動車が新卒者採用に踏み切った「大学名を問わない<オープン公募制>」は今後の企業の採用方法に影響を与えていくものと思われる。
因みに「オープン公募制」とは、「企業が新卒採用を行う際、応募者の大学名をいっさい問わない制度。人物本位の採用制度を導入することによって、ある程度大学間格差が是正されることも期待がもたれる。(1)」と書かれている。
生涯学習社会の構築の背景には、学歴社会の弊害として学歴(大学名を問う)に依存した採用昇進や人間の評価等があげられていたが、今日における社会状況ほど「生涯学習社会」のあり方がふさわしい時代はないものと考えられる。


3 企業社会の構造変化

経済企画庁が発表した『平成8年版経済白書』(1996年8月)において、「戦後の日本経済は、国際環境にも恵まれて、国民の英知と努力の結果、復興から高度成長し、二度にわたる石油危機や円高を乗り越え、世界第二位の経済規模を実現し、世界経済の運営に重要な役割を担うまでに発展を遂げました。(中略)日本経済は、現在世界歴史的な構造調整期にあります。」と述べている。(2)
日本経済の景気低迷に伴い、構造改革が討議される中で、心の豊かさやゆとりを求める労働者の価値観・労働意識の変化や高齢化・若年人口の減少といった今後の労働力人口構成の変化を背景に日本的雇用慣行の限界が議論されている(3)
日本的雇用慣行「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」は、高度成長時代(1960年代〜1970年代)を経て、企業社会に社会通念のように広まり定着していったが、1990年代を迎えて新しいタイプの雇用システムを生み出していかなければならないようである。
日本の企業における新規学卒一括採用は最も知られている採用方法であるが、それは高度経済成長による企業の急速な成長時代にふさわしいものであり、若年労働者(新規学卒者)を、年功序列の下で低賃金で採用可能という企業の人事政策によって定着したものである。
しかし、現実問題として、企業社会はこの日本的雇用慣行の一部となりえた新規学卒者一括採用方式に疑問を投げかけている。日本の政策形成全般に影響力が強いと考えられる団体の一つ「社団法人経済同友会」の提言を取り上げたい。
1989年12月「新しい個の育成−世界に信頼される日本人をめざして−」の提言のなかで採用方法の多元化について次のように述べている。第一に、採用基準を「人物本位」にする。 第二に、毎年四月に新卒を一斉に採用するシステムを、「通年入社制度へ」転換する。通年入社制度のもとでは、中途採用が常態化する。新卒採用に関する就職協定は抜本的見直しが必要である。(4)
その後、経済同友会は1994年4月「大衆化時代の新しい大学像を求めて−学ぶ意欲と能力に応える改革を−」の提言において、採用に当たっては、要求する能力をできるだけ具体的に明示するとともに、専門的能力をこれまで以上に重視したい。 さらに、指定校制度を完全に撤廃することはもちろん、出身大学名を徴収しない、年間採用実績を公表するなど、学校歴ではなく学習歴を重視することを見に見える形として示していくべきであると述べている(5)
89年と94年の提言からも、企業社会が実施してきた従来の日本的雇用慣行の一部となりえた新卒採用の変革を求める声は強いと受けとめられる。
日本的雇用慣行は、時代の諸環境の変化に柔軟に対応して今日にいたっているが、新しい雇用慣行は、人間中心(従業員)である基本的な考え方は変化させずに、産業の構造的転換、労働市場の構造的変化、従業員の就労・生活意識の変化に対応できるようにその内容を整える事が大切であると、日本の政策形成全般に影響力が強いとする団体は述べている。(6)

(1) 企業の声(トヨタ自動車人事部担当者とのインタビュウを通じて)

トヨタ自動車は1996年度入社予定の大卒者・総合職に関して、オープン公募制を採用している。直後、人事担当者にインタビュウを申し込み「質問票に」基づき、回答を得たものである。(7)
まず始めに、「オープン公募制」を採用するに至った背景についてお聞きした。
『自動車産業は日本の基幹産業であるが、生産台数減少傾向にある。昨今の自動車業界を取り巻く環境は、技術面での欧米追随型時代の終焉、安全・環境問題に関する先端技術開発の必要性、情報化・国際化のさらなる進展など、急激に変化の様相を呈している。そうした環境変化に対応し解決していくためには、新しい発想で、新事業・新技術を開拓できる、「チャレンジ精神と創造性あふれる人材」が求められる。 従来の採用方法であれば、均一化した「金太郎飴」的発想の人材に偏ってしまう傾向があるので、あえて既成概念にとらわれず、新しい手法・価値を生み出す力をもつ人材獲得のために、「オープンでフェア」な企業行動を基本とする企業理念に基づき、今後の新卒採用について「オープン公募」方式に転換していく方針である』という答えがかえってきた。
今回の応募には、120名(技術100名<オープン3割:推薦7割>/事務系20名)の採用枠に約1600名の応募が全国からあったそうである。トヨタ自動車では、5年前(1991・92年度)採用のピーク時には、1000名(技術800名/事務200名)ほどあったということであるから、いかに採用人数が減少したか明確に示されたことになる。
応募方法は、会社説明会の応募要領のプロフィール欄に、「氏名」「住所」「TEL」「学部・学科」を記入するだけになっている。その他に、@あなたが最も挑戦したといえることは何ですか。A今後挑戦してみたいことは何ですか。Bトヨタで新規事業をするなら何をしますか。といった質問事項が自由既述するようになっている。
応募要領を提出して約1600名の応募者全員は、第一次試験を受けた。企業側の採用単葉者は、応募者一人ずつに質問を与え、その人物にチャレンジング精神や創造性があるか確認していく。例えば、「アメリカ大リーグの野茂選手が最優秀選手賞をとったら、どのようになるか?」という質問を応募者にぶっつけてみるという内容である。関係のないところから何かを生み出す力(着眼点・論理性・説得力等)を見ているのである。
一次試験合格者は4割で、二次試験へと進む。二次試験へと進む。二次試験は技術と事務系では内容が異なっている。三次試験は面接のみで、応募者1名に4〜5名の採用試験官が対応して30分間は掛けたということである。
日本的雇用慣行については、終身雇用のメリットとしてメーカー技術系の信頼関係を上げている。年功序列は職能給→能力査定に移行して行くが、やる気を促せる要素は残すということである。また、専門性分野では流動性のあるPC(Professional Contract)制度を設け、年棒制契約で募集をかけている。
トヨタ自動車の人事担当者は、「オープン公募制による採用方法は不特定多数の人物にあたることになり、効率の悪いことであった。従来のように、ある特定の大学からの学生であれば効率よく採用手続きが踏める。しかし、このオープン公募採用方式による結果を受け身で待つべきであり、「これしかない」と捉えていく方向に転換していくことが大事である。今後、学校名だけで採用というのはなくなる。確かに「偏差値」の高い人物は卒がなく、出来のよいところはある。しかし、自分自身の考えがなくては困る。自分がなぜこの大学を選んだのか、この学部を選んだのか、この会社を選んだのか、明確な意識がなくてはならない。採用において、偏差値の必要性もあるかもしれないが、企業も柔軟な姿勢をもたなくてはならない。多様な人材が集まることで企業に活性化が生まれる」と締め括られた。
因みに、1996年度トヨタ自動車の4月入社の新規学卒者の最終人数は技術系104名(内:女子3名)、事務系は20名(内:女子3名)であったが、10名の運動部関係での入社があり計30名になったそうである。4、5、6月の3ヶ月の研修期間を終えた後、それぞれの部署へ配属されることになっている。チャレンジング精神と創造性をもった期待される人材であることは間違いないだろうが、その正否は入社後3〜4年の年月が経過しないと見えてこないのではないだろうか。

4 学生の就職に対する意識−質問紙調査に基づく意識の分析・考察−


(1) 調査概要
前章の考察から、実際「就職」に対する学生の意識というものを調べてみることが必要であり、そして、今回のテーマである「オープン公募制」が今後どのように展開していくのか、そのことに関して、学生の考え方を聞くことも必要であるとの結論に達し、アンケート調査を試みた。
大学名を問わない<オープン公募制>という方法で、企業側が新卒者の採用を決定しようとすることは、応募者の実力・個性・入社動機を重んじることである。つまり、社会的通念として評価の対象となる「偏差値という尺度」?よって、有名大学は一流校であり、それ以外は二流・三流校といった輪切り現象が発生しているが、その尺度をはずして、学生個々人の力を試して採用する方法である。
企業が大学名を問わないのであれば、偏差値の異なる大学の学生が「大学名を問わないこと」をどのように捉えるのか、調査してみたいと考えた。
質問項目に関しては、フェイスシートを除いて、大きく三領域に分けてみた。一つ目は就職に対する基本的意識(問4・5・6・7)について、二つ目は就職活動に関する知識(問8・9・10)について、三つ目は企業の採用条件(問11・12・13・14・15)について尋ねるというものである。三つの領域に関して、それぞれに質問を設け、選択肢と記述式をとった。調査対象の大学は、偏差値の異なる大学を選出し、程度はA=70〜66、B=65〜61、C=60〜56、D=55〜51という数値でランク付け(8)用いた。各大学は、国立・私立の文系大学が対象である。(表1参照)略

アンケート調査の概要及び調査結果
(1)調査対象 (表1)調査対象(略)
(2) 調査方法
@ 質問紙の配布と回収 :質問紙を作成し、各大学へ赴きその場で回収した。

A 調査期間:1996年6月12日〜9月18日

(3) 回収率 回収数912件回収率100.0%

(4) 検定方法(表2〜表22) ※ 問13:表16〜18/問14:表20は除外。
これらの表は、順位を中心として表現してあるが、検定については質問項目毎に大学・学部・学年・性別等を比較して検定した。

調査期間は1996(平成8年)6月12日から9月18日の間であった。各大学については、A大学は埼玉県の越谷市と神奈川県の茅ヶ崎市にキャンパスをもつ私立大学である。B大学は武蔵野市に位置し、四学部をもつ私立大学である。C大学は北区に位置する外国語を専門とする国立大学である。D大学は国立市の文教地区にある国立大学である。E大学は八王子市と板橋区にキャンパスをもつ私立大学であり、調査は八王子校舎の文学部学生を対象とした。F大学は新宿にある歴史ある私立大学である。 表1の調査対象者に関して、各大学の総人数、学部・学年のばらつき等に統計の専門の方から御指摘があると承知しているが、調査で最も知りたいことは、「大学名を問わない<オープン公募制>」について学生がどう捉えているかである。そのために、データの内容は大学別だけでなく、詳細に学部・学年・性別を質問項目とクロス集計をして結果を示す努力をした。
今回の論文のまとめでは、論題との関連をもつ質問項目(問10・11・12・14・15)のみに絞って報告することにしたい。(9)

(2)就職活動に関する知識の分析(問10)

問10  学校名不問<オープン公募制>とはどのようなものか知っていますか。

表2

(選択肢) 2年生(151名) 3年生(513名) 4年生(232名)
1知っている
26(17.2)% 150(29.2) 100(43.1) 276
2聞いたことはあるが内容は知らない
51(33.8)
213(41.5)
84(36.2)
348
3全くわからない
74(49.0)
150(29.2)
48(20.7)
272
無回答者
16

※  比率は 回答者÷学年別総数
※  「1知っている」に関しての自由既述は資料を参照のこと。


表3 選択肢「1知っている」を選んだ大学別・回答者一覧表

  問8就職協定 問9OBリクルーター 問10学校名不問
1 A267名 20(7.5)% 14(5.2) 64(24.0)
2 B225名 27(12.0) 27(12.0) 57(25.2)
3 C173名 37(21.4) 39(22.5) 59(34.1)
4 D63名 18(28.6) 21(33.3) 22(34.9)
5 E104名 22(21.2) 18(17.3) 30(28.8)
6 F79名 51(64.6) 67(84.8) 46(59.0)
総数911名      

※ 比率は 回答者÷学年別総数

表4 選択肢「2聞いたことはあるが内容は知らない」を選んだ大学別・回答者一覧表

  問8就職協定 問9OBリクルーター 問10学校名不問
1 A267名 109名(40.8)% 73(27.3) 101(37.8)
2 B225名 82(36.4) 71(31.6) 97(42.9)
3 C173名 66(38.2) 58(33.5) 68(39.3)
4 D63名 30(47.6) 29(46.0) 27(42.9)
5 E104名 51(49.0) 31(29.8) 38(36.5)
6 F79名 24(30.4) 9(11.4) 24(30.8)
総数911名      

※ 比率は 回答者÷学年別総数

表5 選択肢「3全くわからない」を選んだ大学別・回答者一覧表

 

  問8就職協定 問9OBリクルーター 問10学校名不問
1 A267名 138名(51.7)% 180(67.4) 102(38.2)
2 B225名 116(51.6) 127(56.4) 72(31.9)
3 C173名 70(40.5) 76(43.9) 46(26.6)
4 D63名 15(23.8) 13(20.6) 14(22.2)
5 E104名 31(29.8) 55(52.9) 36(34.6)
6 F79名 4(5.1) 3(3.8) 8(10.3)
総数911名      

※ 比率は 回答者÷学年別総数


「企業の新卒者採用方法について」とした質問紙は、問10で学校名不問<オープン公募制>について尋ねている。表8は学年別と選択肢をクロスさせている。この設問に関しては、「知っている」と答えている比率が2・3年生とも高いことがわかる。2年生では、17.2%と2割近い数値になっているし、3年生で29.2%と3割近い数値にあがっている。4年生では43.1%が知っているところから、「学年名不問<オープン公募制>」が学生間では知られている情報の一つであり、新聞等で目にする機会が多かったものと思われる。
表3・4・5は大学別に学校名不問<オープン公募制>を「1知っている」「2聞いたことはあるが内容は知らない」「3全くわからない」で調査した結果である。「知っている」と「聞いたことはあるが内容は知らない」を合わせると、A・B・E大学で70%近く、C・D大学では80%近く、F大学では、90%近くの学生が意識をもっていることになる。


(2) 企業の採用条件についての分析  (問11・12・14・15)

問11 最近、企業において学校名重視から学校名不問への傾向があると思いますが、あなたは、どのように受けとめられますか。

表6

選択肢 回答者 比率
1よい傾向だ 690名 75.7%
2従来の方法でよい 23 2.5
3どちらともいえない 196 21.5
(無回答者) 3 0.3
912名 100.0%

表7  (大学別一覧表)

大学名 1よい傾向だ 2従来の方法でよい 3どちらともいえない
1 A267名 228(85.4) 3(1.1) 36(13.5%)
2 B225名 185(82.2) 5(2.2) 35(15.6)
3 C173名 107(61.8) 5(2.9) 61(35.3)
4 D62名 34(54.8) 2(3.2) 26(41.9)
5 E104名 91(87.5) 1(1.0) 12(11.5)
6 F78名 45(57.7) 7(9.0) 26(33.3)
総数909名 690 23 196

※ 比率は 回答者÷学年別総数


表6は、問11で企業における学校名重視から学校名不問への傾向があることについて尋ねた結果をまとめたものである。「良い傾向だ」という比率が75.7%と8割近い数値がでてきた。「従来の方法でよい」2.5%の声や、「どちらともいえない」21.5%という声も聞こえるが、両者の合計が24.0%であるからやや消極的な回答数といえるだろう。
問10において、「学校名不問<オープン公募制>」に関心があると見られる数値が、学年別にみても6割から8割近くの学生にあった。(表2参照)つまり、問10の流れを組み込んだような結果となって出てきたのが、「よい傾向だ」の75.7%であろう。
表7は、大学別と問11の選択肢をクロス集計させたものである。「よい傾向だ」の欄をみると、A大学が85.4%、B大学が82.2%、E大学が87.5%で横並びになっている。C大学は61.8%、D大学は54.8%、F大学は57.7%で大差があるといえない。ここで、今回の調査目的に照らし合わせてみたい。偏差値の異なる大学間で、就職にまつわる事柄に対してなんらかの意識の違いがあるのではないかということである。A大学・B大学・E大学とも、偏差値としては高い方ではない。C大学・D大学・F大学は高いランクに属する方である。つまり、偏差値が高いとされる大学に所属する学生は、学校名重視から学校名不問への傾向を特別高く評価しているとは思えないことがわかる。 そのことに関しては、選択肢「どちらともいえない」の欄で、C大学が35.3%、D大学が41.9%、F大学が33.3%と4割前後の回答があったところにも現れている。

問12 学校名不問の採用方法を導入している企業または検討予定の企業が合わせて35.4%<1995年経団連会員企業501社の内>あります。この数値は、今後、増加すると思いますか。思いませんか。

表8

選択肢 回答者 比率
1そう思う 339名 37.2%
2どちらかといえばそう思う 367 40.2
3どちらともいえない 134 14.7
4どちらかといえばそう思わない 48 5.3
5そう思わない 21 2.3
(無回答者) 3 0.3
912名 100.0%

※ 比率は 回答者÷学年別総数


表9 (大学別一覧表)

大学名 1 2 3 4 5
A267名 101(37.8) 116(43.4) 34(12.7) 8(3.0) 8(3.0%)
B225名 87(38.8) 84(37.5) 37(16.5) 12(5.4) 4(1.8)
C173名 58(33.5) 75(43.4) 18(10.4) 17(9.8) 5(2.9)
D62名 26(41.3) 23(36.5) 11(17.5) 2(3.2) 1(1.6)
E104名 38(36.5) 38(36.5) 21(20.2) 6(5.8) 1(1.0)
F78名 29(37.2) 31(39.7) 13(16.7) 3(3.8) 2(2.6)
総数909名          

※ 比率は 回答者÷学年別総数

1=そう思う
2=どちらかといえばそう思う
3=どちらともいえない
4=どちらかといえばそう思わない
5=そう思わない

表8は回答者全てによる選択肢の比率をまとめてみたものである。
「1そう思う」が37.2%で、「2どちらかといえばそう思う」が40.2%で、両方合わせると77.4%になる。学生の8割近くが増加すると思っていることと捉えたい。 表15は大学別と選択肢をクロスしたものである。 「1そう思う」と「2どちらかといえばそう思う」の欄は、A大学からF大学まで、均一に近いような数値(40.0%前後)が示されている。両者の数値を合わせることで、8割近いものになる。各大学に均一的な数値が出たことは、設問の中に具体的なパーセント値が表示されていとことによるものと推測できる。
しかし、学校名不問が今後増加すると思う学生が、かなり多く存在すると考えてよい結果ではないだろうか。

問14 採用の際に重視する事柄1〜9について、重視の程度A・B・Cを平均値にすることによって、どの事柄が重視されるか序列してみる。

A:非常に重視する
B:かなり重視する
C:やや重視する

表10

順位 採用の際に重視する事柄 平均値 回答者
1 8熱意・意欲がある 2.63 906名
2 2人柄・協調性がある 2.55 907
3 3実践的知識・実務能力がある 2.47 907
4 6創造性がある 2.39 907
5 7専門的知識をもっている 2.16 906
6 5個性が豊かである 2.15 908
7 4学生時代に特に力を入れたこと 1.90 906
8 1学校の成績がよい 1.57 906
9 9出身学校がよい 1.51 903

※平均値のだし方は、A=3,B=2,C=1の数値を与えた。

表11 「創造的な人材の育成に関する企業アンケート調査結果」 1995年10月実施

採用に際に重視する事柄(複数回答)

順位 採用の際に重視する事柄 比率(%)
1 熱意・意欲がたかい 86.7
2 人柄・協調性がある 57.3
3 実践的知識・実務能力がある 40.7
4 創造性がある 34.9
5 専門的知識をもっている 31.0
6 個性が豊かである 16.7
7 学生時代に特に力を入れたこと 11.3
8 学校の成績がよい 6.5
9 出身学校がよい 5.0

(注)出典:経団連『創造的な人材の育成に関する懇談会』による。

問14 次に、企業が採用の際に重視する事柄を1〜9にあげますが、あなた自信が、お考えになる重視の程度
A:非常に重視する
B:かなり重視する
C:やや重視する
を記入してください。

「A:非常に重視する」を選択した大学別順位表

表12 単位 パーセント

順位 1 2 3 4 5 6
1 A13.5 E11.5 B10.2 D6.5 C4.1 F1.3
2 F75.6 E68.3 A60.5 C59.9 B59.1 D58.1
3 C67.4 E63.5 A61.3 B60.9 D50.0 F29.5
4 F50.0 D25.8 B23.6 C22.2 E22.1 A16.9
5 F57.7 D41.9 E41.3 B39.6 C34.9 A31.5
6 B57.3 F56.4 C54.7 D51.6 E48.1 A47.7
7 A49.6 B42.7 C39.8 E33.7 D22.6 F9.0
8 F91.0 E68.3 B67.0 D66.1 C65.5 A63.7
9 E14.6 B13.8 A11.3 F7.8 D6.5 C4.1

※ 数値は資料・問14大学別重視程度表を参照のこと

1 学校の成績がよい
2 人柄・協調性がある
3 実践的知識・実務能力がある
4 学生時代に特に力を入れたこと
5 個性が豊かである
6 創造性がある
7 専門的知識をもっている
8 熱意・意欲がたかい
9 出身学校がよい


表10は採用の際に重視する事柄を平均値の高い順に序列したものである。平均値のだし方は、A:非常に重視する=3,B:かなり重視する=2,C:やや重視する=1の数値を与えたものである。 1位「熱意・意欲がたかい」2.63、2位「人柄・協調性がある」2.55、3位「実践的知識・実務能力がある」2.47、4位「創造性がある」2.39、5位「専門的知識をもっている」2.16、6位「個性が豊かである」2.15、7位「学生時代に特に力を入れたこと」1.90、8位「学校の成績がよい」1,57、9位「出身学校がよい」1.51と順位がつけられた。表19の学生による順位は、経団連(10)に所属する企業側が重視してい順位と比較することにしたい。
表11は1995年10月に経団連が行なった「創造的な人材の育成に関する企業アンケート調査」の結果の一つである。経団連会員企業968社に対して、501社から回答を得たものである。学生側と企業側とで、重視の程度がかなり異なったのは「実践的知識・実務能力がある」という点である。学生側はこの点を重視されるものと考えて、3位にあげている。企業側はこの点に関しては、採用後に伸ばそうと考えているので7位におさまっている。しかし、この点さえ除けば、学生も企業も同様に重視する程度をもっていることになる。その意味でも、熱意・意欲があり、人柄・協調性があれば、出身学校など問題ではなくなるはずである。 表20を見ていただければ、企業側が「出身学校」をほとんど重視していないことが理解できるはずである。
表12は、1〜9の項目について、「A:非常に重視する」を選択した大学別順位表である。1位の欄にはそれぞれの項目を最も重視する比率の高い大学があげられている。
A大学は「学校の成績がよい」(13.5%)、「専門的知識をもっている」(49.6%)で、1位になっている。B大学は「創造性がある」(57.3%)で、1位になっている。C大学は「実践的知識・実務能力がある」(67.4%)で、1位になっている。 E大学は「出身学校がよい」(14.6%)で、1位になっている。F大学は「人柄・協調性がある」(75.6%)、「学生時代に力を入れたこと」(50.0%)、「個性が豊かである」(57.7%)、「熱意・意欲がたかい」(91.0%)で、1位になっている。D大学は1位の項目はない。この大学の特徴を見るために、2位の欄をみると「学生時代特に力をいれたこと」(25.8%)、「個性が豊かである」(41.9%)が見出だせる。 また、この表を下位の方から見ると、A大学は「学生時代に力を入れたこと」(16.9%)、「個性が豊かである」(31.5%)、「創造性がある」(47.7%)、「熱意・意欲がたかい」(63.7%)で、6位にある。C大学は「出身学校がよい」(4.1%)で、6位にある。 D大学は「人柄・協調性がある」(58.1%)で、6位にある。 F大学は「学校の成績がよい」(1.3%)、「実践的知識・実務能力がある」(29.5%)、「専門的 知識をもっている」(9.0%)で、6位にある。 B大学は「人柄・協調性がある」(59.1%)で、5位にある。 E大学は「学生時代に力を入れたこと」(22.1%)、「創造性がある」(48.1%)で5位にある。 このように、最上位にあるものと最下位にあるものを見ていくと、大学別学生の観点の違いというものが明確になってくる。 特に、「学校の成績がよい」と「出身学校がよい」の欄をみると、偏差値の示すランクを考えさせられるような順位になっている。
「大学名不問<オープン公募制>」は「よい傾向だ」と認める数値の中に、「出身学校がよい」ということに拘る「偏差値という尺度」にしばられた学生の本音は、案外、こういうところに現れてしまうものらしい。

表13−1

順位 選択肢 回答者 比率
1 4 学校名不問の採用 420名 46.7%
2 7 経験者採用(中途採用) 375 41.7
3 6 職種別採用 313 34.8
4 1 通年採用 304 33.8
5 5 派遣型採用 157 17.5
6 3 春の一括採用 90 10.0
7 2 秋の定期採用 82 9.1
8 8 その他 7 0.8
  (無回答者:13名) 1748名  

問15 今後ますます企業は採用方法を多様化していくと考えられます。あなたは、どのような採用方法が主流になっていくと思いますか。将来、実現性の高いと思うものを、2つあげて下さい。

表13−2

大学 1位 2位 3位
1 A267名 4 151名(56.6)% 7 105(39.3) 6 95(35.6)
2 B226 4 113(50.0) 1 85(37.6) 7 76(33.6)
3 C173 7 83(48.0) 4 72(41.6) 6 58(33.5)
4 D63 7 31(49.2) 6 20(31.7) 4 19(30.2)
5 E104 7 47(45.2) 4 43(41.3)

1 40(38.5)

6 40(38.5)

6 F79 1 40(51.3) 6 38(48.7) 7 33(42.3)
総数912名      

※ 比率は回答者÷大学別総数

1  通年採用
2  秋の定期採用
3  春の一括採用
4  学校名不問の採用
5  派遣型採用
6  職種別採用
7  経験者採用(中途採用)
8  その他

表13−1は複数回答の多いものを序列したものである。1位が「学校名不問」(46.7%)ということは、半数近くの学生は採用方法の主流が学校名ではなく、能力主義・実力主義の方法になっていくと考えていると受けとめられる。 2位は「経験者(中途採用)」(41.7%)があげられている。つまり、春の新卒者一括採用というのが主流ではなく、きぎょうにおいて人材の必要なときに、即職務が遂行できる経験者を採用していくものである。 今回の調査対象者は、新卒対象として企業から扱われる立場にも拘わらず、将来的な視線で企業の採用をみれば、経験者の方が有利であるとみなしていることになる。3位の「職種別採用」(34.8%)の選択も、企業が学生の職業意識を高める観点から、導入・検討しているところが70%近くある。(11)
4位は「通年採用」(33.8%)であり、この採用方法については企業か実施を進めている報告などが新聞の記事で見られることもあり、妥当な選択といえる。5位の「派遣型採用」(17.5%)については、まだ採用実施の企業が限定されていることも多いが、コスト面を考慮すると主流になる可能性もある。
6位は「春の一括採用」(10.0%)である、経験者採用や定期採用が中心になれば、当然比率は下がる。7位「秋の定期採用」(9.1%)は、企業間では活発な働きをみせている点があるが、現実問題として、日本の学校制度を考えると学生間には受け入れにくいであろう。8位「その他」の内容に関しては、別の機会に公表したい。
表13−2は問15を大学別に選択肢の1〜3位で一覧にしたものである。
各大学共、選択肢の種類に変化が見られないが、順位がそれぞれ異なる。比率の割合からみても、選択肢毎に大差はない。しかし、F大学のみが「学校名不問の採用」を上位3位までに取り上げていないのは、調査対象の中心が4年生であり現実に就職活動を行なっている際に、学校名の威力が、入社試験において反映する体験を味わっている面があるように思われる。
この章では、学生の「就職」に対する意識というものが、偏差値の異なる大学間では、どのように違いをもつか、質問しによって調査した結果を分析してきた。結果報告は全項目にわたって発表できなかったが、3つに分けた領域の回答は、大学別・学部別・学年別・性別で見ても、選択肢が大きく異なるとか、数値のうえで、大差が見られるということはなかった。しかし、問14のような質問(企業が採用で重視する事柄を自己判断で、重視の程度を三段階の中から一つ選ぶというもの)では、大学によって重視項目の程度の度合いが明確に違っていることが発見された。つまり、就職に対する基本的意識や就職活動に関する知識は、偏差値の異なる大学間の相違を見た。
今回の調査目的には、「学校名不問<オープン公募制>」について、学生間の受けとめ方をみるということがあった。学校名不問<オープン公募制>を知る学生は、各大学とも半数以上は存在する。その採用方法もよい傾向であると認めている。今後、採用方法の主流になるであろうと答えている。だが、結果として「学校名(出身学校がよい)を問う」比率の高い大学は、偏差値の尺度にすると低いということがわかったのである。

5 おわりに 〜オープン公募制の今後の展開

「学生の就職に対する意識」として、オープン公募制に関する質問項目のみを分析してきた。「偏差値という尺度」を通すことによって、大学間における学生の意識の差異が理解された。
「オープン公募制」の背景には、産業構造的転換を十分に意識させるものがあり、企業発展を考慮するゆえに「創造性とチャレンジング精神あふれる」新しい担い手を採用しなくてはならないという確固たるものがある。そのためには、非効率ではあるが一人一人の評価を多面的にチェックしていく方法を採らざるをえない。実際に、採用試験にあたったトヨタ自動車の人事担当者は、確かに採用決定までに時間がかかりましたが「手応えのある人物」を採用できましたと後述している。
「大学名を問わない<オープン公募制>」は裏をかえせば、「学歴主義(学校歴)」である。 しかし、『日本の教育システム−構造と変動』の著者天野郁夫は「変革の可能性」として、「昭和」という時代が終焉した現在、「学歴の時代」も成熟期を迎えているとし、「それでは成熟のあと、学歴の時代はいったいどこを目指そうとしているのか。そのゆくえをうらなう材料が、十分にそろってはいない。 しかし同時に学歴社会がひとつの大きな転換点にさしかかっていることを表す変化の兆候は少なくない(12)。」と述べている。「就職」は、社会人への第一歩であり、企業に入ることを中心に考えれば、自分の利益を追求するためによりよい条件の企業を選択しなくてはならない。そのための準備期間が、「偏差値の高い一流校」をめざす大学(学校歴)主義」を生み出すに至ってのであろう。
しかし、戦後50年余にわたり我が国の発展を支えてきた経済社会システムが、内外の環境変化の中で限界を露呈している状況にあるとして、大きな転換期を迎えていることは事実であり、採用において「学歴(学校歴)」のみを重視することが企業にとってもプラスにつながるとばかりいかなくなっている構造的変化を強調したい。
企業社会へ就職を目指す学生にとっても、自分の置かれている位置をはっきりと見極めていることが重要であり、時代の転換点を読み取る学習を怠ってはならない。
「生涯学習社会」はなるべくしてなった社会である。人々のもっている学習への潜在的要求が、少しづつであるが日本という国の文教政策を変化させていき、制度化してきた。
企業が「生涯学習」を基軸にすることは考えにくい点があるが、生涯学習化された社会の動向については無関心であるはずがない。「どこの大学を出たか、よりも、何を学んできたか・何ができるか」は個人の学習歴を評価するものである。 その意味においても、「学校名を問わない<オープン公募制>」が今後、どの程度企業に理解され、採用されていくかその展開の可能性を注目していきたい。
尚、修士論文にとりかかった1995(平成7)年に、資料として入手した経団連・創造的な人材の育成に関する懇談会の「創造的な人材の育成に関するアンケート調査結果」概要おいて、採用の多様化の導入状況があった。 その中に「学校名不問の採用」があり、すでに導入している企業が7.5%、検討中または検討予定とする企業が27.9%であった。両方を合わせた(35.4%)の数値を、学生に対するアンケート調査の問12の説問に取り入れた。
そして、1998(平成10)年6月27日読売新聞(夕刊)で取り上げた労働省調査の結果を見ると、新規大卒者の定期採用で出身大学名を一切問わないで選考する大企業が約34%に上がることが、27日までの労働省の雇用管理調査で明らかになった。同省では「大学名が入社試験の際に重視されない時代になりつつあることを示している」と述べている。
また、「今後実施することを検討中」は、5千人以上で24.0%に上がり、大企業でも将来は「学校名不問」の方式がさらに広がるものとみられる。(13)
この記事からも、企業社会の構造変化を見据えながら生涯学習社会との関連を研究課題としていくことが重要ではないかと考えている。


〔註〕
(1) 読売新聞 1995年6月20日(夕刊)
(2) 経済企画庁 1996年、『平成8年版経済白書』大蔵省印刷局「平成8年度年次経済報告(経済白書)公表あたって」より。
(3) No.1994−04『個人と企業の自りつと調和〜日本型雇用慣行の中長期的展望〜』社団法人経済同友会、1994年、5頁。
(4) 社団法人「経済同友会」1989年12月提言概要書、6頁。
(5) 社団法人「経済同友会」1994年4月提言概要書、4頁。
(6) 新・日本的経営システム等研究プロジェクト編 1995年、『新時代の「日本的経営」〜挑戦すべき方向とその具体策』日本経営者団体連盟、31頁。
(7) トヨタ自動車株式会社東京総務人事室Y・T氏へインタビュウ。(1996年2月13日実施)
(8) 偏差値はS予備校、Yゼミナール、K塾三校の96年度入試ランキングを基に平均化し、ランク分けしたものである。
(9) 問13は記述式にしたためにデータが多く除外した。
(10) 社団法人「経済団体連合会」は1995年11月21日経団連・創造的な人材の育成に関する懇談会による「創造的な人材の育成に関する企業アンケート調査結果」概要を発表した。調査内容の一つに「人材の採用について」の項目があり、採用の際に重視する事柄を会員企業に尋ねている。
(11) 経団連同アンケート調査「採用方法の多様化」についての回答結果によるもの。
(12) 天野郁夫1996年『日本の教育システム――構造と変化』東京大学出版会、240頁
(13) 読売新聞 1998年6月27日(夕刊)。労働省調査:「学校名不問採用」に関する質問は始めてで、今年1月、従業員30人以上の企業約4800社から回答を得たものそれによると、出身大学名を問わないと答えたのは全体の49.0%。5千人以上の大企業では33.9%、千人以上5千人未満は41.9%、三百人以上千人未満は45.7%、百人以上三百人未満は55.5%、百人未満は46.5%だった。

〔添付資料〕
(1) トヨタ自動車・総務部人事室Y・T氏へのインタビュウ内容。
(2) 学生に対する質問紙「企業の新卒者採用方法について」配付資料。


INTERVIEW

今年6月1日に貴社が発表されました「オープン公募制」について、その背景ならびに実施方法、人づくり等にお答え頂きたくお願い申しあげます。

1)オープン公募制と従来の採用方法との違い

@「指定校制度」のメリット/デメリット
※ 「オープン公募制」以前の採用大学の構成はどのようだったのでしょうか。
A「オープン公募制」のメリット/デメリット
B「オープン公募制」の採用試験の方法について具体的にお知らせ下さい。
(手順→応募→選択基準→面接→採用<内容>等)
※人物重視についてのチェックポイントはどのようなところでしょうか。

2)オープン公募の意図しているものと現実がどのように違うのでしょうか。

@「多様な人材を広く求めチャレンジングで創造性あふれる人材を確保する」という理由などは?

A産業界には「日本型雇用慣行」の崩壊が叫ばれていますが、このことに関しては?

3)どのような手続きをすることによって、企業に充足がもたらされるのでしょうか。

@ 企業が新卒者に望むことは何でしょうか。
A 企業が大学の教育に対する要望は?

4)入社以降の手続きはどのようになされるのでしょうか。

@企業において人づくりの面は今後どのようなスタンスをお取りになるのでしょうか。
B 企業内で生涯学習(教育)を推進するような機会はあるのでしょうか。

5)その他

@「オープン公募制」に対する社員の皆様の反応はどうだったのでしょうか。
A「オープン公募制」に関する書類(応募要項等)は頂くことができるのでしょうか。

以上


「企業の新卒者採用方法について」

平成8年 月
文教大学大学院人間科学研究科
生涯学習専攻2年 野口八重子
(指導教授 稲越孝雄)

アンケートご協力のお願い

◎ 回答方法は、該当する番号を○で囲んでいただくか、または、具体的にお書きいただけますようお願いいたします。

あなた自身についてお聞きします。

問1(  )大学(  )学部(  )学科/課程(  )専攻/専修(  )年

問2 性別 1.男性 2.女性

問3 年令  (  )歳

就職に対する基本的意識についてお聞きします

問4 働く目的や理由について、あなたは、どんな考え方をお持ちですか。
あなたの気持ちに近いものを、2つあげて下さい。

1 人間の務めだから
2 自分の生活を豊かにする
3 生活を支えるため
4 社会的地位を得たい
5 プライドを持って生きていたい
6 自分の能力をためしたい
7 仕事を通じて社会に貢献したい
8 企業の発展のためにつくしたい
9 自分の夢をかなえるため
10 その他

問5 あなたは、どんな職業につきたいですか。1つだけあげて下さい。

1 食品
2 建設・不動産
3 繊維
4 紙・ゴム・窯業
5 科学・薬品
6 鉄鋼・非金属
7 石油
8 電力・ガス
9 電気機器
10 造船・機械
11 自動車
12 精密・楽器
13 銀行・証券
14 保険
15 運輸
16 情報・通信
17 商社
18 百貨店・スーパー
19 公務員
20 サービス・その他(    )

問6 もしあなたが、会社を選ぶとしたら、あなたが重視するポイントを、2つあげて下さい。

1 自分の能力・個性が生かせる
2 社会的地位が得られる
3 自分のやりたい仕事(職種)ができる
4 経営者に魅力がある
5 安定性がある
6 地理的条件が良い
7 出身大学や男女によっての差別がない
8 成長性・将来性がある
9 福利厚生施設が良い
10 一流企業である
11 賃金・労働条件が良い
12 先輩・知人がいる
13 その他(    )

問7 就職試験の合否に影響すると思うものを、2つあげて下さい。
※ (入社試験の成績は除外してお考え下さい)

1 資格・免許
2 縁故・コネ
3 学校での成績
4 部活動でリーダー等の経験
5 容姿・容貌
6 他の人にない特技
7 ボランティア活動の経験
8 語学の堪能制
9 人間性・人格
10 留学経験
11 学校名
12 その他(   )

就職活動に関する知識についてお聞きします

問8 就職協定とは、どのようなものか知っていますか

1 知っている(知っていることを書いて下さい:     )
2 聞いたことはあるが内容は知らない
3 全くわからない

問9 OBリクルーターとはどのようなものか知っていますか。

1 知っている(知っていることを書いて下さい:     )
2 聞いたことはあるが内容は知らない
3 全くわからない

問10 学校名不問<オープン公募制>とはどのようなものか知っていますか。

1 知っている(知っていることを書いて下さい:     )
2 聞いたことはあるが内容は知らない
3 全くわからない

企業の採用条件についてお聞きします

問11 最近、企業において学校名不問への傾向があると思いますが、あなたは、どのように受けとめられますか。

1 よい傾向だ
2 従来の方法でよい
3 どちらともいえない

問12 学校名不問の採用方法を導入している企業または検討予定の企業が合わせて35.4%<1995年経団連会員企業501社の内>あります。この数値は、今後、増加すると思いますか、思いませんか。

1 そう思う
2 どちらかといえばそう思う
3 どちらともいえない
4 どちらかといえばそう思わない
5 そう思わない

問13 あなたが、就職を希望する企業で<オープン公募制>を採用しており、面接で「あなたが今までに最も挑戦したといえることは何ですか。」と、質問された場合、どのようにお答えになりますか。下記の記入欄にお書き下さい。

問14 次に、企業が採用の際に重視する事柄を1〜9にあげますが、あなた自信が、お考えになる程度
A:非常に重視する
B:かなり重視する
C:やや重視する
を記入して下さい。

採用の際に重視する事柄 程度
1 学校の成績がよい  
2 人柄・協調性がある  
3 実践的知識・実務能力がある  
4 学生時代特に力を入れたこと  
5 個性が豊かである  
6 創造性がある  
7 専門的知識をもっている  
8 熱意・意欲がたかい  
9 出身学校がよい  

問15 今後ますます企業は採用方法を多様化していくと考えられます。あなたは、どのような採用方法が主流になっていくと思いますか。将来、実現性の高いと思うものを、2つあげて下さい。

1 通年採用
2 秋の定期採用
3 春の一括採用
4 学校名不問の採用
5 派遣型採用
6 職種別採用
7 経験者採用(中途採用)
8 その他(    )


−ご協力ありがとうございました。−


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