2−3 加入と非加入の境界                 目次へ戻る
 加入と非加入の二つのグループで家族の賛否状況を見た際には、双方は明確に異なった様相を見せていた。しかし加入世帯の一八.五%(三九世帯)には反対者がいる。そこで反対者がいる加入世帯の賛否状況を見ると、平均賛成数は五六.六%、平均反対数は三九.二%である。表1の非加入世帯にかなり近い賛否状況にあることが分かる。
 そこでこの両者の違いを反対理由で見たのが図6である。双方で差が最も大きいのは、「1 加入費用や利用料が高い」である。加入世帯では五四%に過ぎないが、非加入世帯では八五%にも達している。非加入世帯ではコスト感が強いのである。二番目に差が大きいのは、「3 それほど見る人がいない」である。非加入世帯では四八%であるのに対して、加入世帯では一八%である。非加入世帯では「見たい」と言っても、結局はそれほど見ないのではないか、と言う意見が強く、希望理由に実質が伴っていないことを示している。三番目は「2 お金を払ってまでテレビを見なくていい」で、これは加入世帯の方が非加入世帯より大きい。結局傾向をまとめると、非加入世帯では「費用が高いし、それほど見る人がいない」であり、他方加入世帯では「見たい家族はいるが、お金を払ってまで見なくてもいい」と言うことである。加入世帯と非加入世帯の、加入に際しての実益の確実性の相違が現れている。この辺が加入非加入の分かれ目の一つと考えられる。


       図6 加入に消極的な理由

 調査では、加入世帯がYCVを知ってから加入するまでの期間を聞いている。この回答によると、一年以内に加入したのが半分、一年以上立ってから加入したのが半分となっている。この一年以上立って加入した世帯に、すぐに加入しなかった理由を聞くと、最も多いのは「1 必要そうでない」四一%、次いで「2 費用が高い」三三%となっている。傾向は、非加入世帯の消極的理由と同じ傾向である。

 他方、同じ1年以上たってから加入した世帯に、加入することになったきっかけを聞いている。その回答によると、「1 アンテナ買い換え」(二三%)、「2 番組内容を知って」(二〇%)、「3 衛星放送加入」(一八%)、「4 家族の希望」(一七%)などが上位にくる。いわば加入を先送りしているうちに、実益的な効用が見えてきて、それで加入に至ったと言うのが大方の姿である。

 このように決定に係わる積極的・消極的理由を見てくると、一年以上加入を先送りしながら加入に至った加入世帯と、非加入の検討世帯の差は大きいものとは見えない。非加入の検討世帯も、実益が見えてくれば加入に至る、という可能性を示していると思われる。 そして加入に至る実益の例が、アンテナ更新無用であり、番組内容の認知であり、また衛星放送加入や何らかの家族の要望となっているようである。


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