2.3 サッカー日本代表監督に対する現状意識
(1)ジーコ監督に対する現状意識
ここでは、現日本代表監督である、ジーコ監督に対する意識を見てみる。まず、ジーコ監督就任後の日本代表試合の視聴頻度を集計した結果を図2-3-1に示す。「よく見る」、「時々見る」という回答は合わせて約62%となっていて、6割程度の人が見ている。
次に、ジーコ監督就任後の日本代表試合の視聴変化を集計した結果を図2-3-2に示す。「増えた」、「やや増えた」をあわせると約15%、「減った」、「やや減った」をあわせると約22%となっており、減っている方が多い結果となった。
次に、ジーコ監督の最も良いところは何だと思うかを集計した結果を図2-3-3に示す。最も多い回答は「世界的な知名度」の約23%だった。
次に、ジーコ監督の最も悪いところは何だと思うかを集計した結果を図2-3-4に示す。最も多い回答は「選手起用が下手」の約15%だった。
次に、ジーコ監督が日本代表監督を務めることの賛否を集計した結果を図2-3-5に示す。「賛成」は約27%、「反対」は約24%となっており、賛否はかなり拮抗した結果となった。
次に、Jリーグと海外リーグのどちらが好きかとジーコ監督賛否の関係を図2-3-6に示す。「Jリーグ」が好きでジーコ監督が日本代表監督を務めることに「賛成」している人は19%、「反対」している人は81%となっている。「海外リーグ」が好きでジーコ監督が日本代表監督を務めることに「賛成」している人は約79%、「反対」している人は約21%となっている。
Jリーグが好きな人は反対していて、海外リーグが好きな人は賛成しているという結果となった。
次に、なぜJリーグ派がジーコ監督に反対しており、海外リーグ派が賛成しているのかを見出すために、Jリーグと海外リーグのどちらが好きかとジーコ監督の長所の関係を図2-3-7、Jリーグと海外リーグのどちらが好きかとジーコ監督の長所の関係を図2-3-8に示す。
まず、Jリーグと海外リーグのどちらが好きかとジーコ監督の長所の関係を図2-3-7に示す。Jリーグ派・海外リーグ派の両方とも「世界的な知名度」が一番の長所と思っている。Jリーグ派が二番目の長所と思っているのは、「選手にまかせる戦術」だったのに対し、海外リーグ派は「監督としての雰囲気」だった。
次に、Jリーグと海外リーグのどちらが好きかとジーコ監督の短所の関係を図2-3-8に示す。Jリーグ派・海外リーグ派の両方とも「選手起用が下手」が一番の短所と思っている。Jリーグ派が二番目の短所と思っているのは、「選手にまかせる戦術」だった。
海外リーグ派は、ジーコ監督の監督としての力量ではなく、知名度や雰囲気といったことでジーコ監督に賛成しているようである。Jリーグ派は、選手起用や戦術を短所と思っているが、戦術に関しては長所と考えている人もおり、ジーコ監督に反対している明確な理由はわからない。
次に、ジーコ監督賛否別のジーコジャパンの強さに対する意識の関係を図2-3-9、図2-3-10、図2-3-11に示す。
まず、図2-3-9では、ジーコ監督就任以前より日本代表は強くなったかという設問に対し、「賛成」の人は「そう思う」、「ややそう思う」合わせて約69%となっており、賛成している人は強くなったと感じている。「反対」の人は「あまりそう思わない」、「全くそう思わない」合わせて100%となっており、強くなったとは全く思っていない。
次に、図2-3-10で、ジーコ監督ならW杯に行けるかという設問に対し、「賛成」の人は「そう思う」、「ややそう思う」合わせて約84%となっており、賛成している人はW杯に行けると感じている。「反対」の人は「そう思う」、「ややそう思う」合わせて約48%、「あまりそう思わない」、「全くそう思わない」合わせて約52%となっており、行けると思っている人とそうでない人ともに5割程度となった。
次に、図2-3-11で、ジーコ監督ならW杯で前大会より上に行けるかという設問に対し、「賛成」の人は「そう思う」、「ややそう思う」合わせて約55%、「あまりそう思わない」、「全くそう思わない」合わせて約45%となった。「反対」の人は「あまりそう思わない」、「全くそう思わない」合わせて100%となっており、前大会より上に行けるとは全く思っていないという結果となった。
この3つから「賛成」している人は、日本代表は強くなっていると感じており、W杯にも行けると思っている。しかし、前大会より上に行けるかは、行ける、行けないに差が少ししかなく、やや上に行けると感じている人が多い。
「反対」している人は、日本代表は強くなったとは思っていない。しかし、W杯には行けると思っている人が半数くらいいる。だが、前大会より上に行けると思っている人はいないという結果となった。反対派はジーコ監督に対する信頼感が弱いということである。
次に、ジーコ監督以外で日本代表監督にするなら誰が良いかを10名の名を挙げて聞いてみた結果を図2-3-12に示す。過去に日本代表の監督を務めたことのある岡田武史監督(約15%)とトルシエ監督(約14%)が多かった。続いて、Jリーグファンの思い出として残っているベンゲル監督(約10%)、アテネ五輪代表監督だった山本昌邦監督(約8%)、東欧の名将と呼ばれているオシム監督(約6%)、浦和を初優勝に導いたブッフバルト監督(約5%)と続いている。
次に、図2-3-12で回答数の多かった上位6名についての、「採用システム」、「採用戦術」、「選手起用」、「記者会見等のコメント」、「監督実績」、「監督としての雰囲気」の6項目の評価を、「良いと思う」を4点、「やや良いと思う」を3点、「あまり良いと思わない」を2点、「全く良いと思わない」を1点として尋ねた。その集計結果を図2-3-13、図2-3-14、図2-3-15、図2-3-16、図2-3-17、図2-3-18に示す。
まず、岡田武史監督の項目ごとの評価を図2-3-13に示す。「選手起用がうまい」が2.11で6項目の中で最も評価が高い結果となった。また、「監督としての雰囲気がある」も2.06となっており、この2項目が2.00を超えている。
次に、フィリップ・トルシエ監督の項目ごとの評価を図2-3-14に示す。「採用システム」、「採用戦術」がともに2.24で、6項目の中で最も高い評価となった。また、「監督としての雰囲気がある」も2.12となっており、この3項目が2.00を超えている。「記者会見等のコメントが良い」という項目が、その他の5項目と比べて評価が極端に低い結果となった。
次に、アーセン・ベンゲル監督の項目ごとの評価を図2-3-15に示す。「採用戦術」が2.50で最も高い評価となった。また、「採用システム」が2.25、「選手起用がうまい」が2.17、「監督実績」が2.25、「監督としての雰囲気がある」が2.17で、6項目中5項目が2.00を超えており全体的に高い評価となった。
次に、山本昌邦監督の項目ごとの評価を図2-3-16に示す。「記者会見等のコメントが良い」が2.70で最も高い評価となっている。監督としての能力よりも、「記者会見等のコメントが良い」や「監督としての雰囲気がある」という人間性の評価が非常に高かったことが特徴的である。6項目とも2.00を超えており、全体的に高い評価であった。
次に、イビチャ・オシム監督の項目ごとの評価を図2-3-17に示す。「選手起用がうまい」、「監督としての雰囲気がある」の2項目が3.00で最も高い評価となった。6項目とも評価が非常に高く、6名の中ですべての項目において最も高い評価であった。
次に、ギド・ブッフバルト監督の項目ごとの評価を図2-3-18に示す。「採用システム」、「監督としての雰囲気がある」の2項目が2.17で最も高い評価であった。監督経験が1年のため、「監督実績」の評価は非常に低い結果となった。