文教町では行政相談窓口を住民サービスの一環として設置している.窓口はひとつで,相談者一人ずつ到着順に相談に応じるようにしている.文教町としては手間はかかるが,様々な相談に親身に応じてくれるとの評判で,定常的に相談者が窓口を訪れるようになっている.そこで,窓口の利用状況を調べてみた.その結果,1時間当たり平均8人の町民がでたらめに窓口に訪れ,一人当たりの相談時間もでたらめで平均6分であった.相談窓口前の待合室は十分な広さが確保してある.
以下の問いに答えよ.
(1) | 相談者を「客」,相談窓口を「窓口」に対応させ上記の状況を待ち行列系として捉えたとする.この待ち行列系をケンドールの記号で表現せよ. | |
(2) | この待ち行列系の到着率λとサービス率μを単位を添えて答えよ. | |
(3) |
相談窓口に相談者がいない確率をP0 とすると, P0 = 1-λ/μ で与えられるという.相談窓口の稼動率を求めよ. |
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(4) |
上記(3)で窓口に相談者がいない確率P0 が 1-λ/μ
で与えられたが,どのようにすると導かれるのか,その導出過程を解説せよ.その際,以下の事実は解説や証明を省いて利用してもかまわない.
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(5) | 系内に滞留する人数の期待値はρ/(1-ρ)で与えられるという.ここで,ρは窓口の稼働率である.系内に滞留する人数の期待値を求めよ. | |
(6) | 系内に滞留する人数の期待値を3名以内にしたい.目標を達成できる範囲で最大の平均相談時間を求めよ. |
文教産業ではある特殊部品の販売を行っている.特殊部品は毎月の月初めの営業日に発注する定期発注法で管理している.発注された特殊部品は翌月月末の営業日に納品され,翌々月の月初めの営業日に販売可能である.たとえば,4月の月初めの営業日に400個の特殊部品を発注したとすると,5月の月末の営業日に納品され,6月最初の営業日から販売が可能になる.
さて,今日は10月の月初めの営業日である.今年の1月から9月までの期首在庫の変遷,発注状況,需要状況は以下の表1のようになっている.特殊部品の保管にはコストがかかるので,多くの在庫を抱えることはコスト増を招くので困るが,品切れが起きるのも困る.特殊部品の需要状況は今後もしばらくの間は大きな変化は無いと考えられる.なお,期首とは月の最初の営業日開始前の時点を指す.
表1:1月から9月の在庫量・発注量・需要量の記録(単位:個)
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | |
期首在庫量 | 1400 | 807 | 678 | 948 | 935 | 726 | 803 | 658 | 610 | |
期首発注残 | 0 | 500 | 900 | 600 | 400 | 700 | 500 | 600 | 800 | |
発注量 | 500 | 900 | 600 | 400 | 700 | 500 | 600 | 800 | 400 | |
需要量 | 593 | 629 | 630 | 613 | 609 | 623 | 645 | 648 | 590 |
以下の問いに答えよ.
(1) | 10月の期首在庫量,期首発注残を求めよ. |
(2)
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過去9ヶ月のデータから,10月の需要量を推定せよ. |
(3) | 過去9ヶ月のデータから,需要量の標準偏差を推定せよ. |
(4) | 在庫切れの危険性を4%以内に押さえたい.今回の発注量を提案せよ.なお,必要であれば正規分布表を利用せよ. |
次の(1)〜(4)の4つの小問から3問を選択し,問いに答えよ.
(1) | ABC分析を簡潔に解説せよ. |
(2) | Excelを用いてシミュレーション実験を行う.セルD10では次のような条件で値を変化させたい.セルD10に記入するプログラムを記述せよ. |
セルD10でさせたいこと: セルA10で(0,1]一様乱数を発生させ,一様乱数の値が0以上0.3未満の時はセルD9の値を6増やし,0.3以上0.5未満の時はセルD9の値をそのまま代入し,それ以外の時はセルD9の値から4減らす. |
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(3) | シミュレーション実験を行い,結果を出したところ信頼できるデータとは思えないとのコメントをされた.信頼度の高いシミュレーション実験を行うためにはどのような点に気をつければよいか.主要と思われるポイントを理由を添えて少なくとも3点示せ. |
(4) | 11月30日の特別講演会によると,IT業界に必要な人材とはどのような人材であったか.またなぜそのような人材が必要なのか解説せよ. |
作成: | 根本 俊男(文教大学情報学部経営情報学科) |
e-mail: nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp | |
実施: | 2001年12月14日 |