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世界最大の百科事典はタダ!? |
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デジタル化で様変わりしたものに、辞書、事典がある。分厚くて重い本はいま、CD-ROMやポータブル機器、さらにオンラインサービスになった。世界最大の百科事典とみられる「Wikipedia」はインターネット上にあり、しかも、無料で利用できる。 | | |
「オープンコンテンツ」の編集
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百科事典「Wikipedia」(ウィキペディアと読む)の項目数は現在、30万を超えているという。百科事典の代名詞でもある英ブリタニカが約6万5000項目なので、規模からいうと世界最大級であることは間違いない。さらにインターネット上で編集作業が続いており、日々進化している。
Wikipediaは、2001年初めに英語版がスタートした。歴史からいうと、わずか4年足らずである。他言語のものも順次始まり、現在、日本語版を含めて約120の言語で編集が続けられている。
この百科事典がユニークなのは、「オープンコンテンツ」の仕組みをとっていて、誰でも編集・執筆に参加できるところだ。各項目ごとに過去の全バージョンが残されており、完全な履歴が分かるようになっている。コンピュータープログラムの開発の世界を席巻しているオープンソースに似ているが、Wikipediaに参加するのにプログラマーである必要はない。自分がなんらかの分野でエキスパートであるという自信を持っていればよい。それとて、だれかがチェックするわけではなく、完全に万人に開かれている。
執筆者の登録リストはあるものの、何人がWikipediaに実際にかかわったのか正確なところはわからない。ただ、中心的な人たちはいて、5回以上編集・投稿にかかわった人の総数は2万4000人程度と推計されるという。
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信頼性への疑問 |
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「Wiki」(あるいはWikiWiki)は、ハワイの言葉で「速い」を意味する。ここでは、Webブラウザーを利用してサーバー上のテキスト文書を書き換えるシステムを言う。誰でも、ネットワーク上のどこからでも、書き換えができ、コラボレーションシステムとして使える。米マイクロソフトが先ごろ公開した3番目のオープンソースソフト「FlexWiki」もやはりWikiソフトで、社内では開発に活用されているという。ちなみにWikiの創始者であるワード・カニンガム氏は現在、マイクロソフトの社員となっている。
Wikipediaは、こうした大規模なコラボレーションによって作られている百科事典で、最近、関心を集めるようになった。同時に、その内容の信頼性の問題が議論されている。はたして、「誰でも書き換えできる記述を信用できるのか」「情報が古すぎることはないのか」――。
この問題を検証するため、いろいろな人が、Wikipedia上に、故意にいくつかの間違いを書き込む実験を行った。
結果は、数時間で修正されたものもあれば、5日経ってもそのままのものもあり、理想通りにはいかなかったようだ。大勢の目に触れる項目は即座に修正されるが、あまり人目に触れないものはなかなか修正されないということだった。現在、Wikipediaプロジェクトは信頼性を高めるため、十分に検証が済んだ項目を、再度専門家の目でチェックして「フィックス版」にすることも検討しているという。
Wikipediaは人類の叡智を集める方法を探る実験でもある。歴史は浅く、まだまだ大きな可能性がありそうだ。
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