文教大学女子短期大学部同窓会「芙蓉会」|コラム:梅


コラム:梅

艶やかな紅梅に心弾む季節になりました。
昔から「梅はその日の難逃れ」ともいわれてきました、「梅」についてです。
梅の原産地は中国で弥生時代に朝鮮半島を経由して、または遣唐使が日本に持ち込んだともいわれています。正確な渡来時代はわかっていませんが、奈良時代にはすでに栽培されて100首を超える歌が「万葉集」に詠まれています。

早春に、葉に先立って5枚の花弁のある花を咲かせます。花の色は白、淡紅、紅色などです。また、鑑賞の価値の高い「花ウメ」と薬や食品加工用の良質な実をつける「実ウメ」に分けられます。
食用としては梅酒や梅干し、梅酢、梅ジャム、甘露梅やのし梅などお菓子や料理にも使われています。梅の特徴は強い酸味です。主成分のクエン酸などを含む有機酸が疲労物質である乳酸を代謝分解して、疲労回復効果が期待できるようです。
また梅には強い殺菌作用があり、腐敗防止や食中毒の予防にも役立ちます。

中国では紀元前から酸味料として使われて、塩とともに最古の調味料と言われています。
日本でも「塩梅(あんばい)」といわれ、もともとは塩と梅の味付けがうまくいったことを示し、良い味加減を意味する言葉になっています。

中国の『三国志』に出くる逸話では、軍事途中にのどが乾いた兵士たちに「前に梅林があるぞ」と言うと、酸っぱいウメを想像した兵士たちの口の中にすぐ唾液が流れ、のどの渇きがなくなったという話です。

栄養科13回生 和田 俊子