数理計画 2001年度中間試験問題

解答上の注意

問題1

以下の線形計画問題に関して次の問いに答えよ.


線形計画問題:

min. z=  -3x1-5x2    
s.t.   x1+7x2 140
    -2x1-4x2 -100
    2x1+x2 70
    x1,x2 0

(1) 上記の線形計画問題の実行可能領域をx1-x2平面上に図示しなさい.
(2) 小問(1)で描いた実行可能領域の図を基に,上記の線形計画問題の最適解と最適値を求めなさい.
(3) 上記の線形計画問題を標準形に変形せよ.
(4) 上記の線形計画問題の最適値と最適解を『総当り法』で求めよ.
(5) 上記の線形計画問題の最適値と最適解を『シンプレックス法』で求めよ.

問題2

以下の最適化問題を数理計画問題として定式化せよ.最適解を求める必要はない.

 

(1)
競泳選手の吉本君はプロテイン(たんぱく質)を有効に摂取し利用した10日間の集中的な筋力トレーニングを計画している.吉本君が購入可能なプロテインを含む栄養剤は4種類存在し,各栄養剤の成分比率と価格は表3-1のようにまとめられる.

表3-1:プロテイン含有栄養剤(4種類)の成分比率と価格

  プロテイン含有率(%) 脂肪含有率(%) 100gあたりの価格(円)
栄養剤A 90 5 1000円
栄養剤B 80 10 800円
栄養剤C 75 15 700円
栄養剤D 70 25 500円

吉本君の計画では1日当り200g以上のプロテインの摂取が必要である.ただし,栄養剤からの脂肪の摂取は1日当り30g以内に抑えなくてはならない.各栄養剤は欲しいだけ量り売りで購入することが可能である.10日間に必要な栄養剤を最も安く購入するにはどのように購入計画を立てればよいか.

 

(2) 文教工業は2つの倉庫から,3つの販売所にある商品を輸送している.2つの倉庫の在庫量,3つの販売所の需要量,そして,各倉庫と販売所間の製品1つ当たりの輸送コストは以下の表3-2のようにまとめられる.

表3-2:倉庫-販売所間の輸送コスト,および各供給・需要量

  販売所A 販売所B 販売所C 在庫量(台)
倉庫1 3千円 6千円 8千円 50
倉庫2 4千円 10千円 7千円 70
需要量(台) 50 30 40  

文教工業としては,各倉庫から各販売所への総輸送コストが最小になるように商品を輸送したい.さて,どのような輸送計画を立てればよいか.

 

(3) 薬品メーカー「湘南」では薬品A,薬品B,薬品Cの3種類の薬品を契約どおりの量を来月1ヶ月の間に生産し出荷しなくてはならない.また各薬品の卸値は既に契約済みである.各薬品の生産しなくてはならない契約量と卸値は表3-3にまとめられている.

表3-3:各薬品の契約量と卸値

  契約生産量 卸値
薬品A 100 kg 50 万円/kg
薬品B 150 kg 40 万円/kg
薬品C 180 kg 60 万円/kg

メーカーが持つ機械1と機械2の2つの機械は薬品A,薬品B,薬品Cのどの薬品でも製造が可能で,ひとつの薬品の生産量を2つの機械で分割して生産してもかまわない.各機械が各薬品を生産する場合にかかる時間は表3-4に, 生産費用は表3-5にまとめられている.

表3-4:各薬品1kgの生産に必要な時間

  機械1 機械2
薬品A 0.5 時間 1.25 時間
薬品B 1 時間 1 時間
薬品C 0.75 時間 0.5 時間

表3-5:各薬品1kgの生産に必要な費用

  機械1 機械2
薬品A 20 万円 25 万円
薬品B 15 万円 30 万円
薬品C 30 万円 40 万円

なお, 来月の機械1の稼動可能時間は120時間で,機械2の可能稼働時間は160時間である.各機械で各薬品をどのように生産する生産計画を立てればよいか.

問題3

次の問いに答えなさい.

 

(1) ORにおける数理計画の役割を簡潔に述べなさい.
(2) 数理計画問題と線形計画問題は各々どのような問題なのか,それらの関係を明らかにしながら簡潔に説明しなさい.

作成: 根本 俊男(文教大学情報学部経営情報学科)
  e-mail: nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp
実施: 2001年5月25日