シミュレーション 2000年度 春学期 期末試験問題

作成: 根本 俊男(文教大学情報学部経営情報学科)
  e-mail: nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp
実施: 2000年7月7日

 

解答上の注意

問題1

文教化学ではある高価な液体の化学原料を購入し自社の特殊タンクで保管しながら近くの工場に販売する業務を行っている.この化学原料の流通管理に関する主な情報は以下のとおりである.

仕入れ: 化学原料の搬入はパイプラインにより行われる.発注後即時に納入が開始される.発注にかかる費用は発注量に関係なく1回あたり100億円かかる.ポンプの特質により自社の特殊タンクに化学原料を注入する作業は1日10トン(一定)のペースで休み無く行われる.契約により,発注した量は何日かかろうと必ず全量が自社の特殊タンクに移される.
保管: 特殊タンクの容量には十分余裕があるので,発注した量は全量保管可能であると考えてよい.1トンの化学原料を保持するには300日で10億円かかる.
販売: 化学原料は近くの工場にパイプラインを用いて毎日4トン(一定)の搬出されている.搬出にかかる費用は購入側が負担する契約なので考えなくて良い.

契約により化学原料の在庫がなくなることは許されない.以下の問いに答えよ.

(1) 現在,文教化学では経験により1回あたり120トンの発注を毎回行って業務を遂行している.この場合,発注間隔を何日に設定するのが適当か提案しなさい.
(2) 上記小問(1)で提案した発注間隔で毎回120トンの発注を行った場合,特殊タンクに保管される化学原料の量の推移を必要な数値を併記した適切なグラフで表現せよ.
(3) 上記小問(1)で提案した発注間隔で毎回120トンの発注を行った場合,300日間の在庫管理費はいくらになるか.ここで在庫管理費とは発注にかかる総費用と化学原料の保管にかかる総費用の合計のことである.
(4) ORの知識を利用して最適な発注量を定めるともっと在庫管理費を削減できるらしい.そこで,文教化学のこの化学原料に対する最適な発注量を適切に算出し提案しなさい.その提案に従って発注を行った場合,現在と比べてどの程度在庫管理費が削減できるかにも言及しなさい.

 

問題2

人気ブランド服メーカー「こむ・さ・で・ぶんきょう」の定番商品「こむさのポロシャツ」の過去の週毎の売上量の記録は以下の表のようにまとめられている.定番中の定番で季節により売上量に大きな変動は無い商品である.この商品は発注から納入まで1週間かかり,発注サイクル期間が3週間の定期発注法で管理している.本日は発注日で在庫を調べてみるとは760枚あり,発注残も1400枚あることがわかった.


表:「こむさのポロシャツ」の過去の月毎の売上量

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
売上量(枚) 700 690 620 750 720 710
680
720 750 660

 

品切れ率は5%以下に抑えたい.今回は何枚を発注するのが適切か提案しなさい.必要であれば,別添の正規分布表を使用せよ.

 

 

問題3

以下用語リストからひとつ選択し,その用語の意味を簡潔に説明しなさい.なお,時間があればひとつ以上解答してもかまわない.

(1) ABC分析
(2) EOQ
(3) シミュレーション
(4) 発注点法
(5) 都市計画