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2.2 野球における、日本人選手のメジャー移籍と国内リーグへの影響

       (1)テレビ中継視聴の現状

 ここではまず、野球のテレビ中継を見ているか否かを調べた結果を図2-2-1に示す。「見る」という回答が約67%となり、多くの人が野球のテレビ中継を見ていることが分かる。
 


 

 次に、野球を見ている人のみを対象に、今シーズンの日本のプロ野球の中継をどの程度見ていたかを調べた結果を図2-2-2に示す。今シーズン、週に4回以上見ていたという頻繁に見ていた割合は合わせて約14%、週に2〜3回が約31%となっており、今シーズン週2回は見たという割合は合わせて約45%である。
 


 

 次に、メジャー移籍した日本人選手出場試合の視聴頻度を図2-2-3に示す。「よく見る」・「時々見る」のメジャー視聴グループの回答が約40%、「あまり見ない」・「全く見ない」のメジャー非視聴グループの回答が約60%という結果となった。
 


 

(2)日本人選手のメジャー移籍と日本のプロ野球への影響

 ここでは日本人選手のメジャー移籍と日本のプロ野球への影響を見てみる。まず、メジャー視聴グループ・メジャー非視聴グループと今シーズンのプロ野球の視聴変化の関係を図2-2-4に示した。調査票で「増えた」・「やや増えた」という回答をここでは「増えた」、「減った」・「やや減った」という回答をここでは「減った」とした。メジャー視聴グループとメジャー非視聴グループを今シーズンのプロ野球の視聴変化という点で比べたが、下図のとおり、両グループともに26〜27%と一定程度増えた人がいる一方、32〜38%減少しており、若干は減少気味である。また、両グループ間ではたいして差はないという結果となった。
 


 
 

 次に、メジャー視聴グループ・メジャー非視聴グループと、プロ野球のさまざまな魅力の関係を図2-2-5に示す。この図は2つのグループ毎に、「1.増した」、「2.やや増した」、「3.変わらない」、「4.やや減少した」、「5.減少した」の選択肢の番号の平均値を求めたものである。メジャー視聴グループが、どの魅力においても多くの人が「増した」と回答している。これは、メジャーリーグを見ていない人達よりメジャーリーグの試合を見ている人がより評価している訳であるが、日本のプロ野球のレベルが、ある程度はメジャーリーグのレベルに近づきつつあると感じていると思われる。またメジャー非視聴グループは日本のプロ野球の魅力が減少したと答えている人が多い。この2つのことから日本のプロ野球がメジャーとの比較で位置づけられ始めていると考えられる。また「投手の球速」、「打者のパワー」、「スタープレイヤーの活躍」が、メジャー視聴グループの魅力増の上位にあり、個人技の魅力がより高まりつつあることを示している。
 


 

 次に、メジャー視聴グループ・メジャー非視聴グループと、日本人が出場しないメジャーリーグの試合の視聴欲求の関係を図2-2-6に示す。メジャー視聴グループには5割くらい見たい人がいることがわかった。
 


 

 次に、日本のプロ野球(JPB)の視聴の増減とメジャー移籍した日本人選手の出場試合の視聴の増減の関係を図2-2-7に示す。日本のプロ野球の視聴変化について、調査票で「増えた」・「やや増えた」という回答をここでは「JPB増加」、「変わらない」という回答をここでは「JPB不変」、「減った」・「やや減った」という回答をここでは「JPB減少」とした。また、メジャー移籍した日本人選手の出場試合の視聴変化について、調査票で「増えた」・「やや増えた」という回答をここでは「増えた」、「減った」・「やや減った」という回答をここでは「減った」とした。JPB視聴の増加、不変、減少に関わらず、メジャー移籍した日本人選手の出場試合の視聴は「増えた」という回答が多くたいした差はなかった。つまりメジャー視聴が増えたからといって、日本のプロ野球の視聴が減るというわけではない。
 


 

2.3 日本人選手の海外移籍の賛否

(1)サッカーの日本人選手の海外移籍の賛否

 ここではサッカーにおける、日本人選手の海外移籍の賛否を図2-3-1に示す。「賛成」という回答が約75%、「反対」という回答が約2%となった。多くの人がサッカーにおける日本人選手の海外移籍に賛成している。
 


 

(2)野球の日本人選手の海外移籍の賛否

 ここでは野球における、日本人選手の海外移籍の賛否を図2-3-2に示す。「賛成」という回答が約73%、「反対」という回答が約5%となった。多くの人が野球における日本人選手の海外移籍に賛成している。
 

 サッカー、野球のどちらとも、日本人選手の海外移籍に対して賛成という回答が非常に多かった。
 

第3章 まとめ

<サッカー>

 Jリーグは約60%の人が見ているという結果になり、国内リーグの視聴は少ないというわけではないことがわかった。日本人選手の海外移籍を契機に海外リーグを見ると予想していたが、実際のところ、その回答は60%程度にとどまった。ということは、それ以外の回答の人はもともと海外リーグを見ていたと予想される。
 日本人選手の海外移籍を契機に海外リーグを見る人とそうでない人に、Jリーグの魅力について聞いてみたところ、さまざまな魅力に対して増したという回答が非常に多いという結果から、Jリーグの実力が多くの人に認められていることがわかった。
 日本人選手の海外移籍によって、Jリーグの人気が下がるという回答が多くなると予想していたが、実際は必ずしもそうではなかった。

<野球>

 メジャー移籍した日本人選手出場試合の視聴頻度を聞いてみたところ、見ている人は約40%という結果になり、意外に多くの人がメジャーリーグを見ていることがわかった。
 メジャー移籍した日本人選手出場試合を見ている人は、今シーズンの日本のプロ野球の視聴が減ったという回答が多くなると予想されたが、実際は必ずしもそうではなかった。
 メジャー移籍した日本人選手出場試合を見ている人でも、日本のプロ野球のどの魅力に対しても増したという回答が非常に多いという結果から、日本のプロ野球の実力が多くの人に認められていることがわかった。

最終的なまとめ

 サッカー、野球のどちらも日本人選手の海外移籍は賛成という回答が非常に多かった。
 海外移籍の影響においては、サッカーにおいては、日本人の海外移籍が視聴にやや影響しているが、野球においては影響がないということがわかった。
 つまり、サッカーはまだ国内リーグのレベルが世界的に高くはないので、海外移籍がやや視聴に影響するが、野球の場合、国内リーグのレベルが世界レベルに近いので、日本人選手の海外移籍が影響されにくいと思われる。
 


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