戻る


3.2 利用用途

(1) 利用変化
 

 着メロをダウンロードし始めた頃と現在を比較してもらい、利用変化について質問した。いくつか項目を挙げ、それぞれ「増えた」「減った」「変わらない」の選択肢の中で選んでもらった。その結果が図3-2-1である。

 

 注目すべき点は、『着信メロディを自分で聞いて楽しむ』ことに対して45.5%、約半数が「増えた」と答えていることだ。しかし、『着信音変更頻度』については「減った」と答えた人の方が「増えた」より多い。つまり着信音として聞いているのではなく、聞こうと意図的にしているのである。利用の仕方がCDなどと同じだ。
 本来の呼び出し音としての機能は薄れてきており、“聴くための音”として着メロは変化している。
 

(2) 利用度合と性格

 図3-2-1のアクセス数データによると、アクセス数が増えたのは30.7%(31人)、変わらないのが41.6%(42人)、減ったのが41.6%(27人)である。これらアクセス頻度別のグループと人の性格がどのように関係しているのかを調べた。

 質問では、“新しいもの好き”か否かを「1.そう思う」「2.少しそう思う」「3.どちらとも言えない」「4.あまりそう思わない」「5.思わない」の5段階で聞いた。その回答の選択肢番号の平均値をアクセス頻度グループ別に求め、図3-2-2に示した。他の性格項目「明るい性格」「好奇心旺盛」などについても同様に集計した。


 アクセス数増加のグループでは、それぞれの平均値が「新しいもの好き」が2.13、「明るい性格」2.24、「好奇心旺盛」2.35と、活動的で探求心に富んでいる傾向が高いのが特徴だ。更に「新しいもの好き」「ミーハー」「流行に敏感」に関しては、増加・減少グループ間の差が大きく、その性格がアクセス数の変化に影響していることがわかる。

 3つの性格の共通点は自ら情報を取り入れようと積極性に富んでいることだ。変化のめまぐるしい着メロサイトにも新鮮で旬な情報を求めており、着メロをも上手く利用している。
 
 

図3-2-1の着信音変更頻度のデータをもとに、変更頻度別のグループと人の性格がどのように関係しているのかを調べた。
 性格の程度は先程の図3-2-2と同様に、グループを変えて性格の平均値を求めた。その結果が図3-2-3である。

  
 増えたグループの平均値が「新しいもの好き」は2.05、「淋しがりや」は2.21だった。減ったグループと比較するとその差は大きく、性格が変更頻度の変化に影響している。また、「内向的」もグループ間の差が大きく、同じことがいえる。

 アクセス数の変化(図3-2-2)では、「新しいもの好き」や「流行に敏感」など活動的な性格が大きく関係していたが、変更頻度では主に「淋しがりや」や「内向的」のような孤独的な性格が深く影響している。

 自分の世界に閉じこもりがちな人は、着メロを変えることで単調な生活に変化を与え、その真新しさを楽しんでいる。現状打破の気持ちも否定できない。
 

(3) 新しい利用の仕方

 音質の向上や和音数の増加により、着メロを『聴くもの』として利用している人が増えていた。実際にそのような経験の有無を尋ねたところ、「経験あり」が84.1%「経験なし」が15.8%という明確な結果が得られた(図3-2-4)。その主な理由としては「暇つぶし」、「和むから」、「気分転換」が挙げられた。
 
 

  次に経験の有無と性格の関係性を調べた。顕著な結果が得られた代表的なものが図3-2-5・3-2-6である。


 

 経験ありの中で「内向的だ」と答えた人は33.3%で、その数は経験なしに比べると約5倍であった(図3-2-5)。「淋しがりや」に関しても、経験ありの人は52,4%がそうだと答えている。
着メロを聞いて楽しんだことのある人は、「内向的」、「淋しがりや」の傾向にあり、全体的にネガティブなイメージである。

 しかし、携帯電話という小さな機械に耳を傾けている姿を恥じ、こんなことをしているのは自分だけかも知れないとの思い込みの可能性も否めない。実際には、多くの人がそのような事をしており(図3-2-4)、この事実を知れば結果にも多少の変化が現れるはずだ。




戻る           次へ