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3・3 着メロの多面性

1) 自分指向型と他人指向型

 今度は逆に、ダウンロードした着メロを自ら人に聞かせたことがあるか調べた。(図3-3-1)その経験の有無別にそれぞれを『他人指向型』、『自分指向型』と定義付け、下に記す。
 
他人指向型・・・着メロを自分だけでなく、他の人にも進んで聞かせる人。
自分指向型・・・着メロを自分だけで楽しむ人。着メロを意図的に聞かせたことのない人。


 その差はあまり大きくないが、57.4%と6割近くは着メロを人に聞かせた経験がある。つまり他人指向型であることがわかった(図3-3-1)。その主な理由の上位が「話のネタにするため」50.8%「一緒に楽しみたいから」47.5%だった。その他も5.1%おり、その中には「カラオケのようにして一緒に唄うため」と答えた人もいた。着メロは時間を共有するためにも活用されており、利用用途が非常に幅広いことが実証された。理由もなく聞かせる人は5.1%だけで、皆、何かしら理由があって聞かせていた。
 



(2) 着メロとコミュニケーション

 他人指向型では75.4%の人が着メロをコミュニケーション材料として「役立っている」と答えた。一方、自分指向型では66.7%が「役立っていない」と答えていた。コミュニケーション材料としての評価が、双方で逆転しているほど、その差は歴然だ。

 自分指向型は着メロを周囲に聞かせたことがないため、コミュニケーション材料にはなりにくい。
 
 


 

 アクセス頻度が週3回以上の人は100%が役立っていると答えた。以下、「役立っている」と答えた人は、週1〜2回が57.9%、月数回が60%、数ヶ月に一回が38.5%であった。

 アクセス頻度が盛んな人ほど、着メロをコミュニケーション材料として役立てている傾向にあり、 着メロとの接触頻度とコミュにケ?ション材料としての役立ち具合は比例している。
 
 

(3) 指向型による性質の違い

 図3-3-1の結果を踏まえ、指向型別のグループと人の性格がどう関係しているのかを調べた。

 性格の程度は図3-2-2・3-2-3と同様に、その回答の選択肢番号の平均値を指向型グループ別に求め、図3-3-5に示した。

 「ミーハー」は他人指向型の平均値2.54に対して自分指向型が3.07とグループの差が大きい。また「淋しがりや」も他人指向型2.49に対して自分指向型は2.83と比較的グループ間に差があり、その性格が、指向型の形成に関係していると言える。」

 「淋しがりや」は着メロを聞かせ、喜んでもらうこと空虚な気持ちを満たしている。そのため、受け入れられる期待のあるものだけを人に聞かせていると言える。他者からの承認を求める気持ちが顕著に表れている証拠である。
 
 

 図3-3-6は指向型別に周囲の着メロについて尋ねた結果である。

 他人指向型では、約半数が「気になる」と答えた。対して自分指向型で「気になる」と答えた人は20.9%だけであった。自分指向型では79.1%と圧倒的な数の人が「気にならない」と答えており、他人指向型の「気にならない」の比率に30%近く差をつけた。

 やはり、人に聞かせる人ほど、他人の着メロも気にしている。“人のも聞きたいから自分のも聞かせる”という気持ちの表れであろう。



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