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3.3著作権の将来に対する要望
現在の著作権に関する大きな問題の一つに、音楽著作権の侵害が挙げられる。友人等から借りる、またはレンタルしたCDをパソコンで読み込みCD-Rなどに焼き、購入するのと変わらないクオリティのものをほとんど無料に近い状態で手に入れる。ネット上では、MP3を使用し楽曲を公開したり、それをダウンロードしたりするなどの行為がある。
また、調査対象層の学生には、音楽というジャンルは身近なものだと考えられるので、音楽著作権に関する調査を行った。
インターネットからの音楽ダウンロードについて、どのように制度が変われば問題解決に繋がると思うかという設問の結果を図3-3-1に示す。
図3-3-1をみると、監視体制を強化して、侵害しているサイトや個人を摘発するという回答は12.0%と少なくなっている。何らかの形で規制を緩和した方が良いという考え方が多いようである。特に、著作者が使用を認めれば、許可なしで使用できるようにすれば良いのではないかという「規制をゆるめる」意見が約56%に達している。
しかし、一方では制度が変わっても実態は変わらないと思うという回答も22.2%と高い割合になっている。
これらのことから、音楽著作権の将来に対する考え方は、監視体制を強化するなどの取り締まりの体制を強化するのではなく、著作権の範囲が少しでも緩和されることを希望する割合が高いといえる。
特に、自分でサイトを持っていたりする場合、イメージしたものと近い著作物を使用したい・使用できたらと思うことがある。例えば、歌詞や文章などが一部分だけでも使用できれば上手く言いたいことがまとめられるのに、と思うことが多々あったりする。
また、「他の人々が土台にしたり共有したりするのに使えるクリエイティブな作品の幅を広げるための活動」も始まっている。これは、アメリカで5〜6年前から始まった「クリエイティブ・コモンズ」という考え方である。まだ準備段階であるが、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンがこの考え方・ライセンスを日本でも普及させるための活動を行っている。
これらのことから、著作権が将来も現在の状態で保たれるということは難しいのではないかと考えられる。
調査の結果でも、過半数が著作権の規制をゆるめた方が良いという意見を持っている。また、まだ始まったばかりではあるが、著作者が自由に利用できるようにするためのクリエイティブ・コモンズの活動もある。
もちろん、安易に規制を緩和すれば良いというものではない。しかし、過半数が規制をゆるめることを希望しており、クリエイティブ・コモンズを始めとして様々な活動が始まっている現状であることを考えると、著作権の制度・内容を見直すべき時期にきているのではないかと考える。
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