今回の調査は文教大学内のみのものであり、着メロ普及率はほぼ100%であった。限られた調査対象層ではあるが、わかったことは以下の通りである。1. 普及率の割にアクセス数は少ない。しかしアクセスするたびに一曲以上はダウンロードしてい る。
→アクセス数の少なさは意外だったが、“アクセスしたらダウンロードはまとめて”という『まとめど り』の発想を発見した。2. 着メロは“聴くもの”として確立している。
→気分転換や暇なときに聞くことが多く、一種の音楽鑑賞 といえる。CDとの違いは手軽さにあ ると考えるが、この調査では断定できない。3. アクセス頻度増加者は、活発で探求心に富んでいる性質の人が多い。対して、変更頻度増加者 では、内気で消極的な傾向が強い。
→両者に共通していることは、情報や新鮮さ、変化など、着 メロに何かを求めていることで、存 在価値は大きい。4. 着メロを意図的に聞かせる人が増えている(他人指向型)。このような人にはミーハーや淋しがり やが多い。
→淋しがりやは、いっしょに楽しむことで淋しさを解消し、喜ばれることで他者からの承認を求める 気持ちを満たしている。5. 自分指向型には着メロはコミュニケーション材料になりにくい。
→自分以外と着メロが触れあうことがないため。当初「着メロはコミュニケーションの情報源にな っている」と仮説立てたが、自分指向・他人指向によって傾向に違いがあったことで、全ては 実証されなかった。しかし、“着メロ の接触頻度とコミュニケーション材料としての評価は比例して いる”という新たな事実を発見することができた。6. 他人指向型は周囲の着メロも気にしている。
→“聞きたいから聞かせる”気持ちの表れ。「聞かせる人は人のも聞きたい」との仮設は実証され た。
着メロ産業が新たな展開を見せるたびに、その用途も広がっていくに違いない。事実、着メロは一種の音楽として、コミュニケーション材料として確立されていた。「ダウンロードする」ことは、同じくネタを提供する「雑誌を眺める」「音楽を聴く」のと似た感覚があり、メディア的要素の一面も持っていた。
着メロ利用の背景には、性格の違いや進化が利用の仕方にも変化を与えており、様々なものが介在している。それらに着目し、利用者を魅了するような着メロの登場が今後も期待される。やみくもに和音数を増やすだけではなく、どんなものが求められているのか、更に具体的な調査が必要であろう。
▼引用文献・参考資料
「infoPLANT」 http://www.info-plant.com
「株式会社レッドスターオフィシャルサイト」 http://www/redstar.co.jp/
「エムレポート」 http://www.m-report.net
「着メロ配信利用者が6割に上る」 インターネット白書2003
発行 株式会社インプレス P275
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