アクアライン利用の指標の一つを考察する

96P21041 小野 彰子

研究テーマ

ある場所からある場所へ行くトリップには普通数種類の選択経路(トリップする人が選択する)がある。そして各経路には、距離、所要時間、速度およびサービス水準等の各特性から選られる固有の移動負荷があると考えられる。これらの特性は特定経路を選択する前に意識的にせよ潜在的にせよドライバーが評価してしまう。例えば、少しでも早く目的地に着きたいという気持ちを重視して高速道路を利用してみる人もいれば、お金を払うくらいなら渋滞に絶えようと考える人もいる。つまり高速道路を利用する人は時間と交通サービスを料金で買う行為をしているのではないかと見ることができる。 交通サービスや時間は形として残るものではないのでそのものの値段が妥当であるかは、はっきりしないのに決められた値段を払っている。 そこで、ベイエリア周辺の道路交通を対象としてその利用状況からアクアラインを利用する人・しない人の境目をはかり、交通サービスの利用を選ぶ指標の一つを考えることにした。

テーマ内容

まずベイエリアとは、ここでは東京湾を中心としたその沿岸部の道路網を指す。アクアラインは首都圏の環状道路の一つで、神奈川県川崎市と千葉県木更津を結ぶ、延長15.1kmの一般有料道路である。ベイエリアの交通網の中にこのアクアラインができたことにより、道路ネットワーク上での利用者の価値観から交通の流れに変化があった。実際、ベイエリアの道路利用者の中にはアクアラインを利用する人、しない人が存在する。心理的な価値観ではなく時間や距離、有料道路料金などからアクアラインを利用する人、しない人の価値の違いを具体的に表してみることにする。

まずベイエリア周辺の道路交通を単純に考えて6つの点に分けてみる。経路は一本しかないので1つめの点から6つめの点へ移動するには1+2+3+4+5+6となる。各点から各点へ移動するのにかかる距離や時間、道路使用料金を枝と設定する。そこへ6つの点の中から2つめの点から5つめの点を結ぶ道ができた。このようにあるところからあるところへ移動するのに道が1つしかなればその道を通ざるをえないが二つ道があったら交通の流れがどのように変化するか考えてみる。

主な結果

すべての点が各点へ移動するのに新たにできた道を100%使用するように設定するためには、まず新たな道を必ずとおるパターンと、とおらないで移動するパターンのうち、もし新たにとおった道で移動する方のが枝の長さが小さければ、すべてのドライバーは新たな道を選ぶことになる。結果この式が成り立ったのは、点3つめの点と4つめの点を結ぶ枝の長さが大きな数字であるほど新たな道(2つめの点と5つめの点を結ぶ)を利用する人が増えることがわかった。

単純なモデルの結果をもとに現実の時間と料金を代入してみた結果、時間だけで考がえると単純モデルは成り立つが、道路利用料金だけで考えると単純モデルは成り立たない。つまり、ベイエリアの交通利用者は時間の面と料金の面を天秤に乗せどちらかに傾いているからアクアラインを利用する人と利用しない人が出てくることになる。

アクアラインを利用する人と利用しない人は、時間と料金を天秤にかけているのではないかと判断した。時間縮めることができ、快適性があるならいくらか払ってもいいと思う人がアクアラインを利用し、とにかく料金が安い方の道のりをと思う人がアクアラインを利用しないとするならば、アクアラインを利用する人は、時間や交通サービスをだいたいこれくらいなら支払ってもよい、あるいは支払う価値はあると判断しているのか。ではそのだいたいこれくらいという金額を求めてみる。

アクアラインを利用したことによって得られる短縮時間を考慮に入れた有料道路の料金がアクアラインを利用しない料金よりも安ければみな利用するのだが実際の計算、ここでは短縮時間をお金の単位にあわすのにコンビニの昼間の平均時間給(一時間の値段を時給とする)からではどこへ行くにしてもアクアラインを使うと料金が約700から4000円高いという結果が出た。それでも一日あたり約10000から25000台の交通量がある。1時間縮める価値の値段をコンビニの時間給で比べたがもっと高い金額を払っても時間を縮めること、アクアライン自体の観光を目的にしている人が10000から25000いることがわかった。


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