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第3章 まとめと今後の課題
 過去の調査で分かっていたように、今回の調査でもインターネット利用後の雑誌利用変化は「あまり変わらない」が圧倒的に多かった。しかし「定期的に閲覧するHPがある」と答えた層は雑誌利用が減っている傾向にあることが分かった。これは「定期的に閲覧するHPがある」と答えた層では、雑誌からインターネットへメディアの必要性が移行している傾向にある。

 まず、インターネットの特性は情報量の多さにある。図2-2-1「よく見るジャンル」でインターネットは広範囲にみられていることが分かる。雑誌の定期購読数はほとんどの人が1〜2種類である。一方、定期的に見るHP数は2つ以上である。パソコン1台あれば、あらゆる情報を見ることができる。
 また、情報料は0円で即時性があり、インターネット利用者は必要な時だけ必要な情報をみることができる。
 図2-2-3「定期的に利用する雑誌/HPの理由」で、HPの評価の高かった「雑誌にはない内容がある」は情報量の多さであることが言える。しかし、それ以外は雑誌の方が、評価が高い。

 雑誌の強みは、内容的なことにある。多くの情報の中から、旬な情報、重要な情報、分かりやすくまとめられた情報は読者にとって読みやすい。また、ファッションが圧倒的に雑誌に依存していることも、今回の調査で目立った。今回の調査では明らかにされていないが、雑誌定期購読者のうちファッション雑誌を定期購読している人の割合は高い可能性がある。雑誌定期購読者のうち、「よく見るジャンル」でファッションと答えた人は53人中41人である。その要因としては、図2-2-2「雑誌/HPを利用する理由」で「写真が綺麗」、図2-2-3「定期的に利用する雑誌/HPの理由」で「流行に遅れない」、などの評価が高かったことに言える。先に述べたように、ファッションにおいても、旬な情報を分かりやすく提供する雑誌は有利である。

 インターネットでよく利用されている情報と、雑誌でよく利用されている情報は、重なっていて、競合している部分もあるが、それぞれ、強みもあり、弱みもあり、利用の仕方も違うようだ。そのため雑誌利用は当面は減ることはないだろう。 

(引用文献・参考資料)
吉良俊彦「情報ゼロ円」、宣伝会議、2002.9
矢野直明「マス・メディア時代はどのように終わるか」、洋泉社、1998.12
仲俣暁生、水越伸、和田忠彦「オンライン・マガジンを読み倒す」、2002.11
八ッ橋武明、友安宏「インターネットに伴うメディア利用の変化」、文教大学情報学部紀要No.29(2003.3)pp.179-197
加藤明子 加藤雅美 三浦千賀子「エンターテイメントおけるインターネットの効果」文教大学八ッ橋ゼミ学生サイト http://www.bunkyo.ac.jp/~mediares/



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