情報学部経営情報学科 4年
98p21146 藤森 友也
1.はじめに
今年の3月、大阪府に『ユニバーサルスタジオ・ジャパン』がオープンした。映画、「ジョーズ」、「インディージョーンズ」など映画さながらのスリルと興奮を味わえるとし、オープン前からマスコミや情報誌をにぎわせていた。
『ユニバーサルスタジオ・ジャパン』をはじめ、日本には数多くのレジャーランドが存在する。数あるレジャーランドの中で『東京ディズニーランド』では年間入場者数が、約1,600万人。1日平均で約45,000と、日本では1番入場者数が多いレジャーランドである。
しかし、すべてのレジャーランドが『東京ディズニーランド』のようにたくさんの入場者が入っているわけではない。そこで、『東京ディズニーランド』をはじめ、入場者数が多いレジャーランドには何か共通の要素があるのだろうか。もしもあるとすればそれが何であるのかを調べたいと思い研究に取り組んだ。
2.研究動機
人の集まるレジャーランドにもしも人気の要素(以降はカギとする)というものがあるとすれば、それは何であるのか。もしもそのカギがわかれば、今後オープンされるであろうレジャーランドにそのカギを含ませることでより多くの人が集まるのではないかと考えたからだ。
3.研究の流れ
まず、レジャーランドの人気の計り方の1つの方法をはっきりされる。次にカギになりそうなものを3つあげ、それぞれについての仮説を立て、検証していく。そしてそれぞれの検証の結果を出し、最終的に人気のカギになりうるのもがあるのかどうか、もし人気のカギが見つかってのであればそれが何かを示す。
4.人気の計測法の提案
このの表は1999年度のレジャーランド入場者数のランキング(*1)である。その横には各レジャーランドの入場料金、年間営業日数、1日平均入場者数が書いてある。1日平均入場者とは、年間入場者数を営業日数で割った値である。この1日平均入場者数が多ければ多いほど、人気があるとする。
これは1年間毎日営業しているところと、休園日があるところでは違うと考えたからだ。1年間の総入場者数が同じであっても、休園日のないレジャーランドと、休園日のあるレジャーランドでは、1日あたりの入場者数がまったく違ってくる。この場合にはやはり休園日のないレジャーランドよりも、休園日のあるレジャーランドの方が1日当りの入場者は多く、人気があるのではと思ったからである。
5.アプローチ
いくつかのデータを「SPSS」という統計ソフトを使いデータ処理をし、結果を出していく。「SPSS」と言うソフトは統計データを取り扱うソフトで、大量なデータを扱うことができ、データ解析が簡単に操作できるソフトである。このソフトを使い入場者数と他の数値を分析していき、人気のカギを探していこう思う。
6.人気のカギ探し
ここからは人気のカギを探すため4つの仮説を立て、それぞれを検証してみた。
仮説A
まず1つ目のカギとして入場料金を考えてみた。財布の中身を考えるとやはり料金の高いレジャーランドで遊ぶのであれば、少しでも料金の安いレジャーランドで遊びたいと考えるのは私だけではないだろう。そこで入場料金が安ければ安いほどレジャーランドへの入場者数が増えるのではないかと考え、この仮説を立ててみた。
検証A
ここでは相関係数という値を使い、入場者数と入場料金との関係を調べてみることにした。相関係数とは、お互いの値の関係がどのくらい強いかが分かる値のこと
というコメントが現れた場合に、この値が100分のx以上であれば、データを分析をしても予測に役には立たない。逆に100分のx以下であれば分析したものは予測に役立つ。
しかし、基本的には役に立たない結果については「相関係数はx%水準で有意です。」といったコメントが付いてこないことが多い。Nとはデータの個数である(*2)。
下記の表@はデータ分析後の結果だ。
表@ |
入場者数と入場料金の相関係数 |
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入場者数 |
入場料金 |
入場者数 |
Pearsonの相関係数 |
1 |
0.13 |
|
有意確率(両側) |
. |
0.95 |
|
N |
165 |
165 |
入場料金 |
Pearsonの相関係数 |
0.13 |
1 |
|
有意確率(両側) |
0.95 |
. |
|
N |
165 |
165 |
|
|
|
|
結果A
上記が、「SPSS」の出力結果である。ここでは相関係数が0.13となっており、1からはかなり遠ざかっていることがわかる。さらにこの結果では表の下に「相関係数はx%水準で有意です。」との説明がないことからこのことから入場者数と入場料金との関係はまったくないことがわかった。
したがって、入場者数と入場料金との関係はまったくないといえ、たとえ入場料金を下げたところで入場者数が増えたとしても、それは一時的な入場者数の増加でしかなく、時間がたつにつれ入場者数はもとに戻っていくと予想される。
仮説B
次に、人気あるレジャーランドは人の集まるところにあるのではないだろうかと考えた。レジャーランドを建設する際にどこに立てるかは非常に重要なことだと思う。入場者数を多くするにはやはり人口の多いところにレジャーランドを立てるのが望ましいのではないかと思った。
入場者数の多いレジャーランドが各都道府県にいくつあるのか(付録A)、そして都道府県の人口(*3)が多いところほど人気のレジャーランドは多いのではないだろうか、「SPSS」を使い分析してみた。
検証B
各都道府県別に人口をだし(人口1)、その人口と各都道府県にある人気のレジャーランドの数とを先ほどと同様に「SPSS」で分析してみた。以下がその結果だ。
表A |
パーク数と人口1の相関係数 |
|
|
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パーク数 |
人口1 |
パーク数 |
Pearsonの相関係数 |
1 |
0.814 |
|
有意確率(両側) |
. |
0 |
|
N |
47 |
47 |
人口1 |
Pearsonの相関係数 |
0.814 |
1 |
|
有意確率(両側) |
0 |
. |
|
N |
47 |
47 |
|
相関係数は1%水準で有意(両方)です。 |
|
|
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結果B
上記が「SPSS」による結果だ。相関係数は1%水準で有意であるとでておりまた、有意確率は0であることからこの結果は有効であるといえる。また、相関係数は0.814とわりと高い数値を出している。この数値より、入場者数の多いレジャーランドは人口の多い都道府県に集まっている傾向があるということがわかった。このことにより、今後レジャーランドを建設する際には東京や、大阪、神奈川といった人口の多い都道府県に建設すると入場者が集まりやすいということがわかった。
仮説C
先ほどの検証により人口の多い都道府県に人気のあるレジャーランドが集まりやすいということがわかった。そこで人口の多い都道府県に入場者数の多いテーマパークが多いのであれば、人口の多い市や郡(*4)にあるレジャーランドではたくさんの入場者が集まるのではだろうか(付録B)。そこでこのことを「SPSS」を使って調べてみたいと思う。
検証C
レジャーランドの入場者数とそのレジャーランドが所在している市、郡の人口(人口2)をこれまでと同様に「SPSS」で分析してみることにする。
表B |
入場者数と人口2の相関係数 |
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入場者数 |
人口2 |
入場者数 |
Pearsonの相関係数 |
1 |
0.148 |
|
有意確率(両側) |
. |
0.058 |
|
N |
165 |
165 |
人口2 |
Pearsonの相関係数 |
0.148 |
1 |
|
有意確率(両側) |
0.058 |
. |
|
N |
165 |
165 |
|
|
|
|
結果C
この結果では、「相関係数はx%水準で有意」という表示はでなかった。このことにより入場者数と所在する市、郡の人口はまったく関係のないことがわかった。
このことから、人口の多い都市にレジャーランドがあろうが、人口の少ない町にレジャーランドがあろうが入場者数はあまり変化がないことがわかった。
仮説D
次は、入場者数と各レジャーランドにある駐車場の最大駐車台数(*5)を調べてみた(付録B)。これは、現在の日本では交通手段の1つとして車が用いられている。車はバスや電車と違い、何本も電車を乗り継いだり、箱詰めにされるような問題はない。しかし車であるがための渋滞や駐車といった問題がでてくるのではなかろうか。そこで車でレジャーランドにいく際に気になるであろう情報の1つ、駐車場を1つのカギと考え、入場者数と最大駐車台数との関係を調べてみる事にした。
検証D
これまでと同様にレジャーランドの入場者数と各レジャーランドにある最大駐車台数を「SPSS」使い、これまでと同様にデータを調べてみた。
表C |
入場者数と人口の相関係数 |
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|
入場者数 |
駐車場 |
入場者数 |
Pearsonの相関係数 |
1 |
0.234 |
|
有意確率(両側) |
. |
0.003 |
|
N |
165 |
165 |
駐車場 |
Pearsonの相関係数 |
0.234 |
1 |
|
有意確率(両側) |
0.003 |
. |
|
N |
165 |
165 |
|
相関係数は1%水準で有意(両方)です。 |
|
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結果D
上記の結果では、有意確率は0.003とでている。相関係数は1%(0.01)以下で有効なためこの結果は有効だといえる。次に相関係数の値を見てみると0.234と低い値が出ている。よって入場者数と最大駐車台数との関係はあまりないことがいえる。
このことから車が多い社会とはいえ交通手段は車だけでなく、電車やバスを使い訪れる人も多いことが予測される。これは日本全国いたるところでバスや電車の路線があるため車でなくとも訪れることができるからではないだろうか。実際、今回調べたレジャーランドのうち、国営海の中道国営公園以外はバス、電車で訪れることができる(道の駅のためバス停や電車の駅がないため)。このことにより、レジャーランドの人気には駐車場はあまり関係がないということがわかった。
7.結論
今回の研究では入場者数と直接かかわりのあるデータはみつからなかった。入場料金にしても駐車場にしても入場者数との深い関わりがあるような結果は出でこなかった。入場者数の多いレジャーランドの数と各都道府県の人口、市,郡と人口の関係であるが、人口の多い都道府県ではたくさん人が入るレジャーランドがあるということがわかり、人口の多い都市にあるレジャーランドには人が集まるといった傾向はまったく見られなかった。このことからレジャーランドは人が多いところに建てなくても近くに人がたくさん集まっている都市があれば多くの入場者が見込めるであろうという結論がでた。
8.今後の課題
データ分析の仕方が「SPSS」の相関係数というものを使っただけだったので他の方法でも調べられたらいいと思う。
今回使ったデータでは直接入場者数と関わりのあるような良い結果が得られなかったので、もっと違うデータを用いて分析していきたい。
参考資料
(*@)『レジャーランド&レクパーク総覧2001』サンプルより,
各レジャーランドのホームページ参照
(*A)『「SPSS」による統計処理の手順』著作 石村貞夫(東京図書)
(*B)『都道府県別データブック'99』 読売新聞校閲部
(*C)『都道府県別データブック'99』 読売新聞校閲部
(*D)『ぴあmap遊園地&テーマパーク2000〜2001』ぴあ株式社,
各レジャーランドのホームページ参照
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