文教大学のゼミ配属問題

   文教大学 97p21037 大内 徹     

 文教大学経営情報学部では3年生になると「ゼミナール」(以下ゼミ)という科目を履修しなくてはならない。学生は10数個開設されたゼミの中の一つに所属する。すべての学生が行きたいゼミに所属できればいいが、それぞれのゼミには14人という定員があるのでそうはいかない。もしそのゼミに所属したいと希望する学生が定員を越えた時は選考して学生が選ばれ、定員を守られる。現在行われている方法は、学生が一つゼミを選択してそこで一度締め切る。定員以下ならそのまま所属できるが定員を越えるとそのゼミの先生によって成績、面接などから選考される。合格なら所属、不合格ならその学生は今度は定員に余裕のあるゼミから選ぶ、そしてまた締め切る、という段階をすべての学生が所属するまで繰り返すという方法である。
 この方法では第一希望で不合格となってしまった学生は、それ以降は残ったゼミからしか選べない。また、人気のあるゼミに希望を出す事は学生にとって大きな負担がかかる。実際、第一希望はAゼミだったが、確実にBゼミに希望を出して所属したという話を聞く。この学科で開設されるゼミは、経済、経営、OR、会計など多岐の分野にわたっているので、第一希望で所属できない学生は不本意な分野のゼミにしか希望を出せないという事が起こりうる。
 現在の配属方法は学生の第一希望だけを参照して配属をして、第二希望を参照して配属をする、というように何回かに配属を分けている。もし最初にすべての学生のゼミに対する所属したい順番を知ることが出来たらもっと良い配属ができるのではないかと考えた。そこで、理想の配属方法を提案して現在の配属方法と比較をしようと考えた。現在の配属方法の特徴を考慮し、理想の配属方法として安定結婚問題を適用した。
 現在の配属方法と安定結婚問題の配属方法をプログラムで表現し配属シミュレーションを行い、所属したゼミは学生にとって何番目に好ましいかの統計と、ゼミにとって所属している学生は何番目に好ましいのかの統計をとり、2つのは遺族方法の比較をした。安定結婚問題は学生が最も好ましい配属となる学生最良となるような配属プログラムを作成した。学生のゼミに対する順位付けと、ゼミの学生に対する順位付けのデータ作成にあたって人気の集中度を表現し、色々な人気のパターンを表し、プログラムにかけた。
 その結果、現在の配属方法において第1希望に所属できる学生は約60%で所属した学生の割合が最も多く、それ以降は第3希望が多かったり第4希望が多かったりと人気によって変化するという統計が得られた。また安定結婚問題の配属方法においては、第1希望に所属できる学生は約40%で一番多く、次に第2、次に第3希望と少なくなっていくという統計が得られた。
 第1希望に所属できる学生は約40%と新しい配属方法の提案としては説得力に欠ける。また、ゼミにとってはどちらの配属方法も似たような結果になり、どちらの配属方法でもゼミはかまわない、という事が言えそうだ。どちらの配属方法も所属した学生は、ゼミが60番以内に順位付けした学生で90%を占める。これらから現在の配属方法の方が安定結婚問題の配属方法よりも能率が良いという事がわかった。
 安定結婚問題の配属方法は学生最良の配属方法で行った。つまり、安定結婚問題では学生にとってこれ以上良い配属は出来ない反対にゼミの所属した学生に対するランクは他の安定な配属を行えばよくなっていくだろう。しかし、学生最良が最も好ましい配属の学生の所属する順位は悪くなっていく。
 安定結婚問題は安定を制約とするとこにより、学生最良といえどゼミにも不満のないようなという配属を行ってしまい学生にとっては良くない結果に至ったということが考えられる。本来学生の意見が最優先にすべきゼミ配属に、ゼミの意見も学生と対等に受け入れてしまう安定結婚問題はゼミ配属に向いていない事がわかった。