●簿記FAQ(よくある質問)コーナーにようこそ

Q1.簿記では、左側を「借方」、右側を「貸方」と言うことを学びましたが、何か意味があるのでしょうか。

Ans.確かに昔は意味がありましたが、現代では、信号機の色の意味と同じように、約束事とか決め事と考えてよいでしょう。問題は、左側(つまり借方)に何が来るのか、右側(つまり貸方)に何が来るのかということです。


Q2.資本は株主から調達した資金あるいは店主が出資した資金であると学びましたが、であれば資本に含まれる「純利益」はどのような性質を持っているのですか。純利益は株主からの出資金ではないと思いますが。

Ans.純利益は株主から集めた資金が営業活動をしてどれだけ増えたかを表すものです。その部分は株主に帰属するものと考えられます。したがって、資本の中に含むことが妥当でしょう。つまり、株主や店主の正味財産がそれだけ増えたのです。

Q3.取引の要素分解において、「費用の発生」と「純資産の増加」、「純資産の減少」と「収益の発生」という組み合わせがないのはなぜですか。

Ans.費用は営業活動の結果として純資産が減少することであり、収益は営業活動の結果として純資産が増加することである。この定義からして、上記の組み合わせとは矛盾するからである。

Q4.
取引の要素分解において、資産、負債、純資産にはそれぞれ増加と減少という要素がありますが、費用と収益にはその発生しかないのですか。

Ans.実は、費用が貸方に来たり収益が貸方に来ることはあるのです。それは「費用の取り消し」、「収益の取り消し」です。しかし、こうした取引はまれなケースなので、通常、取引の要素には含めないで8要素だけが取り上げられるのです。例えば、販売した商品が品違いなどによって返品されてきたり(この場合には商品売買益が借方に来ます)、金額が間違っていたりする場合がそうです。

Q5.仕訳帳や元帳ないしは勘定に記録するときに、「諸口(しょくち)」という言葉が出てきました。「諸口」とは何でしょうか。

Ans.「広辞苑」によると、「簿記で、仕訳のさい、複数の勘定科目が存在することを示すために用いる記号的な用語」となっていました。

Q6.帳簿には仕訳帳と(総勘定)元帳のほかにどのようなものがあるのでしょうか。
Ans.補助簿があります。仕訳帳と総勘定元帳は主要簿と呼ばれています。主要簿だけではなく、補助簿にも取引を記録することになります。補助簿には、取引の内容を詳細に記録する補助記入帳と得意先、仕入先、商品別等に記録する補助元帳があります。