講義概要
研修１　「新教育課程を意識した中学校数学」

【ねらい】
　「確かな学力」の面から数学教育を考えるときに、現在中学校の教員研修が特に重要な役割を持つと考える。小・中の連携、中・高の連携をとってみても、また、ＰＩＳＡ、ＴＩＭＳＳ等の国際学力調査結果、今年実施された文部科学省の全国学力調査や各県・各地域の学力調査・意識調査結果、さらには、これから告示される次期教育課程の動向を見ても、この点は明らかである。
　本研修ではこうした点から、次の点を中心に中学校教学を対象にした研修を行っていく。 ① 小中連携の立場からの課題、② 中高連携の立場からの課題、③ 身の回りに起こる現実事象と数学との関連を明らかにしながら、これらを意識した指導の在り方を実践的に検討し、研究報告としてまとめる。

【内　容】
　研修は３期にわたる。１期（８月）は、「ＰＩＳＡ、ＴＩＭＳＳ調査、全国学力調査、各国の教育改革の動向、教育課程を巡る課題」など、と、「小から中へ、中から高への概念間、教材間の関わり」等のレクチャーがあり、その後、「小中の連携、中高の連携、現実事象との関わり」に関心を持つグループに分かれ、授業実践の形での指導展開を検討する。２期（８月から１１月）では、各授業実践者と講師との間で、適宜検討しながら授業実践を行う。３期（１１月）は、それらの実践報告を持ち寄って、課題を深め、研修報告作りを行う。

研修２　「理科実験を楽しくする中学校理科」

物理領域
「振動と音波の可視化」
【ねらい】
　中学校で初めて扱う「音」は身近な存在でありながら、その発生や伝達は、生徒にとってはイメージしにくい。そこで、生徒の興味・関心を高める参考として、物体の振動パターンの観察と音の波形の観測に関する実験等によって、物体の振動や音の伝達を視覚的にとらえ、より深い理解をはかるための研修を行う。また、小中高の連携や教材の工夫等について討論を行う。
【内　容】　
　身近な音に関する現象を理解するために、音の定常波の観察、音を発する物体の振動パターンの可視化、超音波による距離測定、音を検出した電気信号の波形の観測と分析等について講義、実験と演習を行う。これにより音の振動数と波長、物体の振動状態と音、音の振動数・音色と信号波形の関係について調べる。また、問題点を踏まえて教材の工夫や授業での展開について参加者で討論を行う。

物質領域
「身近な物質の性質を分子概念と結びつける」
【ねらい】
　小学校理科は視覚的な実験・観察中心であるが、中学校理科では原子・分子をもとに知識を関連づける必要がある。このギャップを少しでも減らし、学習の連携を強めることは大切な課題である。午前中は、身近な物質や現象を通して、分子の存在や形・大きさ等に関心が向くように、知識を組み替えてみる工夫について講義を行う。午後は、生徒が目的意識をもって科学的に探求活動を行う指導過程について、研修を深める。
【内　容】
　午前は、以下の講義と［小実験］を行う。三態［ドライアイスと液体窒素］、溶解［水和と溶解］、物質［液体磁石の合成］、分子の構造［安定な高分子及び軟らかい物質：分子模型］、大気環境［温暖化とCO２：赤外吸収測定、NOxの調査］。午後は、午前中の小実験を参考にすると共に、身の回りの物質や化学反応についての掲示方法や実験方法を工夫し、生徒の探求意欲が持続する指導過程を探る。

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