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3.2 「自分の著作権」と「他人の著作権」
(1)「自分の著作権」と「他人の著作権」の捉え方の違い
次に、同じ「著作権」でも、立場によって受け止め方が変わってくるのではないかと考えた。自分の著作物(文章やデザイン、曲など)が無断使用された場合と、他人の著作物が無断使用されていた場合の著作権の受け止め方やそのことに対して起こす行動の違いをみていく。
まず、著作権を侵害している(と思われる)サイトを見かけたとき、どのような行動を取ったかを図3-2-1に示す。殆どが侵害サイトだと気がついても、そのまま放置するという回答である。
また、「見たことがない」という回答も23%ある。これは、著作権の侵害という行為の内容について知らないため、実際は見かけていてもそれを著作権の侵害と受け止めていないというケースもあると考えられる。
次に、自分の著作物が無断で使用された場合、どのような印象を持つかという設問の結果を図3-2-2に示す。
ほとんどは営利目的は不愉快であると感じていたり、全ての場合で無断使用は不愉快だと感じていたりするという結果が出た。自分の著作権が侵害されることに対して、特に気にしていないとか、使用されることは嬉しいという回答は約7分の1ほどであった。
図3-2-3は自分の著作物が無断で使用された場合の対応(行動)である。何かしらの行動を起こすという回答が一番多いが、何もしないで放置するという回答も多い。
これをみると、ただ単に「他人の著作物であるから無断で使用されていてもかまわないが、自分のものであれば不快感を感じる」という結論ではないようだ。自分の著作物が無断で使用されることに不快感を感じる人とそうでない人がいるのではないかと考えられる。
図3-2-1から図3-2-3までを見ると、他人の著作権が侵害されることに関しては無関心である、または、侵害だと気がついていても特に行動を起こさないといった傾向は圧倒的多数にみられるといえる。しかし、自分の著作物が無断で使用されることについては、不愉快に感じている、また、使用を中止させたいといった自分の実際の行動とは逆の印象を持っている人と、自分の著作物であっても他人の著作物であっても無断使用されることについて特に気にせず、そのまま放っておくという人の2つのタイプがあるのではないかと考えられる。
(2)ホームページの開設と著作権の考え方
(1)で、他人の著作権の無断使用に関しては概ね気にしない・放置しておくという回答が多く、自分の著作権の無断使用に関しては敏感になる人とそうでない人がいることがあると分かった。そこで、次にホームページを開設している場合、著作権に対する考え方は違いがあるのかという点に注目した。ホームページを開設するということは、著作権に関しても神経を使う機会が増えるのではないだろうかと考えたためである。
ここでは、ホームページを作成・公開している人の著作権に対する意識はどのようなものであるかを見てみる。
まず、ホームページを作成・公開している人の割合を図3-2-4に示す。一般的にホームページの所有率は全体の10%前後であるが、今回の調査では所有者は35%と高い割合であった。
次に、ホームページ所有者と非所有者の、自分の著作権に対する意識についてクロス集計を行った。その結果を図3-2-5に示す。
図3-2-5をみてみると、ホームページを所有していない人は自分の著作物が無断で使用されていた場合、特に気にしていなかったり、気にしても営利目的の場合だけだったりすると言う結果になっている。しかし、ホームページ所有者の場合は、圧倒的に全ての場合で不愉快だと感じる割合が高い。
このことから、ホームページを作成・公開している人は自分の著作権が無断で使用されることに対して敏感になっていると言える。
しかし、図3-2-1から分かるように、ホームページ所有者が著作権に対して敏感になっていたとしても、それは自分の著作権に対する部分が大きく、「他人の著作権が侵害される」と言うことに対しては関心が低いと言える。
これらのことから、他人の著作権が侵害されていた場合や他人が著作権を侵害していた場合、それを発見したとしても放置するという傾向にあるといえる。(図3-2-1)
しかし、自分の著作物が無断使用された場合は、不愉快に感じ、使用を中止させるなどの行動をとると考える人が多い。(図3-2-2、図3-2-3)
また、特にホームページを所有している人の場合、自分の著作物が無断使用されることについて敏感になっているといえる。(図3-2-5)
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