外国為替取引におけるネットワーク計画の利用

95P21022 伊藤秀一


研究テーマ


外国為替市場において、通貨を他の通貨に両替したい。その時に、直接両替するよりも異なった通貨に替えてから、求めている通貨に替えたほうが 価値が減らない場合もあるのではないか。 複数の通貨を利用することにより、通貨の移転には複数の方法が考えられることになる。そこでこの研究では複数の方法の内で最も価値を減らさずに済むルートを見つける方法について考えたい。
このことは経済的に意味がある問題である。 さらに、外国為替取引では、秒単位で為替レートが変化している。 そのため、より高速な意思決定のサポートが必要となってくる。 そこで、外国為替市場での通貨の動きをネットワークモデルとして捉え、 ORのネットワーク計画を利用する。 まず、各通貨を点で表し、通貨間の移転を枝で表す。その各枝に重みとして為替レートを付与すればネットワークが得られる。 通貨の移転を計算するには、通過する枝の重み(為替レート)をかけていくと出る。 しかし、2つの数の掛け算というのは、各数値で対数をとればその対数をとった値同士の足し算に変えることが出来る。 そこで、全ての枝の為替レートの対数をとれば、最も価値が減らない方法(ルート)というのは、枝の重みを足して最も大きくなるルート ということになる。 ここで、為替レートの対数をとった値にマイナスをつけると、最も値が減るルートを見つけるという問題にすることができる。 この問題は、ネットワーク計画問題において最短路問題と呼ばれる。

特色

この問題では枝の重みに、マイナスの値が存在することになる。 最短路問題の代表的な解法であるダイクストラ法は、負の長さを持つネットワークでは利用できない。 そこで、枝の重みに負の値があっても利用できるべき乗法で問題を解いてみたいと思う。 また、前述の通りこの問題ではより高速に解くことも重要なのでコンピュータを使って解く。 ここでは、Excelを利用して解を求める。

結果

実際の為替レートを適用し、解としてどのようなルートで替えたらいいか、その結果どうなるか、を高速に求めることができた。
しかし、為替レートを手で入力する、といったインタフェースの問題。 計算上小数点以下の小さい数も扱うので数値誤差の扱いについてもさらなる考察が必要と思われる。