2001年 OR 中間試験 配点・結果及び講評

 

日程計画全般に関する知識をくまなく網羅した問題を作成しました.大きく分類すると,問題1の前半は日程計画の問題把握の能力を,後半は予想作業日程にばらつきのある場合の処理に関する質問です.問題2はCPMに関する基本的な質問.問題3は,応用力確認問題.グラフ論の言葉で,PERTが手法としてはどのようなことをやっているのかを聞いているだけ.言葉が違っただけで手が出ないのでは,本質を理解したとは思えません.

採点を通して感じたのは,試験全体を把握しないで,問題1から順に解いていき,時間切れで終ってしまった様子の解答が多いことです.ORでは時間など気にしないで問題に取り組み解決するのが大切なときが多いが,試験では時間内に解決することが求められている状況のはず.全体を把握しないで,がむしゃらに取り組むのはOR風に言えば無駄が多いのでは.実際,今回の問題構成では問題1と2は手間がかかり,問題3が一見はじめてみる単語が並ぶのでとっつきにくいが,日本語を読んでみるととても易しかったはず.

点数はともかく,これら問題へのアプローチの仕方は理解できているという人は日程計画の基礎は十分です.自信を持ってください.そうでない人は,しっかり復習しましょう.

 

問題1


(40点; 各小問5点×8問)

得点範囲 人数
0-9 1
10-19 18
20-29 23
30-40

18

平均点 23.8
最高点 40
最低点 0
満点 40
受験者数

60

作業リストは,講義の中で行った演習問題(施設移動の例題)のものをそっくり持ってきました(作業名や問題の舞台を変更しただけです).皆さんが課題で一度取り組んだ問題をベースにし,CPMの部分だけ新たに付け足しました.つまり,前半などは解答まで同じなのですから,できて当然の問題です.なのに….ここで半分の点数を取れなかった人は,日々の課題に取り組んでいるのでしょうか?ORには考えるトレーニングが必要です.特に,中学・高校・大学1年と,自分で考えることを長時間放棄してきた人.トレーニングは十分でしたか?自分の学習状況と学問に対する態度を再考してみませんか?
(1) 問題把握能力を試しています.冗長な先行作業の意味を捉えられれば簡単にチェックできるはず.表にない成功作業が出てくる解答もあり論外.
(2)   (1)のアローダイアグラムでの表現.(1)が間違えていても,(1)の先行リストに沿ったものが描かれていれば点数は出しました.
(3) 基礎問題.余裕時間を算出できない人もちらほら.レポート等でのトレーニングが足りないのでは.
(4) 基礎問題.(3)ができれば、自動的に解答できる.
(5) 3点見積もりの方法の確認.ほとんどの人ができていました.
(6) 正規分布の意味の確認.多くの人が理解してました.
(7) ここを理解していない人が多くいました.3点見積もり法のとても大切な部分です.復習しよう.
(8) (6)ができた人は,ここも同様にできるはず.

 

問題2


(35点; (1)と(5)が10点.他は各5点)

得点範囲 人数
0-9 6
10-19 20
20-29 20
30-35

14

平均点 20.5
最高点 40
最低点 34
満点

35 

受験者数

60

昨年度,一昨年に続いてPERT/CPMに関する総合問題で出題.アローダイアグラムは与えれており,かつ,二つに分離できるタイプの問題なので本質的に必要なカットも限定できる.CPMの実行はそう手間はかからないはず.実際,本質的に意味のある6つのカットは2,3回目の反復あたりで最小カットの候補にはならなくなりカットのコストを求める必要さえなくなる.CPMの手法を理解している人は(5)までは難なく短時間で回答ができたはずです.
(1) 単なるPERTの基礎問題.
(2) ガントチャートの問題.手間はかかるが,容易.ガントチャートと山積み表は違う点に注意.
(3) カットは定義から16通り存在する.ただ,本質的に意味があるのは6通り.6通りと答えるときは理由を付すべき.
(4) CPMに入る前の準備体操.ここができないのでは大問題.できなかった人は勉強しなおしましょう.
(5)  CPMの手法の理解を確かめる問題.一番最後のステップで再延長作業が出てきます.

 

 

問題3


(25点; 各5点×5問)

得点範囲 人数
0-9 32
10-19 21
20-25 7
平均点 7.9
最高点 25
最低点 0
満点

25

受験者数

60

グラフ論・ネットワーク計画(後半に勉強する内容)の観点から日程計画におけるPERTという手法はどのように解釈できるかを述べた問題.問題文から各用語の定義を理解さえすれば,PERTでの技そのものである事に容易に気付くはず.実際,講義の中でも演習問題の一部として時間を割いて開設しました.アローダイアグラムでのパスの意味や,何通りパスが存在するかを数える方法などを理解して聞いていたかな?
(1) トポロジカルオーダーの理解確認.絵を描くだけの手間.とても簡単.
(2) 一目瞭然.日本語の理解のみ.
(3) 講義中にパスが何本あるかの数え方を解説しました.本とかには,専門書でも,載っていない可能性がありますが,すぐに思いつく手法です.専門的には,ダイナミックプログラミング(DP)(3年の前期で学ぶ予定)の手法と同等といえます.
(4) 日本語理解の問題.できて当然.
(5)  クリティカルパスを求める問題.と気付けば簡単.

 

得点データ


得点範囲 人数
0-9 0
10-19 1
20-29 4
30-39 5
40-49 19
50-59 11
60-69 8
70-79 8
80-89 3
90-100 1
平均点 52.3
最高点 91
最低点 16
満点

100

受験者数

60



2001年5月27日作成:2001年5月25日試験実施  

中間試験問題

試験対象:主に経営情報学科2年
根本 俊男(情報学部経営情報学科)    nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp