[>2005年01月19日 : 違いを比べるために

 前回のプレゼミで,日本と世界の国々とで何が違うのか,それを考えなければならないと考えました.

 前回議論しているとき,先生がポロリと「日本のアニメと世界のアニメは何が違うのかポジショニングしてみるのも・・」と言ったとき,ビビっと何かが来ました.今まで議論をしている最中は,こういうことは無かったのですが,あの台詞があったときに来ました.

 そして,今回考えたことは「日本と世界の国々のアニメの違いを測るために,ポジショニングをしてみる」ということです.
 違いを測るための軸作りをして,日本がいったい世界のアニメ業界の中で,どのような位置付けをしているのか.それにより,日本のアニメに必要なものは何かを汲み取る・・.
 日本のアニメのポジショニング,これを卒業研究にしていきたいと思いました.
 ポジショニングをするには,軸作りをきちんとしなければいけません.きれいに作り上げなければ,違いを比べる指標にはならないからです.

 この領域の話は,マーケティングの中のものです.
 ポジショニングできるようにしっかり勉強しなければなりません.



[>2005年01月12日 : 議論の展開・構想の構築2

 新年明けて初めてのプレゼミです.
 今日も前回同様に,アニメーターにとって作業環境が良い環境になるには,どうしたらよいか試行錯誤です.

 今回のプレゼミでしたことは,「日本のアニメ産業は他の国々と何が違うのか,何が良いのか」ということを考えました.人件費,技術力,ストーリー構成,Manegement力・・・.
 アニメを作る上で,一体何が大切なのか.その違いと取れたものの差とは何なのか.
 議論していく上で,先生から違いを挙げるときの対象物は具体的でなければ,信頼性にかけると言われました.
 感覚として,違いと取れるものがいくつか挙げられますが,それが本当に違いの物差しとして作用するのか,それが本当に(日本にとって)大切なものなのか.
 とにかく,日本と他国のアニメの差を考える上で,ブレイクスルーになりうるものがないか,考える必要がありそうです.

 物差しになるものが出てくれば,日本の技術が低下しているのか,それとも日本の技術が低下しているのではなく,世界各国の技術力が高まっているのか,わかってきそうです.



[>12月01日 : 議論の展開・構想の構築

 本日は,卒業論文の題材について,骨組みを固めたり,論議の輪を広げたりしました.

 まず,私は今までに取り上げてきたように,『アニメーター達の作業環境の改善』をやろうと考えていました.
 しかし,やろうと考えていたことは,信念でははっきりしていても,「言葉」や「構想」としてははっきりしていないことが,今回わかりました.

 先生から指導を受けている最中のことをまとめると,私は「アニメーター達の育成をしたい」んだということを話していました.
 日本の産業(または知的文化)を無くさないため,今考えなければならないことは,
  1. 日本のアニメ技術で足りない物は何か
  2. それを補うためには,どうすればよいか
  3. 補うためにしたことが,どうして必要なのか
という点から,話を展開しました.
 日本のアニメ技術は,アニメの発端であり,発信地であるため,2D技術(アニメに関して興味を持つ人がよく言う「作画」もこれに含めます)が長年の蓄積により,他の国のアニメ技術よりも非常に高い水準にあります.
 しかし,世界のアニメ事情は2Dではなく,3Dに移行しています.これは,現在出ている映画(主に外国産)などを視聴すればわかります.最近では,ファインディング・ニモアイス・エイジといったように,3D技術を駆使した作品が注目を浴びています.
 なぜ3D技術に移行した(している)のかというと,2D技術,つまり手描きによる作品は人がZERO(無)から立ち上げ,仕上げていくので,全ての工程を人が行い,とても時間がかかります.
 対して3D技術による作品は,一番初めの時は2Dと同じくZERO(無)から作り上げていく点で同じなのですが,3D技術の特徴は,一度作り上げた物は,いくらでも応用が利くというところです.

 2D技術や3D技術がよくわからないという人のために少しわかるように説明しましょう.
 とりあえず,紙とシャープペンを用意してください.
 用意したなら,紙に「立体的」な箱を描いて見ましょう.
 立体的に描けない人は,まず平行四辺形を書いて下さい.算数の時に書いた記憶があるでしょう.その平行四辺形の両端の角と間にあるひとつの角(見た目で下にある角)から真下に直線を同じ長さで書いて下さい.3本直線が引けたわけですが,その3本の直線の端(平行四辺形とは逆のところ)を結んでください.2本直線を引くわけですね.すると,箱が書けたと思います.
 箱が描けましたか?

 それでは,描けた箱を違った方向から見えるような絵にしてください.

 アナタなら,どうしますか?一度描いた箱を消しゴムか何かで消しつつ,修正を加えますか?それとも,消したり修正するのもメンドクサイから,新しく箱を描きますか?

 どういう風にしても,もとあった絵を再利用することが出来ないと思います.もとある絵に消しゴムで消して,修正すれば再利用じゃん!って人は,じゃあ修正した箱をもとの箱に直すことができますか?また同じように消しゴムで消して描きなおしますか?じゃあ、描きなおした絵をまたさらに違う角度から見るようにするためには・・・?

 このように2Dの技術では,1度使った絵を再び何かに用いるということが困難です.(リメイク版を出すなどは除く)
 しかし,3Dの技術では,一度箱を描くことができれば,別の視点から見えるようにすることは簡単なのです.くるくるまわすのもお手の物.
 別の海外の作品にシュレックという物があります.これは最近シュレック2が出ましたよね.
 この作品は,もちろん3Dで作り上げているわけですが,2は1で作り上げた絵を使いまわしています.使いまわすというと言い表し方が少しいやらしいですが,要は2は続編なのだから,梃入れ(新しいキャラなどの要素の投入)をしない部分は,前のが使えるでしょ?ということ.
 情報によると,2の制作費が1のときの数分の1で済んだとか.

 話は長くなってしまいましたが,日本は2D技術が高いけれども,3D技術がまだまだだということが言いたかったわけです.現に,今出てきている3Dアニメというと,有名なところでAKIRAなど,数本にしか及びません.

 その技術の進歩が必要な部分を,政府はアニメが売れて成長しようとしているときにすら,放置していたわけです.
 今現在,どうやってアニメーターを育てているかというと,企業自身が自ら行ったり(製作現場で新人育成),専門学校で専門知識として習得させたりしているわけです.
 大学で,アニメーションと前に押し出しているところはなく,今年(2004年)にやっと学部ではなく,学科が出来たくらいです.
 では,アニメを作っている諸外国はどうなのかというと,きちんと大学などが存在しています.国が支援を行い,人材育成を行っているのです.

 国による人材育成が,本当に必要かどうか.日本では,3D技術が他国よりも劣っているとはいえ,2Dの作品でも千と千尋の神隠しのように,オスカー賞を受賞するような技術があるのだから,これに3Dのいろいろな技術が加われば,日本はまだまだアニメ業界での優位性を保ち,且つ産業として大きく成長するのではないのか,と考えました.


 ここで大切なことがひとつ.骨組みを固めるということです.
 今までこうやって熱く語ってきましたが,根本のアニメーター達の作業環境の改善をやって,意味があるのかどうか.意味を見出せず「ふーん,それだけ?」で終わると,構想の地盤がないに等しいわけですから,論議しても意味がありません.自分の話を一蹴されないように,骨組み(地盤または前提)は強固なものでなくてはならない,と先生は言っていました.
 また,論議をしていく上で,話だけをつらつらと言うだけでは,はっきりとした構図が見えにくいため,図によって描き示してくれれば,論議しやすいとも言っていました.

 他の学生の論議の最中(ちゃんと話は聞いていましたよ),ちょっと自分なりに図を描いていました.論議の最中だったのにも関わらず,書かなきゃと思った理由は,同期の学生に「齋藤君のやりたかったことって,アニメーターの育成だったんだ?てっきり,アニメーターの作業している環境が,生活しきれないほど良くないから,それをどうにかしたいんだと思ってた」と言われたからです.

 論議の途中,先生はこんなことを言われていました.
 「研究をしていると,途中で壁にぶつかる.もちろんそれをどうにかしようとするわけだけど,その壁をどうにかしようとすることが研究になっちゃうことが多々ある」
 まさしく,今の私の状況がこれに当てはまると思います.

 私の頭の中での構想を,順を追って説明したいと思います.
 「アニメーターが生活しきれないほど,とても環境が悪い.未来のアニメーター達のために改善してあげたい」こう思ったのは確かです.上記にあるように,そう思われていたのではなく,確かに思っていたのです.
 しかし,「作業環境を改善する(助ける)ほど,日本のアニメ(産業)っていうものは大切なのか?」といった論議になったわけです.
 じゃあ、「アニメが日本において,大切なものかどうかがわかればよい」と思いました.そこで,市場規模や経済規模などを取り上げ,数値化しようとしたわけです.
 市場規模や経済規模などから見れば,アニメによる影響は,自動車産業に比べても分かるとおり,ものすごく影響を及ぼしているものではない.でも,世界的に日本のアニメは,オスカー賞を受賞したりなど,世界でも上位の実力を持っているはずなのに,衰退の一途を辿ろうとしているのはなぜか.
 調べてみると,世界では国が教育機関を設けて,人材育成をして,格段と実力を上げていっているではないか.実力に差がないのなら,こんな人件費がかさむような所でアニメを作らなくても,外国に作成を任せたほうが良いと思うのは一般的なこと.
 実力が"あった"のに,人材育成を怠ったばかりに,まだ拡大しそうな産業をひとつ潰してしまう. そんなことはいけないと思い,「国による人材育成支援を推進したい」と思いました.

 というわけです.

 先生は他にも,「卒業研究をしていく上で,現実の物を見据えすぎて,面白みがなくなっていく生徒が多い.あまり現実ばかりを見るのではなく,(現実の物を見据えつつ)仮想のフィールドを作り,そこで自分なりの構想を練ることが楽しいし,良い物ができる方法」と言っていました.そう簡単にはいかないけどね,とも言っていましたが.


 同門の方達は,議論の中いろいろな発案をしてくれました.
 自分の働くアニメーターの作業環境の中で,いくつかのモデルを作成し(たとえばA,B,Cのアニメーターがいるとして),Aはお金を稼ぎまくっているアニメーター,Bは稼ぎまくってはいないけど生活していくには十分な稼ぎで働いているアニメーター,Cは描いた物の単価が少なくて生活もろくにしていけないようなアニメーター.今有名な宮崎駿監督は,コレだよね,あの有名なアニメーターはコレだよね,一般のアニメーターはコレだよね.じゃあ,こういう風に改善すれば,このタイプのアニメーター達は助かるし,アニメ業界にも貢献するね.
 などなど・・.


 今大事なのは,自分の構想の骨組みをはっきりとわかるようにして,きちんと地盤を作ることです.

 次までに,きちんと構想を(良い意味で)固めたいと思います.



[>11月24日 : 題材収集 & 論議

 まだまだ,題材を決定するまでには至らないので,題材収集と収集した題材についての議論です.
 今回も私は,『アニメーター達の作業環境の改善』を持ってきました.(今回はこれだけ)

 今回は,前回気になっていた事を補足しつつ,議論しました.補足したことは,

  • オタク産業に位置する5分野は                    アニメ,コミック,アイドル,ゲーム,PC系
  • その5分野の経済規模の                      マニア消費層の規模は2900億円
  • それらの分野の経済規模は,2兆3000億円
            (株式会社野村総合研究所調べ)
です.

 経済規模として,2兆3000億円と日本で動いているお金の1%の5兆円にはまだ届きませんが,目標としていた最低1兆円を超えたことと,オタク産業は市場の開拓に成功し,未だ成長を遂げている産業なので,経済規模としては申し分ないと思いました.

 しかし,アニメ,アイドル,コミック等は,明らかに経済規模が(この数値よりも)小さいはず.
 例えば,いくら人気があるSMAP等のアイドルだとしても,1兆円以上の経済規模を上げているとは思えない.
 ゲームやPC系は,明らかに経済規模が(この数値よりも)大きいはず.
 例えば,プレイステーション2が,2兆円ぐらいの経済規模に納まっているはずがない.
 と先生から言われました.
(少し反省点.このあたり(ゲームやPC系)のみんなへの説明が不足していたため,どのような分野での数値かを間違えて受け取られてしまいました.)

 また,経済効果(波及効果)とは,一つの産業があるとして,その産業が生み出す効果により,その産業の売上の約4〜5倍(本当は大変な計算が必要なところを,経験則により,だいたいのところが算出できる)のお金が,その産業の周りで生まれ,動いていることだそうです.
 その経済効果の大きさを言ったのが『経済規模』であり,今回上で述べた数値は,本当は何を言っている(何を計っている)のかが不明確であること,それが問題だと言われました.

 波及効果があるからこその経済規模であり,今回議論したオタク産業は,調べ(株式会社野村総合研究所)である事と,感覚的に感じている事で,類似分野にお金が回っていると思います.つまりは,内部でぐるぐると回転して,他に流れ出ていないということです.
 類似分野にお金が回っている(孤立している)ところに,大きな経済規模があるのかどうか.その経済だけが回っていても,他の経済分野からお金が流入しているのなら,話は別ですが,そのようなお金が入ってきているとは考えにくい.
 ここで出てきたのが,他の学生との議論で,お金だけの指標で計ってはいけないこと.お金以外で何か計ることの出来るモノを用意しなければならないということでした.しかし,この特殊な産業を計ることのできる指標物が,議論中に出ることはありませんでした.
 ここで議論は終了しました.

 他の皆との議論も終わったあとで,先生が日記を書いて(私の場合はココです),記録を残すように言われました.
 なぜなら,卒業研究のように長時間(数ヶ月とかそれ以上)議論をするようなものは,よく同じところで同じような問題に直面し,同じように悩んでいることが多々あるようなので,記録をとり,過去を振り返り,そんなくだらないことを防ごう!ということだからです.

 そのために,記録に残す大事なことは4つ,
  1. その日は何を議論したか
  2. 議論でどんなアドバイスをもらったか
  3. 自分が考えた事は何か
  4. 次への(議論の)課題は何か
です.

 次への課題は,お金ではない新しい指標,または新しい見方を見つけること.

 他にも,まだ卒業研究が始まったばかりなのだから,色々な題材(に目を向けて)を見つけ出していかなければならないという事もあります.

 最後に思ったことは,アニメーターの作業環境を改善したいと思っていたのに,どうしてオタク産業に縛られているんでしょう.
 本当ならアニメはオタクだけのモノではないはずなのに・・。



[>11月17日 : 卒業研究・題材発表

  本日から,卒業研究が本格始動し始めました.
 とりあえずは,卒業研究を行う各自が題材を発表し,それについて論議を行いました.

 私は,ずっと前から気になっていた『アニメーター達の作業環境の改善』を題材に持ってきました.
 題材にもうひとつ,郭先輩のしている卒業研究『予備登録の改善』の,先生と郭先輩との論議を比較的積極的に参加していたため,自分でこの題材をやればどうなるか気になったので,取り上げました.

 この時の論議では,私は日本の産業(または文化)であるアニメを,日本から無くさないために,アニメの戦力であるとともに,育成の場でもあるアニメーターの作業場の環境を良くしなければならないと語りました.
 しかし,先生から「産業と言われるには,最低1兆円の経済規模がなければならない.(3〜5兆円は必要じゃないか?)」と言われ,また「オタク産業と言われる(ということにして)経済規模は,(何処かで見た記事では)5000億円規模.日本で動いているお金は,500兆円.500兆円の0.1%しかない産業を守る必要はあるのか?」とも言われました.
 確かに,規模が小さい産業を資金投入等の援助をしてまで,守る意味はないように,このときは思いました.

 疑問に思ったことは,本当にオタク産業と言われる物の経済規模は,5000億に留まっているのだろうか?ということでした.


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