演習8

文教工業でのある製品の製造に必要なチップは,年間平均10000個必要である.

調達係の青島君はオペレーションズ・リサーチの知識を生かすと在庫費用を減少させることができると知り,さっそく基礎データを集めることにした.

このチップは注文してから製造される特殊なものなので,注文から納入まで25日かかる.チップの1日の需要のばらつき(標準偏差)は5個である.部品の一回の発注費用は発注個数に関係なく40000円で,保管費は1個当たり年200円であった.

上司の室井さんの意向で,欠品の確率は5%以内にしなくてはならない.

以下の問いに答えよ.なお,1年は200日として換算しなさい.

(1) 在庫を管理する主な方法として「発注点法」と「定期発注法」が挙げられる.各々がどのような在庫管理法なのか違いを明確にして簡潔に解説しなさい.  
(2) 一回当たりの発注量をx個とおいたとき,チップの在庫に関する1年間の総費用を数式で表現しなさい.ここで,在庫に関する1年間の総費用とは,発注費と保管費の合計をさす.  
(3) 小問(2)で導出した数式を利用して,在庫に関する1年間の総費用を最小にする一回当たりの発注量(最適発注量)を求めよ.  
(4) 注文から納入までの25日間のチップの平均需要量とばらつき(標準偏差)を算出しなさい.  
(5) 発注点法でこのチップの在庫を管理したい.最適に在庫を管理するためには具体的には(必要な数値を含めて)どのように管理を行なえば良いか.簡潔に提案せよ.なお,必要ならば正規分布表を用いよ.  
(6)

チップの購入先である湘南電子から値引きの交渉があった.一回当たりの発注量が2100個未満の時は従来と同じ値段で販売するが,2100個以上2400個未満だったらチップ一個当たり25円引き,2400個以上の時はチップ一個当たり30円引きで販売するという.さて,この場合最適発注量はどのように設定すれば良いか.最適な案を提案せよ.

 

作成:根本俊男(文教大学情報学部経営情報学科)
nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp

平成11年度 シミュレーション 春学期期末試験 問題2より