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はしがき

 本報告書は、文部省科学研究費補助金・基盤(C)の補助金を受けて、平成9年度から10年度の2年間にわたり実施してきた「テレビ放送メディアの移行と選択要因の研究」の成果をとりまとめたものである。

 従来の地上波テレビ、多チャンネル・ケーブルテレビ(CATV)、直接衛星(BS)放送、通信衛星(CS)放送に加え、今秋には多チャンネルのディジタルCS放送が開業し、テレビ放送の多チャンネル化・多メディア化に向けた本格的な動きが活発化している。この様な環境下で利用者は、従来の公共重視による画一性の強い規制市場とは異なり、自分の要望に最もフィットするメディアへの移行・選択が実現し、その結果、視聴者の特性に応じた多様なテレビ放送メディアの住み分け領域が形成されて行くと思われる。その際、この様な住み分けがどの様に進展するか、視聴者のメディア選択を左右する要因と選択メカニズムはどの様になるか、これらの点については未解明な点が多い。

 他方、多チャンネル化の進展は放送産業におけるソフトとハード(伝送手段としてのメディア)の分離を強め、ハードでは電気通信サービスへの依存が強まり、これが放送と通信の融合を進めると見られる。従って放送におけるメディア選択の影響は、ひとり放送のみにとどまらず、今後のいわばマルチメディア型と言われる情報サービス・情報利用の発展にまで影響を与える可能性が高い。この様に見てくると、放送におけるメディアの移行と選択のメカニズムに関する知見は、関連する範囲が広く、かつ産業面でも重要な役割を果たす可能性が高い。

 この様な問題背景の元に、テレビ放送メディアの移行と選択を左右する要因を、文献調査と利用者調査の両面から研究した。まだ残された課題は多いが、この成果が今後の研究の進展に役立てば、幸いである。

 なお本研究においては、ケーブルテレビの利用者の市民の方々をはじめ、各方面から様々な協力を頂いた。ここに改めて感謝の意を表します。

1999年8月
研究代表者 八ツ橋 武明


研究組織

研究代表者:八ツ橋 武明 (文教大学情報学部教授)
 
研究経費: 平成9年度
 2,400千円
  平成10年度
 200千円
 
 2,600千円


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