* ナース・スケジューリング問題とは *


 病棟看護婦の勤務スケジュールは婦長もしくは主任が決定することになっており、勤務は日勤、準夜勤、深夜勤という3つの勤務シフトに分ける3交替制、もしくは日勤と夜勤に分ける2交替制となっている。(ナーススケジューリング)
 なぜ、ここで問題とされているのか? 論文中の1994年3月現在手書きの表を使って病棟看護婦勤務表を作成している婦長と主任の合計40名にアンケート調査結果を参照する。
 「平均勤務表作成時間」の40名分の平均は6.8時間、また「最大作成時間」では、30時間という大きな時間の回答が2名あった。また、これら勤務表作成に費やす時間については、18名つまり45%までの人が休日や勤務終了後といったプライベート時間のみを利用して作成しており、勤務時間内で作成できている人はわずか2名だけの5%である。
これから「勤務表作成時間」の負担は大きな問題となっていることが明らかであるが、事実、勤務表作成に対して70%の人が「苦痛」と答え、90%の人が「やりたくない」などと答えている。また、やりたくない大きな理由には「勤務表作成に費やす時間」に加えて「勤務表が難しい」ことが挙げられていた。
 ここで「勤務表作成が難しい」原因には、看護婦の絶対数が足りないことがまず挙げられる。そして若年早期退職者が多く、常に新人が大きな割合を占めるので勤務上の看護婦組合せを十分考慮しなくてはならない。また、交替制勤務ということから身体的に厳しい勤務続きにならないような考慮も必要である。ぎりぎりの人数でこれらの条件を守ろうと思っても、なかなか満足できるような勤務表が作成できないのが現実で、実際出来上がった勤務表である看護婦の勤務を一ヶ所変更するために一カ月分の全員の勤務表を最初から作り直すということがあるという。
 大まかではあるが、これらの制約を考慮してモデル化したものを数式で解き、最終的に元の現状へフィードバックさせます。