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第4章 まとめ

携帯電話"夢"産業論

 カメラ機能、JAVAアプリ機能を始めとする多機能。現在の携帯電話は、性能は違えど「多機能携帯電話」と言えない機種の方が少ないくらいだ。携帯電話を買い換える際、通話やメール機能の充実を重要視するという声は約2割にとどまり、多機能部分−今回の調査では得にカメラ機能−を欲する人は全体の半数を超えていた。高性能新機種が発売したからといって意気込んで買い換える人は少ないものの、今まで携帯電話業界が挙って多機能・高性能化に勤しんでいた意味は証明されたのだ。実際にそれが使用されているかという話になるとまた別の話であり、カメラ機能にしてもアプリ機能にしても、携帯電話の寿命(=買い替え周期)が1〜2年なのに対し、多機能使用者の約半数が2ヶ月以内というあまりにも短い時間で飽きてしまうという結果が出た。

 熱しやすく冷めやすい、そんな若者が多く存在することが今回の調査で明らかになった。そして、携帯電話会社・機種メーカー各社はそんなユーザーをターゲットにした新機種を我先にと開発している。ただ、皆が皆その新機種に飛びつくわけではない。以前と比べて安くなってきたとはいえ、機種の値段は気になる機種が発売されるごとに買い換えられるほど安価ではない。特に新規加入ではなく、携帯電話会社は同じ会社を利用し機種のみ交換する場合は尚更である。ただ、電池の寿命や故障などやむを得ない事情により1〜2年のうちに買い換えることがほとんどだが、技術進歩によって数年前の機種では現在使用するのに不便になることも無視できない。

 買うときや買った直後は持て囃されているのに早いうちに飽きられてしまう多機能。多機能とはまるで子供の玩具のようだ。携帯電話の広告やCMを見ていてもそう感じる。広告やCMは通信機器の性能を売り出しているのではなく、多機能部分の高性能さ・デザインの綺麗さを前面に出しているものがほとんどだ。携帯電話産業とは、通信機器を売るのが仕事なのではなく、夢を形にして売るのが仕事なのである。

 

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