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第3章 まとめと今後の課題

(1)ストリーミング配信とインターネット
 

 当初より、インターネット利用頻度は高いと予想していたが、「一日に数回」利用していると答えた人が20.5%もいたことは、その予想を越えるものであった。
また、ストリーミング配信を利用したことがあると答えた人が61.5%であったことは、嬉しい誤算である。

 これら2つのクロス集計結果からも、やはりインターネットの利用頻度が高いほど、ストリーミング配信を利用したことのある人が多いことがわかった。これは、インターネットを利用している際に、何らかの形で、ストリーミング配信に関する情報を得ているからだと思われる。

 ストリーミング配信利用頻度では、「週に数回」と答えた人が利用者の26.4%もおり、予想以上の結果であった。全体としても、利用頻度は高いという傾向が出ており、インターネットをする際、ついでにストリーミング配信もするという人が多いと思われる。

 閲覧コンテンツ時間においては、「15秒以上1分未満」や「1分以上5分未満」など、比較的短時間で見られるコンテンツの人気が高かった。これは、コンテンツのジャンルとの関連が高いようである。


(2)ストリーミング配信の利便性
 

 ストリーミング配信を利用した理由では、「見たいコンテンツがあった」が58.3%で最も多く、あらかじめ目的を持って利用した人が多いことがわかる。

 閲覧したことのあるコンテンツでは、「楽曲試聴」や「映画の予告」をはじめとした、セールスプロモーション的なコンテンツの人気が高かった。
一方、今後閲覧してみたいコンテンツでは、「ショートムービー」や「ライブ映像」など、純粋に楽しむことを目的とした、独自的な価値を持つコンテンツに人気が集まった。

 また、利用頻度によって、若干ではあるが、閲覧したことのあるコンテンツも変わってくることがわかった。

以上のことより、今後は、更なる独自的な価値を持ったコンテンツ、特に音楽・映画関連に力を入れる必要がありそうだ。
その中でも、「ショートムービー」、「インターネットドラマ」、「ライブ映像」、「プロモーションビデオ」、「長編映画」に重点をおけば、平均的なストリーミング配信閲覧時間も、増えるのではないだろうか。
 

(3)ストリーミング配信の広告機能
 
 ストリーミング配信の利用がきっかけで、CD購入、劇場での映画鑑賞をしたことがあると答えた人は、ストリーミング配信の利用頻度が高い人ほどに多かった。このため、ストリーミング配信に、CD購入や映画鑑賞を促進する効果があると言うことができる。
 また、興味を持ったことはあるという人も多く、ストリーミング配信が、今現在気になっているものに興味を抱いたきっかけの一つになっていると、断言できるだろう。

 インターネット限定CMにおいても、知っていると答えた人が多く、テレビCMの影響が高いと思われる。実際に閲覧した人の多くが「やや面白い」と答えていることからも、今後このようなCM形態が増加するかもしれない。

 以上のことより、今後は、ストリーミング配信の利用で興味を持った人を、いかにして購買、劇場での鑑賞まで持っていくかが興味ある検討課題になりうる。


(4)ストリーミング配信満足度
 

 現段階でのストリーミング配信満足度は、あまり高くないという結果となった。これは、ストリーミング配信利用者の満足度と利用理由が、必ずしも一致していないからであると思われる。

 また、閲覧したことのあるコンテンツ別の満足度においても、満足できるコンテンツとできないコンテンツで、かなりの差があることがわかった。

 ここでは表記していないが、ストリーミング配信を利用しない理由において、「接続状況が悪い」、「画面が小さくて見にくい」、「課金が心配」など、ハード面での不満を挙げる人も少なくなかった。

 以上のことより、新規利用者の獲得、及び、リピーターの増加を図るためにも、ハード(対応プレーヤー、配信帯域)、ソフト(各種コンテンツ)両方の、更なる向上が不可欠であると言える。
 
 
 

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