2001年 生産管理論
中間試験 配点・結果及び講評
スケジューリング(問題1),アルゴリズムと計算量(問題3・問題4),在庫管理問題(問題2)の3つのテーマに関して,基本的な理解力を問う問題を作成しました.引っ掛け問題のようなトリッキーなものは排除し,講義の中で扱った話題の理解力を忠実に問う問題を作成したつもりです.特に,問題3・問題4は講義で触れたテーマをそのまま問題にしたものです.
採点を通して感じたのは,試験全体を把握しないで,問題1から順に解いていき,時間切れで終ってしまった様子の解答が多いことです.ORでは時間など気にしないで問題に取り組み解決するのが大切なときが多い
のですが,試験では時間内に解決することが求められている状況のはず.全体を把握しないで,がむしゃらに取り組むのはOR風に言えば無駄が多い
取り組み方をしていた人が多いかなと思いました.
点数の分布を見てもらえばわかりますが,わかっている人(70点以上),わかっていない人(50点以下)ではっきり分かれました.理解の度合いを問う問題としては,この2極化現象は,適切な問題を作成したことになります.わかっていない人のグループに入っている人は,いっそう努力しないと期末テストでの挽回は難しいでしょう.しっかり勉強に取り組んでください.
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問題1
(30点; (1)10点,(2)5点,(3)最適加工順の導出10点;総経過時間の導出5点)
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得点範囲 |
人数 |
0-9 |
1 |
10-19 |
3 |
20-29 |
29 |
30満点 |
24
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平均点 |
25.9 |
最高点 |
30 |
最低点 |
9 |
満点 |
30 |
受験者数 |
57 |
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スケジューリングの基本問題.講義を聞いて理解していれば,満点近くは当然取れるでしょう.実際,受験者の3分の1は満点でした.20点未満の人は何を学んでいたのでしょうか? |
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(1) |
ガントチャートは各工程ごとに書く.製品毎に書いた人はバツ.グラフを書く時は横軸が何か,縦軸が何かをしっかり明記するのが基本ルール.基本ですよ.き・ほ・ん. |
(2) |
ほぼ全員できていました. |
(3) |
ジョンソン法がこの問題に適用できる理由を明示していない解答は減点. |
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問題2
(40点; (1),(2)が5点.他は各10点)
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得点範囲 |
人数 |
0-9 |
9 |
10-19 |
7 |
20-29 |
9 |
30-39 |
31 |
40点満点 |
1
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平均点 |
26.4 |
最高点 |
40 |
最低点 |
2 |
満点 |
40
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受験者数 |
57 |
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公式の暗記ではなく,在庫管理の本質的な理解を試す問題.在庫モデルを構築する技術や,EOQの導出プロセスを理解していれば,とても解き易い問題.実際,わかっている人とわかっていない人がはっきり分かれた問題でもあります.30点に届かなかった人は,問題をモデル化して,問題解決の糸口を探るというORの基本を理解していない可能性が強いです.しっかり講義で学び,演習にも積極的に取り組んでください. |
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(1) |
単なるグラフを描く問題.さすがにこれができていない人はほとんどいませんでした. |
(2) |
在庫管理にかかるコストを算出する問題.講義に出ていなくても,日本語の文章を理解すれば容易に計算できる. |
(3) |
ここからが,問題の本番.まずは,EOQの導出.EOQの公式に当てはめて出していた人がいましたが,基本的にはそれでは出ません.モデルが違うのですから.相変わらず「公式を利用して…」という人がいましたが,もうやめましょうよ.中学生のドリル問題ではないのですから.問題をモデル化したものを数式で表したかどうかがポイントです. |
(4) |
新たな規制によりかかるコストのみを抽出すればよいはず.ずいぶん回り道をして出している人が見受けられました.苦労をしても同じなら,エネルギーを使わないで出しましょうよ. |
(5) |
規制にかかる50Kg超の場合の最小コストと,規制にかからない50Kg以下の場合の最小コストを各々出して,比較するのが,全体での最小コストを主張する基本的な流れのはず.この基本的な論理展開ができていない人が多く見受けられました.自分の主張が正しいといいたいなら,しっかりとした論理展開が必要なはず.他人と会話をするトレーニングが足りないのではないでしょうか. |
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問題3
(問題3か問題4どちらかを選択)
(30点; (4)以外は各5点,(4)は10点)
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得点範囲 |
人数 |
0-9 |
4 |
10-19 |
1 |
20-29 |
1 |
30点満点 |
1 |
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平均点 |
13.0 |
最高点 |
30 |
最低点 |
1 |
満点 |
30
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受験者数 |
7 |
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講義の演習問題をそのまま中間テスト用にアレンジしたもの.予習・復習で自分でしっかり取り組んでいればできるはず.問題4との選択だが,特にこちらが難しいわけではない. |
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(1) |
ORでもまったく同じことをやっている. |
(2) |
グラフをどのように表現するかで入力サイズは変化する.接続行列で表現すればO(nm)だし,隣接行列ならO(n2),リスト表現ならO(m+n).問題を表現するとはなんだったか思い出してほしい. |
(3) |
小さいほうから順に…ですから,もちろん工夫はあれですよね. |
(4) |
枝を小さい順に取る方法はヒープを用いればO(mlog2m)で可能なはず.入力サイズやほかの操作を後は確認すれば,最悪計算量はすぐでますよね. |
(5) |
講義で何度もやった計算時間を概算する問題.自分で取り組んでいた人はできたはず. |
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問題4
(問題3か問題4どちらかを選択)
(30点; (4)以外は各5点,(4)は10点)
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得点範囲 |
人数 |
0-9 |
6 |
10-19 |
35 |
20-29 |
6 |
30点満点 |
3 |
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平均点 |
14.1 |
最高点 |
30 |
最低点 |
5 |
満点 |
30
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受験者数 |
50 |
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問題3同様,講義で取り組んだTSPの問題そのものです.数値まで一緒です.講義中に自分でやった人にとっては簡単でしたよね. |
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(1) |
日本語の問題.ほぼできていました. |
(2) |
順列の問題.でも,数理的な知識が無くとも数えられます. |
(3) |
最短という根拠を示す問題.一番簡単な示し方は,可能性のあるすべてのパターンの中で一番短いから(総当り法)の考え方.根拠を示していない解答もちらほら.ほかの人を説得するって言う作業のトレーニングが少なすぎるのでは. |
(4) |
TSPはNP完全なので,基本的に総当り法的な方法(分枝限定法も含む)しか,最適解を導出する方法は現在のところ知られていないんですよね.その事実から考えれば,最悪計算量は多項式時間にはならないはず.講義でやりましたよね. |
(5) |
講義で何度もやった計算時間を概算する問題.自分で取り組んでいた人はできたはず.16箇所の場合でも大変時間がかかるはず. |
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得点データ
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得点範囲 |
人数 |
0-9 |
0 |
10-19 |
0 |
20-29 |
2 |
30-39 |
2 |
40-49 |
6 |
50-59 |
5 |
60-69 |
13 |
70-79 |
18 |
80-89 |
5 |
90-99 |
6 |
100点満点 |
0 |
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平均点 |
66.3 |
最高点 |
97 |
最低点 |
25 |
満点 |
100
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受験者数 |
57 |
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2001年11月6日作成:2001年11月6日試験実施 |
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中間試験問題 |
試験対象:主に経営情報学科2年 |
根本 俊男(情報学部経営情報学科) nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp |