1.研究の概要
1.1 研究の背景と目的近年、映画の話題が豊富だ。宮崎駿監督のアニメーション映画「千と千尋の神隠し」はロングランヒットとなり、「第52回ベルリン国際映画祭」にて金熊賞を受賞した。「ハリーポッターと賢者の石」では「ポッタリアン現象」が巻き起こり、「Lord of The Rings」はJ.R.R.トールキン原作の「指輪物語」を見事に映画化したと評判になった。
若者向けのいくつかの雑誌には映画情報から上映時刻表まで掲載され、テレビでは作品紹介や批評といったものまで放送している。いまや新作映画が発表されると競うように各メディアが報じ、先々で話題に上るようになった。友人との共通の話題として映画の話をする人もいるだろう。一方、作品と観客を結ぶ劇場も少し形を変え始めた。シネマコンプレックスという新しい形態の映画館の登場で映画観賞環境が飛躍的に改善され始めている。減少傾向にあった映画館数は、1993年に日本で第1号のシネマコンプレックスである「ワーナーマイカルシネマズ海老名」が開業するやいなや急成長を遂げ、その数は全スクリーン数の5割強に達する勢いで、まさにシネコン開業ラッシュの状況だ。
日本映画製作者連盟発表資料によると、2001年度の映画館入場人員は1億6328万人で、前年比120.6%を記録した。興行収入も2001億5400万で前年比117.1%と好調だ。数字が示すとおり、映画館に足を運ぶ人が増えていることは明白だ。
自分自身、映画の諸情報を得るのに苦労したことはほぼ皆無であり、今年も数回いくつかの映画館を訪れたが、シネマコンプレックスの利便性にも満足であった。
だとすれば、他の人達にも上記に示した状況変化が少なからず影響していると思われる。そこで、これら映画を取り巻く状況が鑑賞者にどう受け入れられているのかを検証してみることにした。なお、補足事項として「今後の映画需要と鑑賞の変化」を付け加えた。
1.2 調査の方法と内容今回の調査は、無作為に抽出した大学1年〜4年の学生を対象に平成14年11月に実施した。調査票の配布は手渡しで、93の有効回答を得た。調査の概要は以下のとおりである。
調査の時期・・・平成14年11月
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