シミュレーション 後期期末試験 (1996・12・4実施)

問題1
文教食品会社では週休2日(月曜日から金曜日の週5日の勤務)体制で,ある製品を生産している。その製品は規則で日曜日に倉庫に残っている場合は破棄しなくてはならない(次の週の需要のために使用してはいけない)。破棄にかかる費用は製品1個当り50円である。また,週末に品切れになった場合(販売しそこなった場合)は,製品1個当り100円の費用がかかる。

正規就業時間(月曜日から金曜日の勤務時間)内での製品の生産量は,毎週変動があるが,平均値1000個,標準偏差10個の正規分布に従うことがわかっている。一方,その製品の需要は平均値1100個,標準偏差100個の正規分布に従うことも観察されている。

生産が需要に追いつかない週があるので社長は従業員に毎週土曜日に特別出勤をしてもらい生産量を増やしたいと考えている。土曜日の特別出勤では,平均値100個,標準偏差10個の正規分布に従う生産量が新たに得られることがわかっているが,従業員への特別手当のため製品1個当り60円の余分な経費がかかる。

さて,コストの面から考えて,毎週の土曜日特別出勤は実施した方が良いのだろうか。それとも実施しない方が良いのだろうか。シミュレーションの手法により,図表等を適切に利用し,提案にいたる理由を明記した社長の決定をサポートする提案書を作成せよ。

注意とヒント:

(1)シミュレーションの手法を用いて提案を行うときは十分な実験データが必要ではあるが,今回はコンピュータを用いないことから,シミュレーションは10週間分のみ手作業で行い,その結果から結論を導き出してよい。

(2)シミュレーションの手法によりこの問題の答を提案するためには

の3つが必要であると考えられる。それらのデータの生成には一様乱数が必要だが,今回は試験ということで,以下に一様乱数からボックス・ミューラ法で得た標準正規分布に従う乱数を準備した。これらを上から順に適切に処理することにより各週の必要なデータを生成すること。

(3)各週の各整数データを生成する際は,小数点以下第1位で四捨五入することにより整数データを得ること。

問題2 以下の5問から3問を選択し,各々の問に答えなさい。

  1. ケンドール記号とは何か?使用方法を含め簡潔に説明せよ。
  2. 乱数(擬似乱数ではない)を発生させる手段にはどのようなものがあるか?3つ以上の例を具体的な発生方法にも触れながら挙げ,各々の長所・短所を述べよ。
  3. 擬似乱数とは何か解説せよ。さらに,擬似乱数の発生法を2つ以上挙げ,各々の長所・短所を述べよ。
  4. 以下はロータス1-2-3で書かれたプログラムである。


    A2の乱数が0.42, A3の乱数が0.76の時,B2,B3,B5,C2,C3,C5にはど

    のような数字が表示されるのか答えよ。

  5. 文教大学ではいくつかの回線で外線電話を利用している。回線一つ当りの 処理能力は一時間当たり平均20本である。また,一時間当たり60本の外 線電線の利用があると予想される。外線利用者が通話中で利用を拒否され る割合を1/4以下にしたい。外線回線は何本用意しておくべきか?

問題3 講義の中で問題解決を行うプロセスとして「3つのポイント」を何度か説明しました。その「3つのポイント」とは何か講義内容に即して答えよ。


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