数値地図を利用した選挙区区割サポートシステム
この論文では数値地図という言葉が何度も出てきますが、定義を先にしてしまいたいと思います。
財団法人 日本地図センター(http://www.jmc.or.jp/)によると
「数値地図」とは、国土地理院が刊行するデジタルマップの総称です。
(http://www.jmc.or.jp/data/data.htmlより)
となっています。しかしながら、私が必要としているのは、ベクトルデータの地図ですので、
数値地図とは基本的に「数値地図25000(行政界・海岸線)」のことをさしていきたいと思います。
なぜ数値地図25000(行政界・海岸線)を基準とするかは、データの加工が比較的しやすいことが
まずあげられます。地理的な隣接関係を考える際には、高速道路や、標高のデータは(現在のところ)
必要となりません。そのようなことを考慮すると、数値地図25000(行政界・海岸線)は、必要かつ
十分なデータを保持しています。
1.数値地図を利用し、選挙区区割の研究のときに必要となる基礎データを提供できるシステムを開発する。
非常に機能の限定されてはいますが地理情報システム(GIS=Geographic Information System)の
構築をしたいと思っていいます。多くのGISが出回っていますが、「隣接性」を保障したシステムは、
現在のところないのではないかと思っています。
ただし、機能の限定されたGISといいましても、かなり大きなデータおよび、ソフトウェアとなることが
予想されます。特にデータの保持の形式については、それのみで研究をされている方もいらっしゃるほどです。
STIMS(http://www.mm.ics.saitama-u.ac.jp/stims/)など。
そこで、場合によってはすでに開発されているツールに流し込むためのツールの開発となる可能性もあります。
2.選挙区が外平面グラフであるかを研究し、もし外平面グラフであれば、外平面グラフ特有の
方法で区割ができるかどうかを研究していく。
選挙区も解いていく上では、グラフになります。現在研究されている方法は、一般のグラフとして
研究がなされいています。しかし、選挙区のグラフは外平面グラフと呼ばれる、もう少し特色のある
グラフである可能性があります。そのような場合、その特色を生かした区割ができる可能性があります。
そのようなことができれば、今までより短い時間で解ける可能性が出てきます。そのような点を考え、
区割のサポートだけではなく、新しい解法を生み出すことができないかを同時並行的に研究して
いきたいと思います。
1. 2.はそれぞれ独立したものではありません。ソフトウェアを先に開発をするようであれば、外平面グラフ
に関しては、そのソフトのオプションとして追加していきたいと思います。
私が所属している研究室では、ここ最近選挙に関する話題を多く取り上げています。
そのような研究をする上では、どの市町村がどの選挙区に属しているかなどの情報が必要に
なります。また、実験等を重ね、結論を出す時には、求めた解を地図上に戻す必要があります。
現在その方法としては、出来る限り簡単になるようにしてはいますが、その多くの手順で
研究者が研究および基礎データの作成をしています。これは時間的、コスト的に非常に無駄に
なっている部分が多いと思っていました。
では、データ部の提供のお手伝いができないであろうかと考えたときに、はじめは紙の地図から
隣接関係のみを抽出して、その手で書いたデータを元に選挙区を定めようとしました。
しかし、これでは根本的な解決にならず、先生に伺ったところ、「数値地図」と呼ばれる地図があることが
分かりました。そこで、数値地図を利用して区割のサポートをできるソフトを作ろうと思い立ちました。
区割り問題を取り扱う際に、今まで実験者がデータ作りに割いてきた労力を、本来の研究に
利用することができる。そのことにより、より質の高い研究のお手伝いができ、ゆくゆくは
もっと公平な選挙区を作ることができるようになる。
4月 | 計画書提出 テーマ発表 |
5月 | GISやグラフの勉強 |
6月 | GISやグラフの勉強 |
7月 | 初期プログラムの製作 |
8月 | 初期プログラムの製作 |
9月 | 中間発表 |
10月 | 初期プログラムの高速化 機能の追加 |
11月 | 初期プログラムの高速化 機能の追加 |
12月 | 卒業論文完成 卒業論文発表会 |
01月 | 卒業論文一般公開 |