応用言語学の一分野である言語テストを研究しています。特にパフォーマンステスト(スピーキング・ライティング・教員採用試験の2次試験・技能統合の評価)や語用論の評価に興味をもっています。 また言語テストは様々な分野と関連するため、動機付け、自律ある学習者の育成、教育測定・評価、言語政策などの分野などにも興味をもっています。 これからは妥当性理論とパフォーマンステストの開発・分析を研究していきたいと思っています。どんな場合でも英語教育現場を見据え、そこへ還元できるような研究にしたいと考えています。
英語で書かれた文学、主としてイギリス小説や児童文学とその批評を研究対象としている。 関心のある領域は文学における「子ども観」のほか、おとぎ話やファンタジー、メタフィクションが中心で、今ここにない世界をことばで構築することへの意識や「読む」「語る」という行為の意義を考えさせるような、批評として読めるフィクションに注目してきた。 研究指導においては、自分および他の研究者がものを考えたり書いたりするプロセスについて意識的になれるよう、丁寧な読解と話し合いを目指している。
現代日本語の従属節とモダリティ・時制の関係の研究が一区切りついたので、現在はそれをふまえて文の構造の研究をしている。これは、文が大きく四段階の階層を持つという従来の議論に対して、階層の数を減らす方向に働くと考えている。 また、それとは別の方向性を持つ研究だが、従属節におけるモダリティの形式の生起の実際を調査している。これはモダリティの形式の従属節における分布をみることで、モダリティの形式のこれまでにない特徴づけが可能になるという見込みを持っている。
日本の中古および中世の文学、特に和歌文学を専門としている。平安末期から鎌倉初期にかけての和歌表現の変革に、表現理論(歌論)や古典和歌研究(歌学)がどのように関与したかを考えている。 近年は、顕昭の難義語注釈書『袖中抄』を中心に読み進め、そこからうかがえる和歌表現の基盤や原拠、源俊頼・藤原顕季・藤原俊成からの影響、歌ことばの歴史、万葉学などについて考察を進めてきた。 また、近年は、説話文学にも視野を広げ、和歌や芸道の存在意義や社会的位相などについて研究を進めている。
日本語学及び社会言語学の知見を日本語教育に応用するための研究を行う。 地域方言や性、世代、集団などに起因する社会方言に加え、非母語話者によって産出された日本語を対象として、「話しことば」「書きことば」の両面において、「談話分析」の手法を用いて観察し、考察する。 現在は、「ことばのゆれ」に起因する日本語の「バリエーション」(言語変異)に焦点を合わせ、研究している。
(1)「中国資料」と呼ばれる中国の古文献に見られる中国人が漢字を使って書き写した日本語の記録を対象に、中国語音韻史や漢語方言の方面から日本語の表音に用いられた漢字の基礎音系を明らかにすることを通して、それに反映された各時代の日本語の音韻について考察する。 (2)漢語方言分野では、特に福建省内の上古音の特徴を色濃く反映し、日本語漢字音の呉音・漢音とも関連をもつ福州方言および呉方言地域に隣接し、未解明の点が多い浦城地方を主要な研究対象としている。
従来は、牢固な体系を築いた文語表現と決別した20世紀中国近現代文芸の実相解明の一環として、台詞劇である「話劇」の言語表現を考察対象としてきた。近年では、これとほぼ同時代に呱々の声を挙げた中国国産映画の生成発展過程を解明することで、口語舞台芸術から映像芸術への展開の機縁と動員を追求している。 目下は、19世紀末に伝来した映画という新興表現形態が、米仏映画の急速な成長に押されながら、これを参照する段階から、競合と棲み分けを経て中国国産映画として地歩を築く過程の究明に注力している。
宮沢賢治の研究を中心に坂口安吾、井上ひさし、大江健三郎などと格闘している。特に宮沢賢治はライフワークとして位置付けており、宗教や科学の側面から、宮沢賢治作品の文学としての価値の解明を目指している。 現在は、その一環として、地学的想像力のテーマを掲げ、フィールドワークに基礎をおいたテクスト生成の分析を行なっている。
東アジアを対象とした歴史学・文化人類学を専攻し、中国沿海地域、沖縄、雲南、タイなどで少数民族を対象にした調査研究に従事してきた。これらの人々がつたえてきた伝統文化はそれぞれに特徴があり、多様性に富んでいるが、市場経済の浸透や開発政策の拡大のなかで急速な変化が進行している。 目下の研究課題は、少数民族が漢民族の文化をどのように受容しているかについて、社会経済、宗教信仰、風俗習慣、言語などの側面から比較することである。また、これまでに収集した資料の整理と民族誌としての記録を進めている。
第二言語を学ぶ学習者の内側で何が起こっているのかを知りたいと考え、研究に取り組んでいる。第二言語習得研究において構築されてきた諸理論をふまえ、言語心理学的な観点からの実証的な研究を行っている。 言語を処理する際に人間の頭の中で引き起こされる現象を、主に認知心理学的な側面である記憶や理解の面から解明することを目的としている。その際には実験的手法を用いる。また、動機付けやビリーフ等の情意面に焦点を当てた研究にも興味を持ち、深めていきたいと考えている。