知らなきゃ困る「避妊法」と「性感染症」

 
[1]避妊法について(妊娠の調節・抑制)
 出産は感動的瞬間です。赤ちゃんは両親からこのうえない祝福を受けて生まれてくるのが望ましく、その子にとっても一番素晴らしい人生のスタートです。
もし、赤ちゃんを育てるだけの力がないとき、赤ちゃんがほしくないときは、避妊することが重要です。避妊方法には、いくつかの種類がありますが、それぞれ使用方法や使用部位が異なり、メリット、デメリットもあります。
自分の年齢や健康状態にあわせて、無理のない避妊方法を選んでいくことが必要です。
 @ 膣外射精
 A 基礎体温法 オギノ式
  B コンドーム
 C 殺精子剤
 D ペッサリー
 E 経口避妊薬(ピル)
  F 子宮内避妊具
 G 不妊手術
 H  緊急避妊法
  膣外射精
 射精する直前に膣外に、射精する方法です。特別な用具は必要ありませんが、他の避妊方法を用意していなかったときの緊急手段であると考えてください。この方法は失敗率が20%ぐらいと高いのでお薦めできません。
  基礎体温法(オギノ式)
 基礎体温で排卵を推定して避妊に利用するという方法です。女性の身体はホルモンの影響を受けながら一定のリズムで月経を繰り返しています。正常の基礎体温は2相性で28日前後の周期で月経がきます。月経と月経の中間に排卵日があります。排卵ののち高温相にうつります。排卵日およびその前後4日間ぐらいは、妊娠しやすい時期です。つまり、卵子の受精能力は24時間、精子は3〜7日間生存可能です。たとえば月経中に性交をもって、精子が生きている場合月経直後に排卵があれば、妊娠することもあります。病気で高温になったのとまちがって判断することもあります。
 従って月経は、身体の異常やストレスなどに影響を受けて、遅れたり無月経になることがあり、オギノ式だけで避妊することは非常にむずかしいです。従って、性活動の活発な年代には、不向きであります。
  コンドーム
 コンドームというゴム製の袋を男性側が装着するものであります。メリットは医師の処方箋なしに気軽に入手でき、エイズを含む性感染症を予防できるということです。最大の欠点は、失敗率つまり妊娠率が意外に高く、2〜12%ということです。原因はコンドームの破損や脱落といった以外に性交の途中から使用したために、分泌液の中に精子が混じっていたということがあります。
 従って、コンドームで避妊をと考えるなら男性任せにせずに女性が自分で用意するくらいの自主性をもたねばいけません。
  殺精子剤
 膣の中で精子を殺すゼリー、フィルム、錠剤を性交渉の前に挿入します。これらの避妊効果は挿入後5分たってからでないと現れず、また持続時間は約1時間です。この間に射精が行わなければ、もう一度入れなおす必要があります。単独で使用すると失敗率が高いのでコンドームと併用すると高い避妊効果があげられます。
  ペッサリー
 女性の子宮膣部にキャップをかぶせて精子の侵入を防ぐものです。ピルが使えない女性や、授乳中の女性に適しています。しかし正確な位置に装着できないため失敗率が高く、単独使用では、約12%となっているため殺精子剤との併用が必要であります。
 経口避妊薬(ピル)
 排卵を抑えることにより避妊する方法です。避妊効果が高く理想的ですが、飲める人と飲めない人があり、医師の処方箋が必要です。メリットは貧血の頻度を下げる、骨盤内感染症を下げるといったことがあります。デメリットは血栓症、脳血管疾患、心血管疾患の既往がある人、35歳以上のヘビースモーカーの人です。タバコを吸うと血栓症を起こす確率があがります。  
 また、ピルでは、性感染症の予防ができません。
 副作用を起こしにくい低用量ピルが去年より日本で認可されていますので飲めるかどうか医師に相談してください。ピルには21日間飲んで7日間休薬するタイプと28日間飲み続けるタイプのものがあります。28日間タイプの7日間分はプラセボです。どちらのタイプを選ぶかは好みです。
 子宮内避妊具
 子宮内避妊具といわれる避妊リングを子宮内に入れておき、受精卵が着床するのを防ぐ方法です。子宮内避妊具は一度入れれば2年間は、交換しなくてもよいですが人によっては出血や下腹痛があらわれることがあります。基本的には出産経験がある人が対象です。
 不妊手術
 女性では卵管結紮術、男性では精管結紮術で俗にいうパイプカットという方法です。この方法は避妊効果が非常に高いのですが元に戻す手術を受けても妊娠できる可能性は低いため子どもがこれ以上ほしくない人が対象で、若い方には向きません。
 緊急避妊法
 唯一、性交渉をもってしまったあとでも避妊できる、避妊法の駆け込み寺とでもいうべき方法が緊急避妊法です。避妊に失敗したり、避妊をしなかった際それに引き続いておこる危険性の高い妊娠を回避するための方法です。
 性交後72時間以内にピルを2錠飲み、12時間後にさらに2錠を飲みます。
 これは産婦人科で処方が必要です。失敗率は正確には把握していませんが数%であるとされています。
 望まない妊娠の結果として受ける身体的、精神的トラウマを回避しえる緊急手段としてこれをぜひ覚えてください。
 以上の避妊法でどれが20代前後の女性に適当な方法かということですが、理想的には妊娠回避率の高い低用量ピルがすすめられます。しかし、ピルでは性感染症の予防ができないためコンドームを併用することが大切になるのです。
 


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