就職活動でのセールスポイント


 就職活動での相手企業は、学生が大学で何を学習してきたのかを気にするところと、気にしないところがある。気にするところは、大学の学習における受験生の学力成果や努力姿勢を見ようとするところである。気にしないのは就職後に頭脳労働への可能性が低いところである。

 社会調査は、後者の企業では有用性を発揮しにくいが、前者の企業では有用性を発揮する。大学で重点的に学習した「社会調査」や「調査」は一つの有力な素養であり、学生が自分をPRする武器となる。それは重点化した能力を持つことの堅実さと同時に、将来の様々な仕事の面で、役に立つ可能性は高いためである。(現に就職後に職場での調査について、OBが私にアドバイスを求めてくる例はよくある。)

 ところでもし就活の面接段階で、受験している業界に関する自分の調査データを持参・紹介することが出来れば、その報告効果は著しく高まる。実際に3年次に行った調査の結果を就活の面接で紹介し、試験官の関心を著しく惹き、内定が促進される先例がある。これは「調査」の能力とともに、学生の関心や問題の立て方、問題意識の持ち方が、学生の潜在的な能力を証明することになるからである。
 なおWebでの成果の公表は、このような局面で学生の活動を支援する意味合いもある。学生諸君はWebを指示することによって、就活の場で自分をPRすることが出来る。

 このようにして、調査は就職活動に役立つとしても、有用性はそれだけにはとどまらない。想像的・創造的過程で検証のアイデア・仮説を創出し、論理的過程を経て実際の検証に至るまでの方法論には、頭脳が情報を処理する様々な方法論が関与する。この種のトレーニングにも有用性を発揮する。

 社会調査士の資格は、上記の様々な点での資格者の能力を保証するものとして色々な役立ち具合を持つものであり、取得を勧めたい。早ければ4年次の初めに「社会調査士(見込み)」の証明を取得出来て就活を行える可能性が高い。しかしこの時点で「社会調査士(見込み)」の資格が無い場合でも、学生の調査体験とWebの公表は有効性を持つものである。

 人が経験・キャリアを積んで能力を拡大していくプロセスでは、T字形人間という言葉がでてくる。1つの深い強み(中央の縦棒)を持ち、それを軸に新たな能力を横に拡大していく(横棒 − の方向)ということである。「社会調査」はこのようなT字形人間の縦棒に該当させることが出来るものである。学生諸君の重点学習を勧めたい。


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