1999年 春学期 OR 期末試験 配点・結果及び講評

配点及び講評

今年の期末テストの特徴はメインの問題が問題1の一つだけである点である.当初は問題1だけの試験内容も考えていたが,問題がひとつだと問題との相性が悪い人が大きく不利になると考え,最終的には性質の異なる2つの問題を追加した.

問題1(75点)

通信網を題材にネットワーク計画の知識を様々な角度から問うている ネットワーク計画の用語を用いずに様々な概念を文章で定義していきながら,問題の理解力も同時に試している問題でもある.問題設定を的確に把握し,ネットワーク計画の知識を流用すればどれも基礎的な問題. ネットワーク計画の知識をまんべんなく登場させているが高度な知識までは要求しておらず, 問題の把握力と既存の知識の応用力を試すことができる問題になっている.その意味で,出題者としてはなかなか上出来な問題である.(自画自賛(^-^).来年の演習問題にでも使おうっと.)

(1) 10点 モデルの把握力と表現力を試している.試験開始後の机間巡回で妙なネットワークがチラホラ.この問題ができないとこの後の問題すべてに影響するのであせってヒントを試験中に出してしまいました.ここで詰まっていた人は,問題を表現するトレーニングを怠り過ぎですよ.ORでは解法ばかり追ってはいけません.後期はしっかりレポートにも取り組んで,モデル表現のトレーニングもしましょう.
(2) 15点
(5点×3)
接続行列も隣接行列も「行列」なので()括弧で囲まなくてはなりません.括弧で囲んでない答えは一律各マイナス1点.接続行列は行が点で列が枝に対応するんですよ.逆の人がいました.本質じゃないけど,表現のお行儀を守らないのは良くありません.
(3)

10点
(導出過程8点,答え2点)

最大フローを求める問題.データ送信能力が各枝の容量であると気付けば最大フロー問題そのものであることにはすぐ結びつく.残余ネットワークを書いて増加道をしっかり見つけていけば3回ほどの繰り返しで最大フローにたどり着く.時間もさほどかからなかったはず.多くの人ができていました.
(4) 5点 「グループ送信能力」が「カットの容量」の言い換えに過ぎないと気付けば簡単.それに気付かなかった人は,カットに関する理解が足りなかったか,文章理解力のトレーニングが不足しているかのどちらか.私の印象では,この問題ができていなかった人は後者のパターンであるような気がする.(杞憂ならよいのだが…).そういわれてはっとした人は,しっかりした本を読んで,論理思考のトレーニングを意識的にしましょう.
(5) 10点
(残余ネットワークの利用3点, 最小カットの利用5点,答え2点 )
最小カットを求める問題.最小カットは最大フローと強い関係があるという重要な事実を理解していた人にとっては簡単.最大フローに対する残余ネットワークのグラフ構造を強連結成分分解しHasse図まで書ければゴールと同然.結構多くの人ができていました.
(6) 10点 一見最少費用フロー問題に思えるが,1Gbのデータを流すのはどの枝の容量にも制限されないので単に最短路を求めれば良い.最小木問題と勘違いしてクラスカル法で最小木を求めていた人もいた.なぜ最小木なんだろう?最短路木と最小木はまったく違う物なのに….
(7) 10点 送るデータが40Gbというのがポイント.上記(6)のパスに沿って30Gbのデータを流せるので,残りの10Gbを流すパスを見つけるだけで良い.最少費用流問題だが最短路繰り返し法の繰り返しが高々2回なので時間はかからなかったはず.
(8) 5点 最後にあるけどこの問題に答えるだけなら易しい問題.ただ,一般的には難しい問題.(どんな点が一般的には困難なのか考えてみよう)

ChartObject 問題1(配点:75点)

問題2(15点)

(1) 5点 問題の定義(説明)をするときは,その舞台(モデル)をしっかり明示することが重要.それができていない人は減点.また,木の重みとは何かも説明すべき.自分の答案をORを勉強していない友達に見せてみよう.あなたの文章で最小木問題を理解してもらえるだろうか.
(2) 10点
どんな例でも点数を出すつもりだった問題.だが,最小木問題とは関係ない例がちらほら.これにはがっかり.ネットワーク上の問題の分類の整理がまだできていないのでは.

ChartObject 問題2(配点:15点)

問題3(10点)

(1) 5点 ほとんどの人ができていました.グラフを扱う際の基礎だもんね.
(2) 5点
後行順の説明はプリントにはない.講義でしかやっていない内容.講義ではプリントにない内容もたくさん触れているんだよ.といっても,今年もクラスもほとんど全員毎回出席しているのでほとんどの人ができていました.優秀!後期もこの調子でね.

ChartObject 問題3(配点:10点)

 

試験結果データ

受験人数:39人
  問題1 問題2 問題3 総合点
配点

75

15 10 100
平均 47.03 5.54 6.90 59.46
最高点 68 15 10 92
最低点 27 0 0 27

春学期中間試験は想定平均点をはるかに超え予想外の結果であったが,今回は想定どおりの60点(出題者としては受講生の実力を的確に測る問題を作成でき満足).

ChartObject 1999年度春学期OR期末試験得点分布(総得点)


1999年7月10日作成
試験対象:主に経営情報学科2年
1999年7月9日試験実施
根本 俊男(情報学部経営情報学科)
nemoto@shonan.bunkyo.ac.jp

 

1999年度春学期OR期末テスト問題