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4.まとめと今後の課題
 

 今回の調査では、著作権の「認知」と「理解」には差が生じていた。著作権をどのくらい知っているのかという設問に関しては、何らかの形で知っているという回答が97.2%とほとんどを占めた。しかし、調査票に著作権侵害の行為と侵害でない行為の両方をランダムに書き、その中から「著作権侵害にあたると思うもの」を選んでもらうという方法で著作権の内容をどのくらい知っているのか調査した「著作権テスト」では全問正解者は5.6%と少なかった。さらに、著作権テストでは、分かり難い項目での曖昧さが目立った。現在の著作権の理解度は低いものだといえる。また、現在の状態では、普段の学習や興味・関心によって著作権に対する理解度に差が生じている。
 
 また、著作権について詳しく知っているという回答をした人は、TV・新聞等から情報を得る場合も多いが、それと並行して掲示板サイトの議論から情報を得ている場合が多かった。この回答の割合は、著作権に対する知識(知っている度合い)が下がるのと比例して低くなっており、掲示板サイトでは深く踏みこんで議論されているのではないかと考えられる。

 著作権の受け止め方にも色々な面で違いがあった。まず、他人の著作権に関する意識は低いものであった。著作権が侵害されている、または、著作権を侵害していると気がついてもそのままそのサイトを放置したと回答する割合が多かった。
 
 しかし、自分の著作物が無断で使用された場合の印象や対応は2つのタイプに分かれる結果になった。
基本的には、自分の著作物が無断使用された場合の印象は、程度の差はあるが不愉快に思う割合が高い。ところが、自分の著作物が無断で使用された場合の対応は、使用を中止させるなどの行動を起こすという回答と、他人の著作権が無断で使用されていた場合と同じようにそのまま放置するという回答があった。

 そして、その2つのタイプの違いは、ホームページを所有しているか・所有していないかでも現れた。ホームページ所有者の方が非所有者に比べ、自分の著作物が無断使用されることに関して敏感であるという結果が出た。

 音楽著作権の将来については、規制や監視体制を強化し、著作権侵害をしているサイトや個人を摘発するという回答は少なく、今までよりも規制を緩和していく方が良いのではないかという結果が出た。また、現状を知っている場合、どのように制度が改正されていったとしても、改善されることは難しいのではないかという回答も多かった。

 これらのことから、著作権の受け止め方は一概に言えない面もある。メディアやパソコンに関する学習をしていたり、ホームページを所有していたりすると、著作権に対して敏感に受け止めている場合が多い。しかし、そのような一部の人を除くと、著作権という名称を知っていたとしても、実際に著作権が侵害する・される場面に出会った場合にもそれを侵害だと気がつかないことが多いのではないだろうか。

 著作権は誰でも注意をしなければ侵害をする・されるという事態に陥ってしまうものだけに、電車の小さな車内広告や、見る側が自らアクションを起こしアクセスしないと見ることができないホームページでの告知だけでなく、もっと授業などの学習で触れていくなどして、理解を高めていかなければならないのではないかと考える。

 また、著作権の今後に対して、規制を厳しくするべきという回答が少なかったことから、著作権そのものも時代や現在の状況に合わせて変化していかなくてはいけない部分もあるのではないかと考える。

最後に、今回の調査で回答に協力を頂いた文教大学の学生の皆さんに謝意を表します。




参考文献
・著作権データベース(http://www.cric.or.jp/db/dbfront.html)
・SAVE OUR MUSIC(http://www.sme.co.jp/savemusic/)
・Copyright!著作権侵害の危機管理(http://www2.e-net.or.jp/~maasa/)
・Netlaw(http://www.netlaw.co.jp/)
・著作権のひろば(http://www.cozylaw.com/copy.html)
・A nous,la Liberte!(http://www.kab.com/liberte/)
・クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(http://www.creativecommons.jp/)


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