作成: | 根本 俊男(文教大学情報学部経営情報学科) |
e-mail: nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp | |
実施: | 2000年12月22日 |
文教堂では地元出身の人気グループ「SAS」のチケット販売を手がけることになった.チケット販売の予約は電話により受け付ける.そこで電話予約受付用の回線を50回線準備し対応することにした.予約のための電話をかける行為を「コール」と呼ぶことにする.コールは全国からでたらめに行われ,予約受付に要した作業時間もでたらめであったとする.コールした際に,予約用の全回線が使用されているときは話中となり,かけ直さない限りつながることはない.以下の問いに答えよ.
(1) | コールを客の到着,予約受付を窓口とした待ち行列系とこの状況を捉えた場合,ケンドールの記号ではどのように表現できるか. |
(2) |
コールの到着率をλ,ひとつの電話回線のサービス率をμとしたときに,電話回線がひとつでも空いている確率R50 は, R50 = 50μ/(λ+50μ) で与えられるという.この式は電話回線が1回線しかないときにその回線が空いている確率R1 が R1 = μ/(λ+μ) で与えられ,50回線あればサービス率が50倍であることから得られる.ここで,確率R1 が上記の式で得られる導出過程を解説せよ.その際,以下の事実は既知として利用してかまわない.
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(3) | 実際に予約受付を行ったところ,電話回線は受付時間中同程度で大変込み合い,後日の調査によると,予約窓口につながった割合は10回のコール中1回であったそうだ.また,予約受付オペレーターを観察しているとひとつの回線のサービス率は10(件/時間)であった.さて,コールの到着率はどの程度あったのだろうか. |
(4) | 上記の状況で,予約窓口につながる割合を4回のコールで1回はつながるように改善したい.予約用の回線を少なくとも何回線準備するべきだろうか.提案せよ. |
カメラ量販店「文教カメラ」の定番商品「Shoto IXY」は安定した売れ行きを記録している.その毎日の需要台数を長期間記録した結果をまとめたのが表1である.表1での「日数の割合」とは,記録期間中で対応する1日の需要台数を記録した日数の割合である.たとえば,1日の需要台数が1台であった日数は,調査日数の30%であったと読み取ることができる.
表1:「Shoto IXY」の1日あたりの需要台数の分布
1日の需要台数 | 日数の割合 |
0台 | 40% |
1台 | 30% |
2台 | 20% |
3台 | 10% |
「Shoto IXY」の需要状況はこの先も大きな変動はないと予想される.この状況のもとで2つの在庫管理法が提案されている.
A案:在庫が3台になったときに3台の注文を出す.
B案:在庫が2台になったときに4台の注文を出す.
在庫管理に関する情報は以下のように与えられている.
「Shoto IXY」の在庫の調査は閉店後毎日行われ,その結果から判断しすぐに発注が行われる.
注文した「Shoto IXY」の入荷は翌々日の朝である.
品切れを起こしたときは1台あたり5万円の損失があったと考える.
発注には1回あたり1万円の手数料が必要となる.
さて,このA案,B案のどちらの在庫管理が適切か100日間のシミュレーション実験により求めたい.次の問いに答えよ.
(1) | 2つの案を比較するためにはシミュレーション実験によりどのような数値を導けばよいか理由を沿えて提案せよ.また,その数値を用いて2つの案の比較を行う際にさらに必要なデータがあれば指摘せよ. |
(2) | 上記のデータを算出するためにはどのようなシミュレーション実験を行えばよいか.その実験計画を作成せよ.その際に,上記(1)にて指摘したさらに必要なデータは得られていると仮定して利用してもよい. |
参考:宮川公男他著:「入門経営科学」実教出版(1999) p.185「在庫管理のシミュレーション」
問題3は端末室に移動してから配布されます.上記までの問題に関する筆記試験終了後の指示に従ってください.