ある工場では,毎日1kgの産業廃棄物が排出される.この産業廃棄物は,工場内の特殊保管庫で一時的に保管され,工場からの依頼に応じて専門処理業者により一括処理される.専門業者は工場からの依頼があると, すぐに処理作業を行い,依頼された量の産業廃棄物をすべて工場外に搬出する.
この産業廃棄物の保管や処理に要する費用は以下のようにまとめられる.なお,1ヶ月は30日,1年間は360日で換算する.
特殊保管庫の機能維持費 | 産業廃棄物1Kgを1年間保管し続けると10万円の費用がかかる.この費用は時間と量に比例する.例えば,半年間1Kgを保持した場合は,5万円であり,1年間80Kg保管し続けた場合は800万円の費用がかかる. |
処理業者へ支払う費用 |
産業廃棄物の量にかかわらず処理依頼1回当たり50万円がかかり,さらに,産業廃棄物1Kgあたり1万円を請求される.例えば,産業廃棄物40Kgの処理を依頼した場合は, 50万円+40Kg×1万円=90万円 請求されることになる. |
以下の問いに答えよ.
(1) | 現在は過去の慣習に従い, 特殊保管庫に40Kgの産業廃棄物が溜まった時点で,業者に処理を依頼するようにしている.現在の方法で産業廃棄物を管理した場合,特殊保管庫内の産業廃棄物量の変化の様子を横軸を1年間の時間経過,縦軸を産業廃棄物量にとしたグラフで表現せよ. なお,開始時は特殊保管庫内の産業廃棄物の量は0と仮定する. |
(2)
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現在の方式で産業廃棄物の保管と処理にかかる年間の総費用を求めよ. |
(3) | ある一定量が特殊保管庫に貯まった時点で処理を依頼するという方式は簡便なので続けたいのだが,「ある一定量」を40Kgにする根拠は見当たらない.そこで,保管に必要な年間総費用を最小にするように見直しを行ってみたい.適切な「ある一定量」を求めよ. |
上で提案した「ある一定量」が特殊保管庫に貯まった時点で,業者に処理を依頼しることにした. ところで,産業廃棄物の保管に関し新しい規制が制定され,50Kgを超す量の保管をする場合は,50Kgを超えた時点で必ずある薬品を注入する処理を行わなくてはならなくなった.50Kgちょうどの時点で業者に処理を頼む時は薬品の注入は必要ない.この薬品の注入には1回当たり22万円の費用がかかる. |
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(4) | 新しい規制の導入により,産業廃棄物の保管に必要な年間の総費用はどの程度増加する求めよ. |
(5) | 新しい規制の導入により,小問(2)で提案した「一定量」を変更する必要はあるか?必要がある場合は,新たな「一定量」を求めよ.必要が無い場合は,その根拠を示せ. |
2001年度生産管理論中間試験問題2より | |
作成: | 根本 俊男(文教大学情報学部経営情報学科) |
e-mail: nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp | |
実施: | 2001年11月6日 |