座れる東海道線を目差して


文教大学 情報学部 経営情報学科 4年 平井理文


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1.はじめに



私は就職活動のため、茅ヶ崎―東京間でJR東海道線を何回か利用した。それ以前まであまり電車に乗らない私は、その就職先の資料やその日の新聞、そして就職活動に役立つ本を持って行き、電車の中でゆっくり読もうとした。

朝の7:16の茅ヶ崎駅から乗車し、座れるまではいかないが新聞を読むことはできた。しかし辻堂駅、藤沢駅、大船駅と進むにつれて新聞のサイズがどんどん小さくなり、戸塚駅の時点ではもう手の自由がきかないのである。横浜駅に着くと私は驚いた。先程まででも車内の混雑状況は人の頭しか見えないくらいに満杯だったのに、さらにたくさんの人が乗車してきたのである。私はものすごい人の押し流れる力に翻弄され、何人かの乗客にぶつかった。川崎駅、品川駅、新橋駅と駅員さんが人を押し入れる光景が続いた。やっと東京駅に着いた時は本当に疲れてしまった。そんな体験をして私は思った。もし朝のラッシュ時の電車に座れる事ができるならば、ゆっくり座って新聞や本を読める。そして、ノートパソコンや携帯電話によってインターネットやE-mailなどの軽い仕事ができるだろう。

この研究では東海道線の改善案の一案を提案する。現状では夢に近い状況と思われるが、どの程度の夢なのかを計ってみたいと考えた。そこで、理想に近い東海道線に変えるためのシミュレーションを行ってみたい。最初に東海道線の利用人数を都市交通年報という書籍の中のデータから調べ、その駅から駅までの乗車人数を出した。次に、WEB上の車両大図鑑というHPから車両の種類や特徴などを加味し、座れる東海道線を目指してシミュレーションを行うものである。もしシミュレーションから良い結果を生み出すことができたら、同じ中・長距離線である常磐線や高崎線などにも応用出来ると予想できる。そうすればこれからの社会にとって電車の時間がとても重要な時間になるであろう。

この論文では、2章で東海道線の説明とその利用人数と車両についての説明がしてある。その説明をふまえて現状の東海道線、3章では座れる東海道線と新聞の読める東海道線を検証してある。



2.JR東海道線について



東海道線は、東京から神奈川県、静岡県を通って京都、大阪まで続く、中・長距離電車である。その体色は湘南色として緑とオレンジで構成されている。これは湘南地方のみかんの木をイメージした色使いである[4]。その色の濃い車両が古いタイプの113系で、ステンレスの銀色をベースにしその両脇に湘南色を使っているのが新型の213系である。他にもオール二階建ての215系湘南ライナーや快速アクティーなどもある。


調べてみるとJR側でも少しでも現状を打開すべく貨物線を経由する「湘南ライナー」という特急電車の試みをしている。これは小田原駅発(一部二宮駅発)であり国府津駅、二宮駅、平塚駅、茅ヶ崎駅、藤沢駅に止まったあとは品川駅まで一気に向かう電車である。朝のラッシュ時に3本出ているが、いずれも早々完売する。ライナーを増やせないのかと疑問視されるが貨物線の合間に運行している状況でこれが現在では限界だという。ライナー一本の定員が830人であり、3本で2490人の乗客を超混雑の満員電車から救っている。しかし、実際には9割以上の人が超混雑電車で東京を目指すのだからまだまだ改善の必要がある[2]。

東海道線は大船駅から横須賀線と並行し横浜駅からはさらに京浜東北線とも並行する。しかし、大船駅から東京駅まで東海道線だと間の駅が6個しかないのに対し、横須賀線は9個と多くなる。しかも横須賀線は新川崎駅、西大井駅と本線より外れて膨らんでいくし、横須賀線の新橋駅と東京駅のホームは地下に潜るから東京駅に到着するのが東海道線より遅くなるのである。そして横浜駅と東京駅間だが、東海道線は4個しかないのに対し、京浜東北線は13個もあり朝は快速もない。そんな状況から東海道線に集中度が偏っているため東海道線自体の改善が有効であると考えた。


2-1.利用人数の説明



朝ラッシュの時間帯の電車一本に乗車している人数を考えて行く。まずは、東海道線を利用している人数が年単位で分かる[1]。しかし、本研究で利用したい朝ラッシュ時の乗車人数は公表されていない。そこで、朝ラッシュの時間帯利用しているのは定期の人がほとんど全員で定期外の人は微々たるものであると考える。すると、朝ラッシュ時の乗車人数を得ることができる[6]。そうすると定期の人とは通勤、通学の人となり日曜日休みとなり電車の利用は週6日となる。これで年間の利用人数を一日の利用人数に変換する際に週7日で365日のところを週6日で312日とし、これで年間のデータを割ることによって平日の利用人数が出る。

そして、その平日利用人数から朝のラッシュ時に上り3本走っている湘南ライナーの乗車人数を引く。なぜなら湘南ライナーの乗車券はその前日にすでに完売してしまうのである。つまり、湘南ライナーに乗車する人はすでに決定しているのである。だから、本研究で考える朝のラッシュ時の利用人数には含まれない。湘南ライナーは定員着席での着席通勤出来る特急電車であり、小田原駅、国府津駅、二宮駅、平塚駅、茅ヶ崎駅、藤沢駅と止まって品川で終点となる。その乗車券は各駅の緑の窓口で購入する。そしてその駅ごとによって一本830ある座席の配分が決まっているというが、私はその配分については均等に考え3本で2490の座席を6駅で割り一駅ごとに415人とした。これで朝のラッシュ時に3本走る湘南ライナーを考慮した平日の利用人数を得ることができる。

最後に、朝のラッシュの時間を決めるわけだが、これは茅ヶ崎駅の時刻表の午前中を30分間隔でみると6時半から9時までは6〜10本の電車が来ているのに対しその他の時間は平均3本しか電車が来ていないので、朝のラッシュを6時半から9時と決定した[5]。そのラッシュ内の電車の本数34本で一日のデータを割るとその一本の電車あたりの乗車人数になるわけである。なお、この一本の電車あたりの乗車人数であるが、このあとの2-3.現状で述べるような次の電車を待つ人数は考慮されていない。つまり、いくらその電車が混雑しててもその一本の電車あたりの乗車人数全員がその電車に乗っていると仮定している。


上のグラフでは東京〜平塚となっているが上りの電車を本研究の対象としているので平塚から東京へと進む。そして平塚、茅ヶ崎、辻堂…とあるが、これはその駅での混雑状況ではなく平塚だったら平塚駅とその前の駅間の混雑状況のことである。以下の文章内での混雑状況の説明で横浜駅とか新橋駅とかで表記してあるが、これはそれぞれ横浜駅と前の戸塚駅の間の事、新橋と前の品川駅との間の事を示している。なお、上りの平塚より前は実際に朝のラッシュ時でも座れたので省いた。

2-2.車両の説明



座れる東海道線を目差すためにまず、車両の増結、次に列車の増発を考える。が、東京圏各線の場合はこうした対策がほぼ限界に達しているという[2]。列車の増発は解りますが、車両の増結はホームの制約のために不可能であるという。しかし私は座れるのならばもしホームの長さより電車の長さの方が長くて、その両端がホームから飛び出ることになっても東海道線は一つ一つの駅間が平均7分と長いので車両内を少し歩くぐらいの苦労は座れるのなら問題無いと考ている。そこで私の場合車両の組み合わせが大切な問題になる。東海道線には東海道線としての車両があり、例えばそれを山手線の車両に繋げることはできない。そこで東海道線で使用できる近郊形直流電車の113系と213系の車両の主なものを説明する[3]。

車両の種類シートタイプ座席数定員数新聞定員
通勤系ロングシート64156198
近郊系ボックスシート76136172
グリーン車用二階建て定員着席909090

この他にもロングシートとボックスシートの間のセミロングシートやグリーン車用の向かい合わせシートなどがあるがいずれも上に挙げたタイプよりも座席数や定員数が低いため私の研究では使わない。制約としてはまず電車の先頭車両には運転装置が付いているのでロングシートで座席数−12、定員数−24、そしてボックスで座席数−8、定員−12となる。次に10両に一つづつトイレがあるのでロングシートで座席数−6、定員数−12、そしてボックスシートで座席数−4、定員−6となる、しかし運転装置やトイレは微々たるもので省略。そしてグリーン車用の車両にはモーターが装備されていないので、それだけでは路線を走ることができない。普通はグリーン車用二階建てが二つ続きその前にモーター付きの車両を配置する。よってグリーン車用二階建てを用いる場合は二つに一つをモーター付きのロングシートかボックスシートを付けることにする。さらにグリーン車用二階建ては車内に座席がびっしりと並んでいて座席数以上の人数を乗せることはできない。最後に15両につき1人づつ車掌が加わる。これは車内の安全確認と駅のホームでのドアを閉める時に1人で確認するには15両が限界であるという[4]。ちなみに定員数とは車両の座席数と有効床面積を0.3m2で割って求めた立席定員数の合計である[2]。

2-3.現状



以上の説明をふまえて東海道線の現状を整理してみる。朝のラッシュ時は通勤系のロングシートが利用されている。編成はロングシートが13両、グリーン車が2両の計15両。そして定員数は156*13両で2028、グリーン車の定員数が90*2両で180、合わせて2208人。これを先程の一本の電車の乗車人数から割るとその駅間での乗車人数が定員の何倍かが分かる。平塚駅から戸塚駅までは定員の約1〜3倍と予想はついたが、横浜駅、品川駅、と定員の約6倍、しかも新橋駅と東京駅の間は約7倍という数字が出てきた。確かに定員さんが乗車客を電車に押し込んでいたし、それでも乗れない人は次の電車を待っていた。





3.解決案の提案



この章では座れる東海道線を目差した解決案について考える。まず、下の3-1で座れる東海道線(着席通勤)にチャレンジしている。そして次に3-2で新聞や本が読める東海道線(新聞通勤)を検証している。新聞通勤とは朝のラッシュ時に新聞や本が読めるような個人のスペ−スを確保した電車のことである。これらの二つの案には共に路線の複々線化を用いた。列車の増発はもう限界で、それでも貨物路線を利用して湘南ライナーをできる限り有効に走らせているのが現状である。車両を増結しても約50両ぐらいの長さになってしまう。電車は10両で約200mあるので50両は約1000mといくらなんでも長すぎる。車両の増結にも限度があるので東海道線のラッシュには最も乗車人数を減らせる路線の複々線化を用いるしか方法がないのである。そして、その複々線化した路線を以降東海道線αと呼ぶことにする。

3-1.着席通勤の検証



着席通勤には基本の車両に座席数が多いボックスシートを用いている。それに最も座席数の多いグリーン車用二階建てを組み合わせて考える。編成は先頭にモーター付きのボックスシートで次にグリーン用二階建てを二両続けて付ける。後はこのボックスシート一両にグリーン用二階建てを二両のセットの繰り返しである。これは座れる東海道線を目差すものである。座れるのならグリーン車の必要がないのでグリーン車は考えない。以上の事を考えて計算すると一番乗車人数の多い新橋駅と東京駅間で一本の電車で171両必要になる。これは長さ3420mとなる。この長さはホーム一駅約300mある所へ3420mの電車をそのホームの真ん中と電車の真ん中とで止めたとしても片側1560mもホームから飛び出てしまう。しかも車掌が11人も必要になる。こんな数値はもうお話にならない山手線の有楽町駅に着いたまま東京駅入りしてしまう。

駅間名必要車両数
東京171
新橋168
品川162
川崎98
横浜163
戸塚85
大船72
藤沢50
辻堂43
茅ヶ崎39
平塚24

そこで方向別複々線化する必要がある。方向別複々線とはホームを行き先方向別に設ける、よって急行線と緩行線との乗り換えが同一ホームででき、この二つの路線の共用が容易にできるという利点がある[2]。東海道線の場合は朝と夜のラッシュ時だけ混雑し、早朝や昼間は問題なく座れるので複々線化する路線は朝と夜のラッシュ時だけ必要なので、地下鉄をその混雑する区間に走らせればいいという意見もでたが、上の理由から無駄である。

そして、一本の車両数(Xと仮定する)を決定します。複々線化する駅間は車両数が2編成通ることになる。必ず座れる電車と定義してるので一番混雑する駅間を必ず座れるように編成すれば、他の駅間も必ず座れることになる。そしてその駅間ごとの車両数から先程の着席通勤に必要な車両数を引くと座席数が足り過ぎて何両無駄があるのかが解る。その無駄を最小にしかつ一本の車両数Xも最小にする。ここでは新橋駅と東京駅の2編成(2X)からそこの必要車両数を引く。このことによって、一番混雑する駅間の無駄な車両をなくすことになる。2X−171=0となる。X=86となり、全駅間での無駄な車両数は301両となる。そして、最適な複々線化する駅間は横浜駅、川崎駅、品川駅、新橋駅、東京駅となる。一本の電車は長さにして1720m、片側710mもある。座るために710mも車内を歩かなければならない。しかも、車掌が一本5人も必要となる。現実では考えられない数値である。

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駅間名東海道線東海道線α必要車両数着席通勤X=86の無駄車両
東京1712X-171+1
新橋1682X-168+4
品川1622X-162+10
川崎982X-98+74
横浜1632X-163+9
戸塚85X-85+1
大船72X-72+14
藤沢50X-50+36
辻堂43X-43+43
茅ヶ崎39X-39+47
平塚24X-24+62
合計15X-1075+301


3-2.新聞通勤の検証



せめて朝のラッシュ時に新聞や本を読みながら通勤・通学できないか、それが今から考えることである。新聞や本を読めるような個人のスペースですが、これは私がロングシート、ボックスシートと乗車し、新聞を広げて調査した。そうですこれが2−2の車両の説明で載っていた新聞定員である。ちなみに新聞定員は定員の約1.665倍である。ロングシートの方が新聞定員の数が多いので、今回はこちらを基本車両に用いる。そして今回も新聞や本が読めるということでグリーン車は必要ないと考える。それで乗車人数をこの新聞定員の198で割るとそれぞれの駅間での必要な車両数値がでる。これも新橋駅と東京駅間が一番多く、一本の電車で74両必要になり大きい数値のため方向別複々線化する。

駅間名必要車両数
東京74
新橋72
品川70
川崎42
横浜70
戸塚37
大船31
藤沢22
辻堂19
茅ヶ崎17
平塚12


次に車両数(Xと仮定する)を決定する。複々線化する駅間は車両数が2編成通ることになる。必ず新聞通勤できる電車と定義した場合は一番混雑する駅間を必ず新聞通勤できるように編成すれば、他の駅間も必ず新聞通勤できることになる。そしてその駅間ごとの車両数から先程の新聞通勤に必要な車両数を引くと車両数が足り過ぎて何両無駄があるのかが解る。その無駄を最小にしかつ一本の車両数Xも最小にする複々線化をする。ここでは新橋駅と東京駅間の無駄な車両をなくせばいい。それは2X-74=0となり、X=37となる。全駅間での無駄な車両数は126両となる。そして、複々線化する駅間は横浜駅、川崎駅、品川駅、新橋駅、東京駅となる。新聞通勤ではここでその全駅間での無駄な車両数を減らした一本の車両数を決定することができる。着席通勤の場合はグリーン車用二階建てを用いているのでその定員数以上を乗車させることはできない。しかし、新聞通勤ならロングシートだけなのでその定員以上に乗車させることができる。つまり新聞通勤は乗車人数に幅が持てるということである。そこで全駅間を平均して新聞通勤できる車両数をもとめる。車両数Xから先程の新聞定員で乗車人数を割った必要な車両数値を引くと何両足りないとか、何両無駄だとかの数値が出る。ちなみにこの数値が負の数なら車両が足りないことになり、正の数なら車両に無駄があることになる。全駅間の式を合計して、無駄な車両をなくすと平均して新聞通勤できる車両数Xがもとまる。それは16X−466=0となり、そうして計算すると一本あたり29両となる。車掌は2人必要である。長さにして580m、片側140mとまだまだ長いが「新聞通勤」するためにはこの数値は必要不可欠である。

駅間名東海道線東海道線α必要車両数必ず新聞通勤X=37の無駄車両平均して新聞通勤X=29両の無駄車両
東京742X-740-16
新橋722X-72+2-14
品川702X-70+4-12
川崎422X-42+32+16
横浜702X-70+4-12
戸塚37X-370-8
大船31X-31+6-2
藤沢22X-22+15+7
辻堂19X-19+18+10
茅ヶ崎17X-17+20+12
平塚12X-12+25+17
合計16X=466+126-2



4.結論



4-1.結果



複々線化した東海道線αを導入したと仮定して定員数との関係をみてみると現状での定員数の7倍もあった新橋駅と東京駅間が定員数の1.5倍にまで下がっている。しかも全体的にも定員数の2倍以下に下げることができた。しかし、実際には車両の長さの問題がある、29両といったら現在の東海道線の15両の約2倍であり、長さ580m、うーんやっぱり長すぎる。もう少し東海道線αでの列車を増発できることができれば、この長すぎる29両を短くできる。現状での東海道線は列車の増発は限界であるが、新しい東海道線αの路線なら列車を増発できる可能性がある。この東海道線αを増発して東海道線の全体的な車両数を減らすという事は今後の課題とする。

4-2.更なる提案


以上の結果から私は更なる提案をします。それはJR東北線と東海道線αをドッキングするということである。つまりJR東北線を戸塚駅まで延長するのである。なぜか?一つ目にJR東北線は211系の中・長距離電車であり211系と東海道線の113・213系と長さ、幅、電流、モーター、路線の幅など、タイプが同じで連結できることである。このことによって東海道線の車両を東北線に組み合わせてそのまま東北までもっていったり、東北線の車両まるごと東海道線に流したりもできる。二つ目はJR東北線は上りは上野駅で終点であるが、東海道線αとドッキングするとしたら上野駅と東京駅間を通ることになる。この上野駅、御徒町駅、秋葉原駅、神田駅、東京駅の間は朝のラッシュ時は山手線と京浜東北線が各駅のみで通っているぐらいで、混雑率(定員/乗車人数)は244%だと言う[2]。上野駅と東京駅の区間はなかなかの混雑地帯である。そこに急行として通ることで混雑率を減らせると予想できる。三つ目はJR東北線は埼玉県の大宮駅の少し北のところから宇都宮線と高崎線の二つに分かれて進むことになる。よって東海道線αの29両を上野駅で前15両と後ろ14両に分けてそれぞれ宇都宮線と高崎線として進むことになれば、車両の移動が滑らかになるのではないかと予想できる。このJR東北線の導入の案は今後、詰めて行きたいと思う。

4-3.おわりに

座れる東海道線は夢の話であった。「新聞通勤」でさえ何とか現実の話になる程度であった。だが現在私が研究してきたような内容は「快適通勤」というテーマでJRや小田急線、そして運輸省などで専門家によって研究されていることが分かった。小田急線では路線の複々線化を現在施行中である。それにJRでは列車を増発するために、各駅ごとでの停車時間を短くすることに力を入れている。その例として山手線、京浜東北線の6扉式車両、そしてロングシート、ボックスシートに代わる停車時間を最も短くできる新シートなどがある。運輸省では「時差通勤」と題してその可能性について調査したところ、都心部では混雑率にして10〜20%程度緩和されるという結果となった。しかもJR東日本本社や小田急本社などでは9時20分始業とし「時差通勤」に貢献している。そうやって現在の超混雑電車から少しでも輸送力を増強したり、少しでも乗車客をラッシュ時から遠ざけることによって日本の「快適通勤」を目指しているのである。そして私も日本の「快適通勤」を目指してもっともっと勉強し続けようと思う。



謝辞



本研究に対して、取り組みの遅かった私ですが、根本俊男先生がさまざまな道標やヒントを出して下さってようやく仕上げることができ、本当に助かりました。また定期券のアイディアを下さった三浦講師、たまにしか研究室に顔を出さない私にたくさんの意見をくれたり、励ましてくれた研究室のメンバーに心から感謝します。ありがとうございました。

参考文献



[1]「都市交通年報」(1998年度版)

[2]「鉄道ジャーナル2000年一月号」(鉄道ジャーナル社)

[3]「車両博物館」 大坪 著
(http://www.geocities.co.jp/MotorCity/4431/index.html)

[4]「鉄道雑学辞典」 山下 耕象 著
(http://www.tohkatsu.or.jp/user/kosyou/)

[5]JR時刻表(交通案内社)

[6]三浦講師のアイディア