オペレーションズ・リサーチ 1999年度 秋学期 期末試験問題

実施:1999年12月17日

 

解答上の注意

 

 

問題1

文教製鉄では縦10m×横20m×厚さ5mmのアルミ板を大型機械で製造し,注文されたサイズに応じてカットすることにより商品にしている.文教製鉄ではこの製品の基になるアルミ板を「基板」と呼んでいる.

さて,湘南商事より以下の注文が届いた.

注意:慣習的に文教製鉄では長方形の板の短辺を縦,長辺を横と呼んでいるだけである.

文教製鉄はなるべく基板の使用枚数を少なくし注文に応じたい.文教製鉄は基板をどのようにカットすれば使用枚数を最小にできるか.以下の問に答えよ.

(1) この問題を整数計画問題として定式化せよ.
(2) 小問(1)で定式化した整数計画問題を数理計画ソルバーであるLINDOを用いて解いてみたい.LINDOにはどのように入力すればよいか.入力を記述せよ.

 

 

問題2

ニコニコ化学では養毛薬「どんどん伸びるレボリューション(略:DDR)」を製造・販売している. 
「DDR」には,男性用,女性用,老人用の3種類がラインナップされている.「DDR」は発売以来大ヒットで全種類が作るだけ売れる状態である.ニコニコ化学のソラオ社長はこのチャンスを生かして少しでも多くの利益をあげたいと考えている.「DDR」の様々なデータ(表1〜表3)を利用し,以下の問に答えよ.
「DDR」の原料:溶液「ミド」,溶液「ファド」,溶液「レッシ―」の3種類.商品に合わせていずれか2種類を混合する

 

表1:「DDR」 各種類毎の1リットル製造に必要な各原料溶液量(単位:kl)

 種類

ミド ファド レッシ―
男性用 2 1 0
女性用 4 0 1
老人用 0 1 4
 

 

表2:一日当たりの各原料溶液の使用限度量(単位:kl)

  ミド ファド レッシ―

使用限度量

14 8 4

 

 

表3:「DDR」各製品の1リットル当たりの利益(単位:百万円)

  男性用 女性用 老人

1リットル当たりの利益

8 4 5

 

 

表4:「DDR:子供用(仮)」 1リットル製造に必要な各原料溶液量(単位:kl)

  ミド ファド レッシ―
子供用(仮) 0 2 1

 

(1) 利益を最大にするには「DDR」の3種類の製品をそれぞれ1日当たり何リットルずつ生産すればよいか.この問題を線形計画問題とし定式化し,最適な生産計画を提案せよ.
(2) 小問(1)で提案した生産計画で現在生産を行っているとする.湘南商事が各原料の「ミド」,「ファド」,「レッシ―」の売り込みに来ている.ニコニコ化学は利益が増えるなら,湘南商事より原料を買い取り,生産量をより増やしたいと考えている.各原料の価格がいくらまでなら買い取ればよいか.その基準を示せ.
(3) 小問(1)で提案した生産計画で現在生産を行っているとする.企画部門が「DDR:子供用(仮)」の開発を提案してきた.生産部門によると「DDR:子供用(仮)」を1リットル生産するのに必要な原料は表4のようにまとめられるという.また,営業によると予想利益は1リットルあたり7(百万)円である.生産を開始すべきかどうかソラオ社長に助言せよ.
(4) 小問(1)で提案した生産計画で現在生産を行っているとする.「DDR:老人用」での利益増加のため値上げを計画中である.値上げ後の「DDR:老人用」の予想利益は1リットルあたり12(百万)円になるという.値上げをした場合,現在の生産計画を変更する必要はあるか?必要があればどのように変更を行えばよいか.提案しなさい.
(5) 小問(1)で定式化した線形計画問題の双対問題を記述し,その最適解を答えなさい.
(6)

小問(5)で求めた双対問題はどのような最適化問題として解釈が可能か.適切な解釈を簡潔に述べなさい.

 

 

問題3

以下の言葉を簡潔に説明しなさい.

(1) 整数計画問題
(2) 2段階シンプレックス法
(3) 感度分析
(4) 双対定理

 

 

作成: 根本 俊男
  文教大学 情報学部 経営情報学科
  e-mail: nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp