文教堂では地元出身の人気グループ「SAS」のチケット販売を手がけることになった.チケット販売の予約は電話により受け付ける.そこで電話予約受付用の回線を50回線準備し対応することにした.予約のための電話をかける行為を「コール」と呼ぶことにする.コールは全国からでたらめに行われ,予約受付に要した作業時間もでたらめであったとする.コールした際に,予約用の全回線が使用されているときは話中となり,かけ直さない限りつながることはない.以下の問いに答えよ.
(1) | コールを客の到着,予約受付を窓口とした待ち行列系とこの状況を捉えた場合,ケンドールの記号ではどのように表現できるか. |
(2) |
コールの到着率をλ,ひとつの電話回線のサービス率をμとしたときに,電話回線がひとつでも空いている確率R50 は, R50 = 50μ/(λ+50μ) で与えられるという.この式は電話回線が1回線しかないときにその回線が空いている確率R1 が R1 = μ/(λ+μ) で与えられ,50回線あればサービス率が50倍であることから得られる.ここで,確率R1 が上記の式で得られる導出過程を解説せよ.その際,以下の事実は既知として利用してかまわない.
|
(3) | 実際に予約受付を行ったところ,電話回線は受付時間中同程度で大変込み合い,後日の調査によると,予約窓口につながった割合は10回のコール中1回であったそうだ.また,予約受付オペレーターを観察しているとひとつの回線のサービス率は10(件/時間)であった.さて,コールの到着率はどの程度あったのだろうか. |
(4) | 上記の状況で,予約窓口につながる割合を4回のコールで1回はつながるように改善したい.予約用の回線を少なくとも何回線準備するべきだろうか.提案せよ. |
2000年度 生産管理論 期末試験 問題1より
作成:根本俊男(文教大学情報学部経営情報学科:nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp)