演習8-8

文教石油では3つの産油地(産油地1,産油地2,産油地3)を持ち,4つの消費国(国A,国B,国C,国D)に産油地で採掘された原油を運んでいる.輸送は主にタンカーで行う.しかし,輸送量が膨大でタンカーを頻繁に運行するので,個々のタンカーの運行状況から輸送費を割り出さなくとも,産油地と消費国間の輸送によって生じるの年間輸送費は,そのルートの年間輸送量と単位量(1億トン)当たりの輸送費との積で算出できることが経験的にわかっている.文教石油の原油販売に関する基礎データは以下の表1から表3のように示される.

表1:産油地と消費国間の単位量(1億トン)当たりの輸送費

  国A 国B 国C 国D
産油地@ 4億円 8億円 9億円 -
産油地A 3億円 4億円 - 6億円
産油地B - - 1億円 9億円
  ※表1において,「−」部分は,政治的な理由で輸送が不可能なことをあらわす.
  ※各産油地と消費国間の輸送ルートは安定しており,十分な量の輸送が可能である.

表2:産油地の原油の年間生産量

産油地@ 50億トン
産油地A 70億トン
産油地B 20億トン

表3:消費国の年間原油購入量

国A 10億トン
国B 50億トン
国C 20億トン
国D 40億トン

以下の問いに答えよ.

(1) 現在の状況は,原油が生産過剰なのか.それとも,生産量が不足しており需要を満たすことができない状況なのか.データを示して判断しなさい.
(2) 現在,文教石油では各産油地から各消費国への輸送を以下の表4に示されているように行っている.現在の輸送状況における年間輸送費はいくらか?

表4:現在の産油地と消費国間の輸送状況

  国Aへ 国Bへ 国Cへ 国Dへ
産油地@から 0 50億トン 0 -
産油地Aから 10億トン 0 - 40億トン
産油地Bから - - 20億トン 0

 

(3) 文教石油としては,各消費国の年間購入量の増加は見込めないので,利潤をより多く生み出すために年間の輸送コストを最小にしたい.そこで,現在の輸送状況を見直したい.年間輸送費が最小な原油の輸送計画を文教石油に提案しなさい.ただし,各消費国に購入量の原油は必ず運ばなくてはならないとする.
(4) 小問(3)で提案した輸送計画を採用した場合,現在の輸送状況に比べてどのくらい年間輸送費が節約できますか?

1998年度OR期末試験問題2より(作成:根本俊男,文教大学情報学部経営情報学科,nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp)