| 作成: | 根本 俊男 | 
| (文教大学情報学部経営情報学科) | |
| e-mail: nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp | |
| 実施: | 1999年5月28日 | 
文教堂では5個のダイヤの原石を二つの研磨機M1,M2の順に研磨加工することにより製品化する.各ダイヤは大きさや品質が異なり,原石に応じて加工時間が異なる.各原石の各研磨機での加工時間を示したのが次の表である.
| 原石認識記号 | 研磨機M1での加工時間 | 研磨機M2での加工時間 | 
| A | 5時間 | 2時間 | 
| B | 1時間 | 6時間 | 
| C | 9時間 | 7時間 | 
| D | 3時間 | 8時間 | 
| E | 10時間 | 4時間 | 
以下の問いに答えよ.
| (1) | 各原石をA→B→C→D→Eの順番で加工した時の総経過時間を算出せよ. | 
| (2) | 最適加工順序を求めるひとつの方法として,すべての加工順序に関する総経過時間を算出し,その中で最も総経過時間が短かい加工順序を最適加工順序として見出すという方法がある(この方法を「列挙解法」と名付けよう).さて,上記の文教堂のダイヤ加工の問題のように5つの製品の最適加工順序を「列挙解法」で求めたい場合,すべての加工順序は何通り存在するだろうか. | 
| (3) | 小問(2)で述べた「列挙解法」は,理論的に最適加工順序を求めることは可能だが,現実的に最適加工順序を求めることが不可能な解法といわれている.それはどういう意味なのか簡潔に説明しなさい. | 
| (4) | 最適加工順序を効率的に求める方法の一つとして「ジョンソン法」が存在する.ジョンソン法を用いて,最適加工順序を求め,その時の総経過時間を算出せよ | 
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湘南地区に本社を置く経営コンサルタント会社湘南企画はある企業から「文教だんご3兄弟」の湘南地区でのマーケティング戦略提案の依頼を受けた.このプロジェクトにはベテラン研究員の北島さんと若手研究員の織田君,青島君の3人のチームで取り組むことになった.「文教だんご3兄弟」に類似した商品の発売を他社も計画しているようで,依頼した企業としては一日も早くマーケティング戦略の提案を待ち望んでいる.
さて北島さんと織田君は,「文教だんご3兄弟」を試験的に販売するイベントの実施により販売データを収集し分析する方法と,商圏の実地調査を行う方法の2種類の方法によりマーケティング戦略を練ることに決めた.そこで今回のプロジェクトに必要な作業を列挙してみたところ以下のようになった.
| 作業内容 | 作業名 | 標準所要日数 |  | |
| リサーチ及びイベントの準備 | A | 10日 | ||
| イベントの実施 | B | 3日 | ||
| イベントの後処理 | C  | 8日 | ||
| データの分析 | D | 5日 | ||
| 商圏の実地調査 | E | 7日 | ||
| マーケティング戦略構築 | F | 3日 | ||
| 報告書作成 | G | 1日 | 
これらの作業の中には同時に行なえないものがいくつか存在する.「リサーチ及びイベントの準備」が終了しないと「イベントの実施」も「商圏の実地調査」も行なえないし,「データの分析」と「イベントの後処理」は「イベントの実施」が終わらないと始めることはできない.さらに,「マーケティング戦略構築」は「データの分析」や「商圏の実地調査」が終わった後でないと,また,「報告書作成」は「マーケティング戦略構築」が終了後でないと始められない.
北島さんと織田君はプロジェクト開始前に,まずはプロジェクトの作業日程を決め依頼してきた企業に計画への承諾を得たいと考えている.このプロジェクトの各作業は標準所要日数で遂行されると仮定した場合に関して,以下の問いに答えよ.
| (1) | このプロジェクトをアロー・ダイアグラムで表現せよ. | 
| (2) | プロジェクト完了時刻を求めよ. | 
| (3) | 各作業の全余裕,自由余裕を求めよ. | 
| (4) | クリティカルパス上の作業をすべて答えよ. | 
| (5) | 小問(2)で求めたプロジェクト完了時間内でこのプロジェクトを北島さんと織田君,青島君の3人で実行したい.どの作業もどちらか1人で実施・実行できる.北島さんと織田君,青島君の各々に適切な理由に従って各作業を割り当てなさい.3人への作業の割当はガンチャートを用いて示すこと. | 
上記小問(5)で作成した作業日程を依頼してきた企業に示したところ,多少費用が更に多く必要となっても良いので,マーケティング戦略の提案を急いで欲しいという要望であった.そこで各作業の短縮の可能性を検討してみたところ,応援要請や外注を利用することによりいくつかの作業は短縮が可能であることが以下のようにわかった.
| 作業内容 | 作業名 | 標準所要日数 | 短縮可能日数 | 短縮に必要な費用 | |
| リサーチ及びイベントの準備 | A | 10日 | 短縮不可能 | ||
| イベントの実施 | B | 3日 | 1日 | 50万円/日 | |
| イベントの後処理 | C  | 8日 | 2日 | 30万円/日 | |
| データの分析 | D | 5日 | 1日 | 40万円/日 | |
| 商圏の実地調査 | E | 7日 | 3日 | 60万円/日 | |
| マーケティング戦略構築 | F | 3日 | 2日 | 70万円/日 | |
| 報告書作成 | G | 1日 | 短縮不可能 | 
以下の問いに答えよ.
| (6) | 各作業が標準所要日数で行われる時のプロジェクト完了時刻より1日だけプロジェクト完了時刻を短縮したい.経済的に無駄のない短縮を行なうためにはどの作業を短縮するべきか答えよ. | 
| (7) | 北島さんと織田君は依頼先の企業にプロジェクトの短縮日数と経済的に無駄のない短縮費用の関係を示し更に必要な費用に関する了承を得たい.その資料となるプロジェクトの短縮日数と経済的に無駄のない短縮費用の関係を示すグラフを作成せよ. |