演習3

ある単位正方領域(一辺の長さが1の正方形)内に描かれた適当な図形領域の面積を求める一つの方法として以下のようなやり方が考えられる.

方法 Step1: 単位正方領域にN個の「でたらめに」点をばらまく.  

 図1:単位正方領域に描かれた適当な図とでたらめな点.

Step2: 描かれた図形領域内に入っている点の数を数える.(a個だったとする)
Step3: 単位正方領域内に描かれた図形領域の面積はa/Nと推測できる.
例題

右の図1は単位正方領域とそこに描かれた適当な図形領域を,そして,点はでたらめにばらまいた点を示す.ばらまかれた点は16個,描かれた図形領域内の点はそのうち4個である.よって,描かれた図形領域の面積は4/16=1/4と推測できる.

以下の問に答えよ.

(1) 上記の方法で描かれた図形の面積を推定する場合,より精度を挙げるにはどのような工夫が必要か.簡潔に述べなさい.
(2)

この方法を表計算ソフト用いて実現したい.正方単位領域内のでたらめな点はどのように発生させればよいか簡潔に説明しなさい.

(3) 単位正方領域の左下隅の角を中心とした単位円(半径1の円)が正方領域上に描かれている(右図参照:単位正方領域上では1/4-円のみが関係する).

上記の方法で,1/4-円の面積を表計算ソフト(またはある言語)を用いて実験を通して推定したい.どのようにすれば1/4-円の面積を推定できるだろうか.具体的に実験方法を説明せよ.必要ならば以下のヒントを利用しても良い.

ヒント:
円の中心が原点(0,0)の半径1の円の内部領域はx2+y2<=1の不等式で表現される.これを利用すると,例えば,(x,y)=(0.3,0.7)という座標で表現される点は(0.3)2+(0.7)2=0.58<1なので円領域内の点であることがわかる.一方,(x,y)=(0.9,0.8)という座標で表現される点は(0.9)2+(0.8)2=1.45>1なので1/4-円領域外の点であることがわかる.

(4) 上記の実験を利用して円周率πを求めたい.どのように応用すればよいのか簡潔に述べよ.

ちなみに,一般的な円の面積はπr2である(rは円の半径を示す).


1999年度シミュレーション秋学期期末試験問題1より
作成: 根本 俊男
  (文教大学情報学部経営情報学科)
  e-mail: nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp